20.風霊祭の情報
ラティエル達side
「ラティエルさん、こんなものが向こうにあったっす。」
『『風の巨人』出現事件参考書類』
そう、本の表紙には書かれていた。
「去年の風霊祭についてのものか?」
「そうみたいっすね。読んでみるっす!」
建国歴1498年。由緒ある風霊祭で、事件が発生した。
事件当時、現場では屋台が並び、広場で風の魔術師が風を起こしていた。
人々が騒ぎ、気分が高揚している時に、“それ“は現れた。
この国で最も巨大なダンジョンである『風の迷宮』の下層に出現する怪物である。魔物と定義するには、少し違う。
過去の遺物といった方が正しいだろう。神話の大戦で、風を司る魔神の部下『魔風神』セレディアの研究により生まれた巨人。現時点では、『風の巨人』とは、そういうものとしかわかっていない。
人々が巨人の足踏みによって起こった風で、吹き飛ばされた。
そこに、我が国の後の英雄である、『翠槍の英雄』ガレン・ゼファ様が現れ、奴らを撃退した。
その魔術は美しく、我々を魅了した。詠唱をし、民を救う姿はまさに英雄だった。
ガレン様の活躍により、事件は収まった。が、複数の階級者が散ってしまった。
『風の巨人』がどこから現れたのかはまだわかっていない。『迷宮観測者』の職を与えられているガムラ・フィルトによると、迷宮に動きはなかったそうだ。
「なるほど。あのデカブツはそういうものだったのか。」
「いろんな魔力が混ざってたっすね。あと、過去にも『風の巨人』が複数出現したことはあったみたいなんっすけど、それは全部、王都郊外だったみたいっすね。」
「なんとなく、わかってきたな。ガレンを呼ぶか。」
「そうっすね。」
そう出口に向かって歩くラティエル達。
「2人とも、もう調べ物は終わったのか?」
「ああ、ジーク。ありがとう。」
「構わん。
ーー貴様らは我が部下を救った。礼に1つ良いことを教えよう。」
一拍置いてジークが口を開いた。
「ーー貴様らは皇国の暗部に狙われている。ヴァルド神官は上に報告しなかったようだが、奴らは貴様らの発言を聞き逃さなかったようだ。ガレン様の近くにいるうちは来ないだろうが、離れれば襲いにくる可能性もないわけではない。
気をつけることだ。」
「ああ。最後までありがとうな。ジーク。」
「ふん、貴様らのせいで街が汚れるのが嫌なだけだ。」
そうそっぽを向きながら告げたジークは、扉を指差した。
「ほら、早く出ていけ。貴様らがいると汗臭くて敵わん。」
「そんな臭くないっすよ!」
そう軽口を叩きながら、ジークと別れた。
「よぉ、もう調べ物はいいのか?」
「ああ。ありがとな。」
「いいってことよ。去年の風霊祭について、まだ知りたいことがあんだろ?」
「俺の家で話してやるよ。『神剣』とリヴィウスの嬢ちゃんも知りたがるだろうしな。」
「ーーいいのか?」
「ん?ああ。そろそろ、過去を振り返り続けるのはやめようと思ってたとこだ。丁度いいさ。」
そう語るガレンの顔は少し悲しげだった。
「無理しなくても…」
「うるせー、俺がいいって言ってんだから、気にしてんじゃねえよ!」
そう、笑ってガレンはラティエルの背を叩いた。
「よっしゃ帰ろうぜ!晩飯は何がいい?」
「あぁ、帰るか。そうだな…。
この国でうまいのなんだ?」
「俺のイチオシはハヤテガニだな。うまいぜ?」
「よし、それにしよう!」
3人は、そんな会話をしながら、城を去った。
誕生日なので
誕プレ代わりに評価をください。




