13.イカロスの伝記
私は建国した。クラウゼル王国を。今日から一国の王になると考えると、少し緊張する。リアライズは元気だろうか。エルザ…。こんな心情でやっていけるのか。自分のことながら、心配だ。
最初の日記から、数ヶ月が経った。忙しかった。リゲルが私の元を去った。最高の相棒を…失った。リゲルは去り際に私に祝福を授けた。国民は、リゲルが天に帰ったなどと騒いでいるが、神ではないのだ。あの子は、優しい、私の相棒なのだ。
リゲルが去ってから、二週間が経った。この国は平和だが、どこか危うい。私の愛する風が、この国に吹き続けることを願っている。
アルノードが王城に来た。昔のことについて話は盛り上がった。話してる途中のアルノードの顔はどこか冷めていた。去り際、あいつは微笑んだが、去っていくあいつの背中には、影が宿っていた。何かしらの精霊と契約したのだろうか。
リアライズが、王城に見舞いに来た。私も歳をとった。リアライズも少し老けて見えた。でも変わっていない。あいつと話す時間は、みんながいた旅を思い出すようだった。リアライズと話していると、旅の仲間が来た。みんな元気そうだった。でも、どこか足りなかった。私たちを明るくさせた、あの存在が。リアライズも、「エルザがいれば、もっと楽しかっただろうな。」と、小声で呟いていた。私が、肩をトントンと叩くと、「聞こえていたか?」と聞くリアライズ。「声が風に乗ってきた。」私はそう言った。
&^*%が、見舞いに来た。こいつが来たということは、私も死の間際なのだろう。少し悲しくなった。いくつか言葉を交わした。リゲルの断片的な未来。この国の断片的な未来。&^*%は、死の前のサービスと言わんばかりに、私に言葉を残した。未来も知れた。もう悔いはない。
死にたくない。もっとみんなと笑っていたい。死にたくない。この国を守りたい。まだ、あの子の、リゲルの幸せそうな未来を見れてない。まだ死にたくない。死にたく、死にたく…ないんだよ。
日記の最後には、死ぬことへの恐怖と、未練が記されていた。
「英雄でも、死の恐怖はある…か。リゲル。」
『ああ。イカロス。訳も言わずに出て行っちまってごめんよ。
お前のおかげで今、アタシは幸せだぜ。ありがとう。相棒。』
リゲルが、目に涙を浮かばせながら、話した。
『良かったな。リゲル。お前は俺の最高の相棒だ。』
一陣の風が吹いた。風に乗って、イカロスの声が聞こえたような気がした。
「届いた…っすよね。」
「ああ。きっと届いてる。天国のイカロスの下にな。」
ラティエルとミストは、ただ見守った。
『もう大丈夫だぜ。ありがとよ。続けよう。』
「ああ。リゲルは、この&^*%っていう、単語について何か聞き覚えはないか?」
『恐らく、こいつが消したんだろう。名前の存在を。』
「名前の存在を?」
『ああ。創世の神。名前は知らん。でも、リアライズが、フィーユって呼んでた。』
「創世の神フィーユっすか。」
「本名かどうかはわからないけど、十中八九そうだろうな。」
「よし、じゃあ、別の本も見ていくっすよ!」
「ああ。」
3人の読書は、まだまだ続く。




