16.スラム街での一幕
「よし、着いたぞ。ここが俺の拠点だ。」
「道中何もなくて良かったよ。」
「ああ、そうだな。」
ライム達の目の前に立つのは、少し寂れた家だった。
「ここには、いろんな空き家があるからな。
ーーここも元は空き家だったんだ。」
少し寂しげな表情で語るカヌス。
「ではここに。」
「『氷よ、溶けよ。』」
ライムの詠唱で、氷が解ける。
「起きるまで待とうか。カヌスはここで何を?」
「盗品の輸送とかだな。足には自信がある。後、追い剥ぎだな。
さっきみたいに、ここの前を通る人間を狙ってる。」
「なるほど、ここでは犯罪が仕事か。」
「ああ。俺みたいな小悪党もいれば、ここを仕切る奴らみたいなのもいる。」
「くっ、どこだここは!」
ヤールが目覚め、大声で聞く。
「あまり叫ばない方がいい。君も胴体と首を分けたくはないだろう?」
「おい、カヌス。いいのかよ。」
「な、なんだよ。」
「このままじゃボスが黙ってねぇぜ。お前も命が惜しけりゃ早めに降参することだ。」
「ボスはS級冒険者なんだってね。」
「あぁん?今更怖気付いても遅いんだよ!」
「いや、少し楽しみなんだよ。僕も契約して手に入れた能力を試してみたいからね。」
「契約ぅ?言っとくが小手先だけの戦いはボスには通用しねえぞ。」
「楽しみにしておくよ。ボスの名前は?」
「ボスの名前は『剣鬼』のゴルだ!知ってる名だろぉ?」
「ーーああ、よく知っているとも。
懐かしいね。僕が彼を叩きのめしたのも20年前ぐらいか。」
「はぁ?」
「彼は果たして強くなっているのか。20年前は結構苦戦したからね。楽しみだよ。」
「ふっ、ふざけんじゃねぇぞ!法螺吹きがぁ!ボスがお前みたいなほっそい男に負けるわけねぇだろ!」
「残念ながらそれが事実なんだよね。じゃあ、ボスのところに案内してもらえるかな?」




