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長生きを決意しましたが、何か?

「ふむふむ。馬車で我らが女王陛下とイチャイチャしたかったジョンは、転移紋を使ってサクッと登校したかった我らが女王陛下と押し問答をした挙句、呆れた我らが女王陛下がジョンをホールドして転移を強行した、と」


「それがどうやったら、学園に行きたくないと駄々をこねるミルに腹を据えかねた僕が抱えて強制的に淑女科に送り届けたって話になるんだよ? おかしいだろ?」


 今日のランチもリーズ国のキモイケメン君と一緒です。

 遮音魔法をかけても違和感がないように、噴水前の恋人ベンチです。


 ミルぅ。

 今度一緒に恋人ベンチでお昼どう?


「で、今朝は、ロスウェル第2公子からの馬車登校のお誘いに同意した我らが女王陛下に引き摺られるように、しぶしぶジョンも付き合った、と」


 は?

 それ、今朝の話だよ?

 もう噂になってるの?

 んで、それを把握してるリーズの近衛隊、こえ~。


「ちげーよ。僕が兄上を誘ったんだよ。ねぇ。その『我らが女王陛下』って、なんとかならないの? 同担歓迎派のミル担みたいだよ?」


「まぁ、当たらずとも遠からず?」


「違うだろ? 姉君がミル担なのであって、君はただのシスコンじゃないか?」


「あら、バレてる」


 うぉ。

 認めやがった。


「それにしても神殿は凄いな。あんなに長居したのに、そこは噂に出来なかったのか」


「神聖国は何事においても魔族最強だからね。君たちが和やかに夕餐を取っている様子が、新聞に出てたよ。それで? 兄君から侍女と女官の身分を教えてもらえたの?」


 グランパとグランマは、会食の写真を新聞社に渡して、公務の様子として公開することにしたらしい。

 変な噂が立たないように、対策に抜かりがない。


「侍女は第1王兄派で『魔王の闇』の分家、女官は第2王兄派の新興貴族だったよ。ついでに昨日『婚約者を抱きしめて転移するのは不適切だ』と目ざとく注意してきた教官も第2王兄派ね」


「ふむ。ロスウェル第2公子、流石だね」


「え? ロスウェル第3公子との扱い違くない? それにしても第2王兄派ってお固すぎない?」


「ふっふっふ。逆だよ、逆。今夜あたり性に興味深々で姫にちょっかいを出し始めたジョン君の寝室を薄着のお姉さんが訪れるだろうね?」


「はぁっ? 何それ、僕はミルに興味があるのであって、って、いや、今のは聞かなかったことにしてくれ」


「いや。そこは隠さなくて大丈夫だよ。ロスウェル第3公子が最も評価されている美点は我らが女王陛下への変わらぬ溺愛だからね。最強の強火担の称号は君のものだよ」


「もう、やだ。リーズ近衛隊、どうなってんの?」


「とにかく、ジョン君、今夜はちゃんと服を着た状態で寝るんだよ。薄着のお姉さんが入ってきたら、父君の寝室に転移魔法を掛けるといいよ。何が起きたか察していい感じに絞めてくれるからね?」


 いや、ほんと、こえーよ。リーズ近衛隊。



 **


「とまぁ、そんな感じで、今日は緊急避難訓練は出来なさそうだよ?」


 ところ変わって、ミル様との癒しの庭園散歩である。


「仕方がないわね。今日はわたくしの部屋に来る?」


 キョウハワタクシノヘヤニクル


 ミル様。

 また脳が痺れて漢字変換不能です。


 冷静に、冷静に。

 ふぅ。


「うぅーん。父上の部屋に転移せよとのアドバイスを貰ったしな~。どちらかというと僕の部屋にミルが居てくれると安心なんだけどな~」


 僕はミルの反応を探るような視線で、聞いてみた。

 僕の部屋に来て。と。

 きゃっ。


「そうね。わたくしが縛って、ジョナサンが転送を掛けるのがスムーズね。ところでジョナサン、お父君の寝室がどこか、知ってるの?」


 うん。分かっていたよ。

 事務処理的にスルーされるって。


「あ、知らないや」


「それじゃ、この後、お母君にお土産の白茶を献上しに行って、伺いましょう? 事情を匂わせておきたいし」


「うん。そうだね」


「ところで、ジョナサンは、何も身に着けないで寝るタイプなのね?」


「え?」


「パンイチ派? わたくしに遠慮してパジャマを着てるの?」


「ええっ? そんなことないよ。パジャマ派だよ?」


 というか、「今日は服を着て寝なさい」は、そういう意味じゃないよ。

 ミル様、朴念仁が過ぎるでしょ?


 まぁ、そういうところも、かわいいかも?



「そう? それにしても、随分リーズに囲い込まれているけれど、大丈夫?」


 そうなんだよな~。

 キモイケメン、アンディーくんが優秀過ぎてな。

 

「ミルは、リーズはイヤ?」


「わたくしはジョナサンがいればどこでもいいの。リーズはそれを知っているからジョナサンが懐柔されているのよ。わたくしには接触して来ないもの。賢いわ」


 うぉ。

 ミル様のキュン爆弾がさく裂して、瀕死です。


「ミル自体が好きなところはどこなの?」


「え? だから、ジョナサンがいれば、どこでも」


「うーん。それじゃ、ミルが好きな場所がわかんないよ」


「こういえば、わかるかしら。ジョナサンがいないなら、この世界にいたくない」


 はぅぅっ。

 ミル様、突然の重~ぉい発言に、体中の力が抜けそうです。


 本当に足が前に進まなくなって、立ち止まってしまった僕の顔を覗き込んだミル様の上目遣いが尊すぎて憤死するかと思った。


「あ。通じてよかった。住むところはどこでもいいから、頑張って長生きしてね」


 アンディーくん、ミル様の近衛隊より叙勲される「最強の強火担」の称号、謹んで賜ります。

 そして頑張って長生きします。

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