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薄着のお姉さんを追い出しましたが、何か?

 そして、待望の夜。

 僕の寝室でミルと2人でゴロゴロしながら、薄着のお姉さんを待った。


 ミルは今夜じゃないかもしれないからと言って、緊急避難訓練の方を進めたがったけれど、アンディーくんは優秀だからね。多分、今夜だよ。


 手持ち無沙汰だったから、ミルにずっと気になっていたことを聞いてみた。


「ねぇ。ミル。ミルはなんで大魔王が苦手なの?」


「大魔王はね、泣き虫すぎてやりづらいのよ」


「え? 大魔王、泣き虫なの? いつ泣いてるのを見たの?」


「魔術訓練の時は、ほぼ毎回。あれで魔王に泣き顔を見せたのはこれまで一回きりなのよ。なのに娘の魔術訓練で毎回泣くなんて、やりづらくて仕方がないわ」


「え? なんで泣くの?」


「娘にこんな厳しい稽古をつけたくな~いって、途中から涙が止まらなくなるのよ。あ、これ、内緒よ?」


 ミルの魔術訓練には、2種類ある。

 一つは膨大な魔力を制御する訓練で、ミルはこれが苦手でかなり時間をかけて習得した。


 もう一つは膨大な魔力を余すことなくぶっぱなす訓練だ。

 これは相手が限られる。

 ミルの攻撃魔法を受けることができるのは、リーズの継承者たちだけだろう。

 ミルの最寄りの継承者は、僕たちが大魔王と呼ぶミルの父君だ。


「訓練にならないの?」


「いえ。訓練はちゃんとしてくれるのよ。ただ、泣きながらなの。『なんでぇ、私はぁ、娘にぃ、全力でぇ、攻撃魔法を打ち込んでるんだ~~~っ』って涙流しながら逆切れ状態で攻撃してくるときが一番歯ごたえがあるわ。でも、シュールでしょ?」


「あ~。それは、なんというか、予想外の答えだったよ……」


 何故か僕たちの間にも微妙な空気が漂ってしまった。

 大魔王、微妙すぎるぞ。


 僕はさぁ、もっと暗い話だと思ってたんだよね。


 いや、号泣しながら魔法を打ち込んでくる父親とか、確かにイヤだけどさぁ~。

 

 え~。

 こんな話だったの~?


 もっと早く聞けばよかったよ。

 

「それで、リーズのおじい様たち、あ、わたくしのおじい様と貴方のおじいさまのことよ、にお願いして稽古をつけてもらったこともあるのだけど……」


「そっちも泣いちゃうの?」


「いえ。手加減されるの。ダメダメよ。あの中では貴方の兄上が一番ちゃんと稽古をつけてくれたわ」


 リーズ国の王家とロスウェル公爵家には、1世代に一人ずつ「リーズの守護者」と呼ばれる膨大な魔力を持つ子が生まれる。

 祖父の世代は2人ともリーズにいるが、父の世代は僕の父上がピーターバラに、ミルの父君がダジマットに養子入りしている。

 そして僕たちの世代の継承者はリーズで暮らす僕の一番上の兄とミルだ。


「え? ミルは僕の兄上に会ったことがあるの?」


「ええ。ジョナサン似の美人さんよ」


 イケメンなのか?

 僕は会ったことがないが、二番目の兄上が突き抜けるような美形だったから、ちょっとどころじゃなく、心配になるんだが?


 承継者同士が結婚すると2人いる承継者が一人になってしまうかもしれないから、ここの結婚は絶対ないと言い切れる。

 安心していいともいうが……


 というか、僕は既にミルと結婚しているから、そこは心配すべきではないのにどうしても心配になるのはなんでなんだろうな?



「美人さんって、大丈夫だった? 好きにならなかった?」


「ええ。おじいさま達よりはマシってだけで、手加減されて腹が立ったわ。あ、きらいとかじゃないわよ?」


「え? そういう問題?」


「そういう問題よ。わたくし運動嫌いでしょ? だからキッチリやって、効率よくチャチャッと終わらせたいのよ」


 ミルは気が短いからね。


「で、大魔王の方がマシだった、と」


「現存する継承者は6人しかいないでしょ。選択肢が少ないのよ。あ、そうだわ! ちょうどピーターバラに来ているわけだし、貴方のお父様に稽古をつけてもらうのはどうかしら? どう思う?」


 ミルにも僕と結婚したという自覚が芽生えていないのか、「お義父様」ではなく「貴方のお父様」って呼んじゃうみたいだ。


「うーん。僕から頼んでみるよ。父親と言ってもよく知らない人だけど」


「ありがと。ちゅっ」


 んぎゃっ。

 ミルぅ。

 ベッドの上でカジュアルチュウは反則だよ~。


 今日は薄着のお姉さんを待っていないといけないから、パジャマを脱げないんだよ?


 いや、薄着のお姉さんを追い返した後にってのも、ありだよね?


 ドキドキバクバクしていたら、寝室のドアのカギをカチャカチャする音が聞こえて、薄着のお姉さんが忍び込んできた。


 で、薄着のお姉さんは、本当に薄着だった。

 いろいろ透けて見えていて、僕はドン引きでミルにしがみついた。


 ミルは、僕の様子を見て、どうも僕がお姉さんを凝視していると勘違いしてしまったようだ。


 いや、確かに、ちょっとだけ凝視してしまったかもしれない。

 だって、ビックリするだろう?


 んで、ミルがお姉さんを魔法鎖で縛って、僕がお姉さんを父上の寝室に転送を掛けた後、ミルはプイっとして自分の部屋に転移してしまった。


 ねぇ。

 すぐにミルを追いかけて、ミルの部屋に転移すべきだったと思う?


 でも、女性の寝室に転移するのって、なんかダメじゃない?

 うじうじ悩んじゃって……



 最終的に、これでミルとの心の距離が開いたら後悔しかないと思って、ミルの寝室に転移したんだ。


 そしたら、寝てた。


 魔力が弾けてたから、寝てるのは確かだけど、いつもよりパチパチが酷かったからふて寝的な準「怒り」状態なんじゃないかと分析した。


 んで、パチパチ痛いのを覚悟で、ミルを抱きしめて眠ったよ。


 抱きしめたら割とすぐに落ち着いたのが、かわゆーて、かわゆーて。

 ほっぺにいっぱいキスしたよ。


 でも、唇は、やっぱりミルが起きている時がいいと思って、我慢した。



 んで、ミルは朝起きたらすっかり機嫌が直っていて感心したね。


 寝たら忘れる子、素晴らしいよ。


「んん~。ジョナサン。ここで寝たの? おはよ。ちゅっ。シャワー浴びてくるね?」


 今日も今日とて、いとも簡単に唇を奪われたよ?

 

 でも、いつになったら僕の方からミルの唇にキスができるようになるのかな?

 頑張れ、僕!



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