9.謎の生物
「そういえば、なんでエルムさんは王都ギルドを離れて居たんっすか?」
「それはだな、依頼だったのだよ。」
「依頼?」
「なんの依頼だったんっすか?」
「かつて存在した最強の侍『サメウラ』についての調査だ。」
サメウラ。それは、かつて極東の国『ツキジ』に存在した最強の侍である。その剣技は容易に古龍の鱗を斬り裂き、滅ぼす。魔神が展開した魔力障壁をも容易に破り、刃を殿喉元に突き立てる。『ツキジ』に伝わる斬ることに特化した剣。それが『カタナ』である。その『カタナ』を振るい、戦ったとされている。サメウラの使った『カタナ』は、『神葬刀エクレール』。その刀は神をも葬り去る最強の刀。
「ひえー、そんな大変な依頼受けてたんっすねえ」
「うむ。そのため遅れてしまい誠に申し訳ないな。」
「良いっすよ。エルムさんが来てくれたお陰で戦況が激変したんで、早く来てくれてまじ感謝っす!」
「ガハハッ、だが間に合って良かったな。先ほどライム殿が傷だらけでリヴィウス殿の野本に治療を受けにきたぞ。」
「ギルマスが⁉︎仕事は出来ないけど力だけで言えばS級冒険者の中でも余裕で上位に入るギルマスが…」
「なるほど、それでボスは倒せたんですか?」
「いや、倒されていたそうだ。」
「つまり到着する前に倒されて居たということですか?」
「うむ。吾輩も信じられん。」
「ではそれほど強力な人がいたあと言う事ですか?」
「詳しくはわからん。だが、ライム殿を超える強者がいたことは間違い無いだろうな。」
「そうですか。」
「スタンピードが終わり、ライム殿の体力が回復したら改めて話を聞こうではないか。」
「そうですね。まずはここを乗り越えましょう。」
力強い声でフローリアがそう言い、エルムとミストがそれに同意する。
「応」
「了解っす」
そうして意気投合して居た三人の前に現れたのは、謎の渦だった。
「なんだこれは?」
「一応警戒するのに越した事はないっすよ。」
「そうだnな。」
そしてその渦が動きだした。その渦か出てきたのは…黒い靄がかかった『ナニカ』だった。
「総員警戒!未確認モンスターっすよ!」
ほとんどの種類のモンスターが出現すると言うエルフの森『トワイライト』で育ったミスト派魔物の知識については冒険者一と言われている。
「この感じ…最大でも自然災害級派ありそうっすね…」
%$@#%&^(*!
「この世のものとは思えないような怪物の鳴き声がして、ミスト達は戦慄する……
「化け物退治の時間っすよ!」