25.敗走の先にあった物
迷宮から脱出したガレンとフレミア。
フレミアを病院で治療してもらい、ガレンはギルドへ向かった。
「だから…、何度も言ってるだろうが!ダンジョンを一度閉鎖して討伐隊を編成するべきだ!」
ガレンは相席していた禿頭の男に怒鳴っていた。
「俺は奴らの危険性を身を持って理解した。下層に個体で出現する風の巨人の存在は知っているだろう?
奴らは1体だけでも強い力を持つ。それが群れるんだぞ?いくら現場を離れていても危険性は理解できるはずだ!」
男はガレンの話を聞いて、ため息をついた。
「ガレン…、いいか?確かにその話が本当だったとしよう。もしそうなら、未曾有の危機だ。
ーーだが、誰がこんな話を信じる?それに奴らが群れることは確認されていない。」
「チィッ!この分からずや!俺はこの国のためを想って言ってるんだ!」
「お前、同行していた炎術師になんか吹き込まれたか?」
「…あ?」
「炎魔術師に、風以外の魔術師にろくなやつなんていねぇだろ。お前、ちゃんと依頼相手は確認した方がいいぜ?」
「テメェ、ふざけんじゃねえぞ?」
ガレンが激怒しながら席を立つ。
「ギルマスなら、冒険者を侮辱してもいいってのか?」
「おいおい、ガレン。俺とやるのか?俺を敵に回せば、文字通りこの国中が敵に回るぞ?」
「ーーおっとそうだ。お前の依頼同行者は今怪我をして病院にいるそうだな?
…そういえば病院の近くには俺と仲が良い冒険者が何人かいたな?」
悪どい笑みを浮かべながら男が確認する。
「わかったな?」
「チッ。」
ガレンは座り込んだ。
「当分あんたの顔見たくねえ。」
「勝手にしろよ。」
男は吐き捨てた。
「ーーあ、ちゃんと依頼は受けろよ。お前宛の依頼は多いんだからな。」
「うっせえ!」
「よおガレン。今日はどうし…って、どうしたその面は?ギルマスとなんかあったのかよ?」
「ウェルさん。この前合同依頼に行ってきたんだけどさ…。そこで、いろいろあったんだよ。ギルマスに広めるなって言われてっから話せねぇけど。」
ガレンはウェルに風の巨人のことを省略し、迷宮で起こったことを話した。
「なるほどなぁ。そこまで炎術師を信じないのは、異常だよな。」
「俺も依頼先で何回かあたったことあるが、みんないい奴が多い。
それも、そいついいやつなんだろ?」
「うん。」
「なら信じてほしいよな。はっきり言ってこの国の風への信仰は異常だと思うぜ。」
そう2人は話し合った。
翌日。ウェルはギルドに来なかった。
以降、ウェルがギルドに現れることはなかった。




