14.風に選ばれなかった者たち
ライム達side
「よし。じゃあ、ラティエル達は書庫で表の情報を探すから、僕たちは裏の情報を調べよう。」
『いい考えじゃねェかァ。俺は賛成だァ。』
「私もです。でも、裏って言ってもどこに?」
「この国には階級がある。じゃあ、階級を持たないものは?そういうことさ。それじゃあ行こう。」
そう言って3人は歩き出した。
「ルクス。ここに来たことは?」
『リゲルに連れられて何回か。』
「じゃあ、ここは情報集めの場としてどうだい?」
『考えたじゃねェかァ。裏の情報を集めるなら、ホントに国の裏を探せってことかァ。
案外わかってんだな。オメェ。この場所がどんな場所か、それだけで国がどんなものか大体はわかる。』
目の前にあるは、スラム街。貧民街というものである。
「神聖クラウゼル皇国は私の中では、綺麗な国というイメージだったのですが、
やはり、どこの国にもここはあるんですね。」
「まぁ、ここがないと国が成り立たないからね。」
「オィ。オメェら何もんだ?」
そう、入り口の近くにいた柄の悪そうな若い灰髪の男が、ライム達を睨みながら、ドスの利いた声で聞く。
「そう言う君は?」
「あぁん?ぶっ殺されてぇのか?」
「おっと、怖い怖い。落ち着いてくれよ。」
「舐め腐った態度とりやがってぇ!ぶっ殺してやる!」
そう灰髪の男は激怒して片手に持っていた短刀をライム達の方へ向けた。
「そっちの女は高く売れそうだな。男、オメェはぶち殺す。ただぶち殺すんじゃ、美味しくねえな。
お前が背中に背負ってる、その剣をもらうか。ほら、抵抗しなかったら楽に殺してやるよ。」
「ギルマス。私を守ってくれるんですよね?」
「勿論。任せなさい。ルクス、バレちゃダメだよ。」
『わーってるよ』
「何ぶつぶつ呟いてんだ?どうせ、豪華な剣持って調子乗ってる風に選ばれたつもりのやつなんだろ?
おっと、お前を出しにして、お前の親から金をもらうってのもいいなぁ。とりあえず、ーーただじゃ死なせねえぞ?」
そう言った瞬間、男が肉薄する。
「思ったより早いね。『光壁』。」
光の壁に男のナイフは弾かれる。
「チッ!光の魔術ぅ?階級者じゃねぇのかよ。出し惜しみはしねえ。『闇短剣アンダンテ』!」
「魔剣かな?じゃあ、『金帝剣ヤマブキ』。『雷光よ。迸れ。』」
ライムの詠唱により、雷が、地面を走る。
「なっ!なんだそれっ!
ぐわっ!」
雷を体に受け、痺れた男は、その場に倒れ伏した。
雷が消え、静寂が戻る。
「……やりすぎましたか?」
リヴィウスが小さく問う。
「いや、ちょうどいい。」
ライムは倒れた男を見下ろした。
「彼は“入口”だ。本当に知りたいのは、その奥だろ?」
『だなァ。』
ルクスが低く笑う。
『こいつ一人でここ張ってるわけねェ。』
男は歯を食いしばりながら、呻いた。
「……クソ……」
「言っとくけどよ……
この奥は、風を持たねぇ奴が生きる場所だ。」
ライムは、目を細めた。
「ちょうどいい。」
「その話を、詳しく聞かせてほしい。」




