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出掛けにゴネるタイプでしたが、何か?


「も~。ジョナサン! 出掛けにゴネるの貴方の悪い癖よ?」


 え?

 僕、ゴネてないよね?


 いい求婚場所が思いつかなくて、思案しているだけだよね?


「なっ。出掛けにゴネるって、そんな幼子みたいなこと、してないよ」


「してるわ。入学式の時とダジマット宮殿に行くときなんて、ゴネ方がまさに幼子みたいだったわ。混沌宮なんて、ゴネまくってまだ行ってないじゃない? 学園に登校する前だってちょいちょいゴネているわ」


 具体的な例を出されると、なんだかそんな気がしてくるから不思議だ。


「ゴネて、いるね、確かに」


「そうでしょ? きっと未知なところに行くのが嫌いなのよ。だから別に求婚はピーターバラでもいいじゃない? いつもお散歩している庭園なんて、素敵な思い出がいっぱいよ?」


「ミルって、なぁんか、情緒的なものに希薄だよね? ミルを大事にしないピーターバラはイヤなの! でも、ダジマットって、ミルが暗くなってた時だから、いいイメージないし、神聖国で僕たちが一緒に過ごしたのってたった一晩でしょ?」


 よく考えると僕たちに思い出の場所と言えるような場所がなくて、愕然とした。


「わかったわ。今日は求婚は中止にしましょう? でも学園をお休みしちゃったから、お墓参りに付き合って?」


「お墓参り? 誰の?」


「モードリン様。先々代の悪役令嬢で、モードリンの首飾りをわたくしに残してくださった素敵な方よ」


 リーズ国宝として、ダジマットの女王にお詫びの品として献上した三連の真珠の首飾りを遺品として残してくれた方だ。


「あぁ、それ、気にはなっていたんだ。聖女封印の魔石を作った方でしょ? 親交があったの?」


「親交があったというか、わたくしが突撃したの。過去の悪役令嬢の手記にモードリン様が混沌宮に入って歴代魔王の手記を読んだという記録があったから」


「混沌宮に歴代魔王の手記があるの?」


 悪役令嬢の手記と呼ばれるダジマットの姫達の手記が、カーディフ国に納められているとミルから聞いたことがある。


 魔王も手記ぐらい書くだろうけど、ダジマットの歴代魔王の手記が神聖国の混沌宮に収められているっていうのは、どうなんだろうな?


 姫の手記にしても、王の手記にしても、なんでダジマットは自国に保管しないんだ?


「魔王の手記は全部読むと見えちゃいけないこの世界の仕組みが見えちゃうからじゃないかしら?」


「神聖国の『混沌』はこの世界の時間を止められる、とか?」


 ミルは目を丸くして僕の口に手を当てました。


「ジョナサン! こういう話は混沌宮でしたかったの。ここでは誰が聞いているかわからないでしょ? 混沌宮は貴方が行きたくなさそうだから、もう誘わない。そのかわりお墓参りに行きましょう? そこでならもう少しゆっくり話せるから」


 そうしてやってきたモードリン様のお墓はノリッジ王家の墓所にはなく、小高い丘の上にちょこっと置いてある一見お墓だとわからないような丸っこくて可愛らしい石碑だった。


 そこに夫君のジェレミー様も眠ってらっしゃるらしい。


 僕たちはその石碑の隣に敷布を敷いてピクニックみたいにお茶を飲むことにした。



「モードリン様は、その代の聖女誕生から10年遅れてお生まれになったの。それには何か理由があるはずだとずっと気になってらしたそうよ。謎解きみたいな感覚ではなく、大事な使命を見落としているのではないかと不安で」


「ミルは全然気にしていなさそうだよね?」


「わたくしはこの世界の仕組みを知っているもの。悪役令嬢の使命なんてないのよ? でも、これは混沌宮に入れば誰にでも教えてもらえる情報じゃないの。アンが特別な存在だから知ることができたの」


「混沌からSUDO権限を貰っているって手紙に書いてあったよ。それ?」


「そう。神様みたいな特別な存在ではなく、神様のために働く人だから色々知っているみたいなイメージで理解しているわ」


「でも、僕の手紙の感じだとアンは神様のために働いているわけじゃなくて、知識を活かして僕たちの世界を良くしてくれようとした感じだったよ。ボランティア的に」


「ふふふ。手紙のジョナサンはわたくしよりもこの世界の仕組みについて詳しいの。わたくしが眠っている間にも、アンにいろいろ教えてもらったみたいだから」


「へぇ。混沌宮では僕とアンは親しかったんだね?」


 それで神聖国でアンに会ったときに、全然アンのことを覚えていない僕を見て悲しそうな顔をしたんだね?


 ミルが悲しそうな顔をする時は、きっと混沌宮で起きたことについて僕が覚えていないことを寂しく思っている時なんだね?


「ええ。とっても親しかったわ。アンもジョナサンにいろいろ教えるのが楽しいって、アンが来るといっつもずっとおしゃべりしていたわ」


「ミルは、ヤキモチを焼かなかった?」


「それなんだけどね…… ジョナサンが喜ぶか、怒るか、全然わからないんだけれど……」


 嫌な予感。

 多分、「悲しむ」のパターンだ。

 しかし、ここはミルが話しやすいように、笑顔、笑顔


「なになに? 言ってみて?」


「わたくし、わたくしのパーツをかき集めるときに、嫉妬心を拾ってこなかったの。いえ、敢えて置いてきたの。だから、ヤキモチ、わたくしに備わってないの」


「は?」


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