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古代の英雄は理解不能でしたが、何か?

「神聖国の皇家のバグだけじゃなく、いにしえの混沌語で書かれたわたくしたちを『リアル』に連れて行くためにも、混沌語と標準語の翻訳ライブラリがあった方がいいわよね?」


「『手紙の僕』は、『リアル』に行きたがっていた? 今の僕は混沌宮に行くのも躊躇する出無精何だけど……」



「混沌宮にいた頃のジョナサンが『リアル』に行きたがっていたかどうか、分からないの。でも、翻訳ライブラリを作る作業は楽しんでいたわ。聖女がお子を為したければ、成すことも出来るようになるねって」


 え?

 『手紙の僕』って、聖女フレンドリーだったの?

 今の僕は聖女嫌いなんだけど……


「聖女のことなんかどうでもいいって思っちゃうのは、僕だけ?」


「今のジョナサンが知っている聖女はエアリーでしょ? 混沌宮のジョナサンにとって聖女と言えばシエル、つまりアンだったからじゃないかしら?」


 なるほど。

 僕はアンは1度しか会ったことがないから、印象が薄い。


「アンは、そんなにいい人なんだね?」


 手紙の僕も慕っていたけど、僕にとっては一晩世話になった人ってだけだからな……


「ん。そうね。アンはアンの世界では超絶お嬢様なの。本人はそうとは言わないけど、この世界が止まっている5年の間に『リアル』に行って、前の持ち主のセントリアから、この世界をポンって買っちゃったの」


 アンは、超絶お嬢様……

 おっとりで言えばミルの方が多分上だけど、アンがお嬢様だと言われると、まぁ、フレンドリー系のお嬢様に見えなくもない。


「今、アンがこの世界の所有者ってこと?」


「うーんとね。『リアル』での成人は千才なの。生物学的な成人は18才だけれど、社会責任的には千才から。世界を買ったり出来るのはそれ以降で、それまでは親か後見人が代理しなきゃいけないみたい。だからアンはエドワードに頼んで名義を貸してもらっていて、今のこの世界の持ち主はエドワードよ」


「意味わかんない! エドワードは千才以上で、アンはそれ以下ってことしかわかんない」


「ふふふ。わたくしが最初にその話を聞いたときみたいな反応ね? アンとセントリアは年齢は全然違うけど、考古学者コミュニティーに属しているから、アンのパパとセントリアが知り合いで、売買契約はスムーズだったそうよ。セントリアもお金持ちで古代世界をいくつか持っているらしいの」


「世界をいくつか持っている!?」


 世界を持っている人が、神様じゃなくて、考古学者ってのが、正に異世界って感じ。


「そうなの。古代世界って希少価値があるから、不動産投資みたいな感覚でいくつか持っているって。この世界の王家が不動産を沢山持っているのと同じ感覚みたいよ?」


「ああ、家を一個しかもっていない人にとっては不動産売買は大事だけど、いっぱい持っている人にとっては、気軽に増やしたり減らしたりできるよね?」


 ふーん。

 お金持ちの考古学者が古代の城をいくつか買っちゃいましたって感覚なのね?


「でも、セントリア自身が考古学者だからか、自分が買った古代世界で暮してみたくなる性分みたい。そして良さげに世界を改変する。その後は眠らせておいてもあまり意味がないから『古代世界人生体験』を売るって流れね」


「ほへ~。確かに、空き家をいっぱい持ってても維持費ばっかり掛かって無駄だもんね?」


「うんうん。そんな感覚だと思うわ。でも別にぼろ儲けしたいわけじゃないから、中に入れる人数を制限しているのですって。1世代一人まで。それが聖女ね」


 はぁ~。

 聖女って、観光感覚で送られてきてたのね?


「それで、聖女の中には折角来たからいっぱい魔族を侍らせたい! みたいな輩がいるんだね? 旅の恥かき捨て作戦」


「セントリアはそんな下品な顧客がこの世界に入る可能性は考えていなかったみたい。どうやらこの世界ってアンの世界でメチャメチャ高級サービスなんですって。たった1人生にそんだけお金出せるヒトは、民度高いでしょ? って思い込んでいたらしいわ」


 ははは。

 その気持ちわかっちゃう。


「他国の王族のバカンス用に地方の城を貸すとして、修復不可能な状態までボロボロにして返されるとか、思わないもんね?」


「だからセントリアは、エドワードから現状を聞いて驚いたらしいわ。値段もっと高くしとけばよかった~って」


「そういう問題?」


「まぁ、概ねそこで解決できると言うのが現実よ」


「で、セントリアは売ってくれたんだね?」


「そう。アンは友人の娘で考古学者だから、自分の子孫がいる世界を任せても安心だって」


 いや~。

 自分の子孫がいる世界、売るか?


 感覚が、ほんと、異世界。


「それで、今、この世界は、アンのパートナーで後見人のエドワードの所有物。ふむ。もし、エドワードがこの世界をディストピアにしたければ、できる?」


「多分ね? でも、きっとディストピアにはしないわ。このサービスが高級なもう一つの理由が『ヒト標準ライブラリ』に準拠した人工知能がいること。つまりわたくしたちね?」


「人工知能? 聖女の世界のヒトとは別種族?」


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