21.ガレンの家にて
ガレンの家にラティエル達が近づいているその頃、ライム達も近くまで帰ってきていた。
「おっと、ラティエルじゃないか。ガレンもかい?」
「ああ。ガレンには王城に入る手伝いをしてもらった。後…」
ラティエルがガレンを見る。
ガレンがそれに対して頷いた。
「去年の風霊祭での事故について詳しく聞かせてもらえるらしい。」
「去年の風霊祭?関係者ってことかな?」
「まぁ、そんなところだ。先に飯食おう。その後話すぜ。」
そう元気に言ったが、ラティエルにはそれが空元気に見えた。
ガレンの家に入り、一行はハヤテガニの鍋を食べた。
「へぇ、たまにカニは食べるけど、このカニは絶品だね。」
「だろ?俺おすすめのカニだ。ついでに、俺んち特製の調味料もな。」
「うん、美味しいっす!」
「本当に。美味しいですね。」
「ガレン。最高だ。」
にっこり微笑むラティエルだった。
「なら良かった。」
盛り上がる食事を終え、ガレンが酒を手に取った。
「悪いな。酒の力を借りないと俺は…耐えられねぇ。」
「ヘタレで悪ぃな。」
「大丈夫だ。じゃあ、頼む。」
「ああ。
ーーあれは3年前のことだ。」
ガレンは語り始めた。
当時、ガレンはA級冒険者だった。
「『翠槍』ぃ!今日も来てんのか?」
「お前は相変わらず仕事熱心だなぁ!」
そう、話しながらガレンの背中をビシバシと叩いている男は、先輩冒険者だ。
「よぉ。ウェルさん。まあね。弟の学費も払わなきゃいけねぇし。」
当時、ヴァルドは神官学校に通っていた。
「くぅーっ!泣けるねぇ。」
「冷やかしてんじゃねえよ。」
そう軽口を叩き、ガレンはギルドを出て行った。
「今日の依頼は、『風の迷宮の下層調査』か。骨が折れそうだな、こりゃあ。」
「それに合同かよ。どんなやつだろうなぁ。」
ガレンは、合同依頼の組む相手がどんな人間かを考えながら『風の迷宮』へと歩いて行った。
「ここが集合場所か。まだ来てないのか…っと、あれか?」
ガレンの視界に入ったのは、緋色の髪を持つ女性だった。
「おい、あんた。」
「ん?私?」
「あぁ、こんなとこで何してんだ?迷宮から魔物が出てきたらひとたまりもねぇぞ。」
「大丈夫、私冒険者だから。」
「なんだ、ってことは合同依頼のヤツか?」
「えっ、そうだけど…。あなたも?」
「ああ。俺の名前はガレン。よろしくな。」
「私の名前はフレミア。A級冒険者よ。」
「ふーん、最近この街に来たのか?」
「わかるの?」
不思議そうにガレンの顔を覗き込むその姿は、ガレンの目には可愛く映った。
ガレンは顔を少し赤くし、首を振った。
「どうかした?」
「な、なんでもねえ。いや、炎の紋章入りのマントなんか付けてっから。」
「ああ、これね。これは私の母の形見だから。手放したくないの。」
「そう…か。すまねえな、聞いちまって。」
「え?気にしてるの?」
首をこてんとかしげるフレミア。
「ガレンくんって、優しいんだね。見た目そんなに優しくなさそうなのに。」
「てめ、失礼だな!」
そして、今に戻る。
「それが俺とフレミアの出会いだ。」




