23.風の迷宮で
「おっと、効果を聞くのを忘れたたぜ。」
「そうだね、この魔術は術者…私の視界を通して、状況を処理し、その解決の糸口となる魔術効果を放つっていうものなんだ。」
「ーーなるほど、大雑把に言うと、状況を打破する効果を放つってことだな。」
「まぁ、そうだね。」
(おいおい、すっげえじゃねえか。んな魔術見たことも聞いたこともねぇ。これが50年ちょっとで出来上がるってのかぁ?)
「頼りにさせてもらうぜ。フレミア。」
「こちらこそ、そうさせてもらうね。」
2人は微笑み合い、迷宮の奥へと足を進めた。
「……。」
(魔物が少ない。何かが起こってる?けどここで引き返すわけには。)
深く思考の海に沈むガレン。
「…ん、…くん、ガレンくん!」
「ん?あぁ、すまねぇ。」
「いいけど…。どうしたの?急に黙り込んで。
ここは迷宮なんだから、気を引き締めなきゃ!」
「ありがとう、ちょっと気になることがあってな。」
そう言ったガレンの顔をフレミアは見つめた。
「……なんだよ。」
「ちょっと疲れてるよね?そろそろ下層だし、一旦休もう。」
「そういうわけには…。」
「はい、いいからいいから。ここで無理して死んじゃったらどうすんの?」
フレミアは真剣にガレンを叱った。
(俺が死んだら、ヴァルドは…。)
「そう…だな。」
ホッと息をつくフレミア。
「よし、テント持ってる?」
「あぁ、小型だけどな。」
「じゃあ大丈夫。ご飯は?」
「あるって、迷宮初心者じゃねぇんだからよ。」
ガレンが苦笑いをする。
「ごめん、ちょっと心配でさ。」
フレミアがエヘヘと頬を掻いた。
(可愛い。)
そう不意に思ったガレンは首を振った。
(そういうことを考えるのはいまじゃねえ。依頼に集中しろ。)
そして2人は休み、食事を終え、仮眠をとった。
「先に俺が見張るよ。」
「わかった。時間になって私が起きてなかったら起こしてねー。」
フレミアはそう言ってテントの中へ入って行った。
「俺が、守るんだ。異常があったとしても。ヴァルドも、フレミアも、この国も。」
ガレンはそう堅く決意をした。
「おはよう、ガレンくん。」
翌朝、ガレンはフレミアに起こされた。
「おはよう。」
「よしっ、それじゃあ、進もっか。」
「ああ。行くぞ。」
2人は下層へと足を進めた。
「ぐっ…。デケェ。」
その数時間後。ガレンたちの前に立ちはだかったのは、巨人。4体の巨人と、その巨人たちを見守るもう一体の巨人。
「我が道に答えを。『緋理演算』ぁ!」
「おい、フレミア!魔力も厳しいだろっ!無理すんな。」
「これが街に来たら大変なことになる!今ここで…仕留める!『演算開始』!」
緋色の盤の上に、数字が浮かび始める。
「ーーならっ、俺が時間を稼ぐ!体現しろ。『風音響く空想郷』!」
詠唱により、ガレンの前に一振りの槍が降臨する。
「速さ勝負と行こうじゃねえの!デカブツゥ!」
ガレンは巨人に肉薄した。
ギオオオン!




