26.フレミアとガレン
「ウェル?今日は来てないぜ。」
「そっか、ありがとう。」
ガレンは今日の依頼を終え、家に着いた。寂れている小さな一軒家だ。
「ただいまー。」
帰ってきたのは静寂のみだった。
「ーーって、誰もいねえか。
…ヴァルドは学校の寮に。親父は逃げて、お袋は死んだ。」
「俺が何かを手に入れる日は来るのか。」
ガレンは小さく呟いていた。
コン コン
「ん?誰だ?」
扉から聞こえてきたノック音。ガレンは扉を開けた。
「はーい。」
そこにいたのは緋髪の女性。
「ガレンくん、治療費ありがとね。」
しかし、まだその体は傷を負っていた。
「フレミアっ!?治療はどうしたんだ…。」
「んー…、風術師でも無いやつに満足な治療を受けさせるわけには行かないって言われてね。ちょっとの応急処置で治療は終了だってさ。」
「あ?」
「はぁーっ、マジで腐ってやがるな。」
「ガレンくん、しばらく休めば大丈夫だから。心配してくれてありがとうね。」
「フレミア…。」
「じゃあ、私は宿に帰るから…」
ガレンは出て行こうとするフレミアの腕を掴んだ。
「ガレンくん?」
「フレミア、俺の家に居候ってのはどうだ?」
「え?」
「この国じゃどこに行っても差別が起こる。俺はお前を離したりはしない。」
「でも…。」
「お前、気づいてるか?
ーーさっきから泣いてるぞ。」
フレミアの瞳から無意識に零れ落ちていた雫。
「怖いよな。やっとの思いで来た国で、差別されて、怪我も負って。
ーーすぐに信じろとは言わねえ。けど、約束する。
これは『契約』だ。ガレン・ぜファの名において、俺はフレミアを離さない。」
ガレンはフレミアに手を差し伸べた。
フレミアはガレンの手を取った。
「ガレンくん…。うぅ…。」
フレミアは再び泣きじゃくった。
いくら力を持つ魔術師でも。フレミアは少女なのだ。泣くこともある。
「安心しろ。約束は守る。」
翌日からフレミアはガレンの家に住み始めた。
「ってことでフレミア。実は俺、貯金しててな。」
「貯金?」
「ああ、将来す、好きな人と暮らすための家を買うっていうか…。」
「ん?」
「いや、なんでもねえ。家を買うための貯金があってな。それで家を買おうと思うんだ。この前の下層探索でも結構お金が貰えたし、家を買おう。ここもボロいしな。」
ガレンは、言い出すことができずに、その想いを胸にしまった。
「そんな、悪いよ。」
「いや、フレミアのためでもあるが俺のためでもあるんだ。断るなよ?」
「わかったよ…。じゃあ、これからもよろしくね。」
フレミアは新たに買われた家で療養した。家事はフレミアが。依頼ハガレンがこなし、2人は関係を築いていった。




