7.ヴァルドとの再会
ガレンの家で一夜を過ごした4人は。朝食を食べに、ガレンに断りを入れて、外出した。
昨日のことについては今は踏み込むべきではないと考えたラティエルは、4人には話さなかった。
「朝食何食べるっすか?」
「…」
「ラティエルさん?おーい、ラティエルさん!」
「ん?ああ、俺か。」
「そうっすよ!なんか考え事でもあったんすか?」
「あぁ、うん。」
少し上の空であるラティエル。
「おや?あなたたちは…。」
そう聞こえて来た方にいたのは、細めの青年だった。
「確か、ラティエルさん…でしたか?」
「ヴァルドか。」
「ええ、ヴァルドです。どうかしたのですか?」
「いや、、、」
「深く考え込んでいるようでしたから気になりまして。」
「ヴァルドは、ガレンの知人を知ってるか?」
「ええ、大体は。」
「じゃあ、この前まで、ガレンと暮らしていた人を知ってたりするか?」
「同居人?あぁ、フレミアさんのことですか?」
「フレミア?」
「えぇ、炎魔術師のフレミア。旅人で、この国に来たのは3年前。3年前に兄と出会い、2人は親しくなりましてね。」
(炎魔術師。あの炎の紋章か!)
「もう、2人は別れてしまったのか?」
「……いや」
ヴァルドは、ほんの一瞬だけ間を置いてから言った。
「別れたも何も、死にましたよ?」
「…え?」
少し、低い声が出た。
ヴァルドが淡々と言う。
「だから、死にましたって。去年の風霊祭に天風に吹き飛ばされて、あの強度では生きてないでしょう。
あの時の兄の悲しみと言ったらもう。なぜ階級権を持たない人間の死をあそこまで悲しむか。理解できませんでしたが。」
「…」
「知りたいことは知れましたか?それでは。」
「どうして…」
「はい?」
「どうしてお前は兄の大切な人間の死を悼むことをしない?」
「はは、悼みはしましたよ。最低限の。階級権を持っていない人間の葬式は開けません。兄はあの女を探そうとしましたが、
国は許しません。風の意思であの女は死んだ。しかも無階級の人間ですよ?国をあげて探す必要はあるのですか?」
ライムは何かを悟った目で、リヴィウスは怯えた目で、ミストは少し悍ましいものを見るような目で。
ーーそしてラティエルは、諦めたような目で。
ああ、この国は“違う“んだな。
ラティエルたちは理解した。この国は他とは根本的に違うと。
「それでは御機嫌よう。おっと、兄には私が教えたことを言わないでくださいね。あまり人に広めたくないとおっしゃっていましたから。」
ヴァルドは微笑んでその場を去った。
「うち、甘く見てたっす。この国のことを。」
「それを言うならみんなそうだ。今までの普通の国だと思ってた。でも違うんだ。僕らにとっての異常はこの国での普通。つまり僕の言いたいことは、わかるね?」
「この国にとって、俺たちが異常…。」
「うん。そういうことだ。そこらへんもひっくるめて、今後この国でどう動いて行くかを考えないとね。」




