19.ライムの尋問その2
「それじゃあ、この国について聞かせてもらおうか。」
「この国では、知ってると思うが、階級が正義だ。階級を持たない者に、価値はない。」
「この国は、聖霊を信仰する国だ。特に、風の聖霊リゲルへの信仰は異常だ。」
そこまで喋り、ゴルは話すことをやめた。
「悪ぃな。話せるとしたらここまでだ。この国は、暗部があってな。異端を消すために存在する。」
「風の魔術を使って、どんな小さい声でも拾いやがる。音を拾えば、すぐに発生源に向かい、そいつを消す。」
「他の質問になら答えれるぜ。」
「じゃあ、去年の風霊祭について、あったことを説明してくれ。」
「わかった。俺はあん時は子分と一緒に街で遊んでた。風霊祭は無階級でも、ある程度の自由が設けられる。」
「俺が、子分と一緒に飯を食ってた時に、あの事件は起こった。」
「急に現れたんだよ。『風の巨人』がな。」
「『風の巨人』?」
「この国の横にある、『風の迷宮』の、下層に出現する大型の怪物のことだ。俺も一度だけ、2体の巨人と戦ったが、それなりに苦戦した。」
「なるほど。じゃあ、話を戻してくれるかな?」
「奴らは、足を踏み、地響きを鳴らした。その余波で、数人が吹き飛ばされた。その中にはフレミアも混じっていた。その後、その場にいた『翠槍の英雄』ガレン・ゼファが対処し、奴らを掃討した。」
「俺の子分は無事だったが、吹き飛ばされた中には、貴族も居たな。あぁ、後、巨人が足を踏んでないタイミングで物凄ぇ風が飛んできたな。フレミアが吹き飛ばされたのも、それが原因だ。」
「別のタイミングに吹いた風…か。
ーー情報提供ありがとう。じゃあ、僕は去るよ。」
少し考え込んだ後、ライムは告げた。
「あぁ。すまなかったな。」
「いいさ。後、カヌスには手を出しちゃダメだよ?これ以上は可哀想だから。」
「ああ。流石にな。お前にボコボコにされたくはねぇからな。」
「うん。懸命な判断だと思うよ。」
「待ってくれ、ライム。」
そう、呼び止めたのはカヌスだった。
「なんだい?」
「この剣、どういうものか知らないか?」
そう言って差し出したのは、ライム達と戦った時に使っていた、黒色の短剣だった。
「これは、闇かい?」
「うん。」
「剣の銘は?」
「闇短剣アンダンテ。これを拾った時に、頭に流れ込んできた。」
「懐かしい感じだね。君はこの剣に選ばれたんだ。
ーーおや?シグルドが光ってるね。」
ライムが剣を眺めていると、アンダンテに共鳴するかのように、シグルドが光り出した。
「ーーなるほど、そういうことか。」
ライムは笑いながら、カヌスを見た。
「ふふふ、この剣はウェポンが打った剣だね。あのドワーフ、まだ生きてたのか。
あぁ、懐かしい。良かったね、カヌス。君の剣は、最高の鍛治師が打ったものだ。」
感傷に浸りながら、告げるライム。
「僕のシグルドも、ウェポンの打った剣だよ。」
「そう…だったのか。教えてくれてありがとう。」
「うん、奪われないように気をつけて。剣は君を選んだ。君はそれに答えなくちゃ。」
ライムはそう言葉を残し、リヴィウスと共に、スラム街を去った。




