11.書庫での出来事
「ラティエル殿、ミスト殿、こちらへ。」
そう、騎士服の男が案内を始めた。
「ありがとう。ちなみになんだが、あなたの名前は?」
「私ですか?私の名前はジークです。階級は二級。以後お見知り置きを。」
そう丁寧に会釈する騎士ジークの顔は非常に整っており、鋭い気が感じ取られた。
「もしよければ、敬語じゃなくて構わない。俺もミストも気にしないからな。」
「そうか。なら、そうさせていただこうか。」
「ああ、気軽に話そう。ガレンは?」
「ガレン様は、女王陛下と話をしている。」
「ガレンって英雄なのか?」
それを聞いたジークは眉を顰めた。
「知らないのか?一年前、風霊祭で街を救った『翠槍の英雄』だぞ?」
「そこらへんも含めて聞きたいんだが。」
「わかった。話そう。一年前の風霊祭。我々騎士の防衛をいとも簡単に、奴らは乗り越えてきた。」
「奴ら?」
「ああ。貴様らが倒した『翠の巨人』だ。100を超える奴らの軍団。それが、人々が集まる風霊祭にやってきたのだぞ?」
「防衛って言ったが、100もいたら目立つだろう?」
「……奴らは急に出現したのだよ。今日のように。まるで、“最初からそこにいたように“な。」
最初からそこにいたように。その言葉はラティエルの記憶に深く残った。
「最初から…か。」
「あぁ、急に目の前に100体の巨人が出てきたんだ。民衆はどうなる?」
「パニックになる…か。」
「その通り。だが、そんなところに現れたのが、ガレン様と、フレミア様だ。」
「フレミア?」
「あぁ、ガレン様のご友人にして、無階級にも関わらず、我々のことを身を呈して救ってくださった。」
「なのに、フレミアは探されなかったのか?」
「ああ。私は今でこそ、副団長だが、当時は何の力も持たない、小隊の隊長にすぎなかった。
あのお方を救うことができなかった。私の最も大きい後悔だよ。」
悲しげにジークが言う。
「もしあのお方が今も生きていれば…。この国はもっと変わっていたかもしれないな。」
「そうか。」
「ガレン様もお変わりになられた。あのお方の太陽がいないから。」
「教えてくれてありがとう。じゃあ、本を読ませてもらうよ。」
「ああ、何かあれば言ってくれ。力になろう。」
そう言ってジークは出て行った。
「うち、思ったんすけど。」
「どうしたんだ?」
「あの女王様、うちに似てないっすか?」
「言われてみれば確かに、面影があるな。」
「やっぱりなんか関係があるんすかね?」
「そのあたりも調べようか。」
「よし!頑張るっすよ!」
2人は気合を入れ、情報収集を始めた。




