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妻が実家に帰りましたが、何か?

「そう。でも、幸いなことに、父上同士が幼馴染だろ? ダジマット王配から『君達の子供だと言って赤ちゃんを連れてきた変な奴が来てるんだけど?』ってすぐに連絡があって、君が連れ去られたことで半狂乱になった母上は、すぐに連れ戻しに行こうとしたらしいんだけど……」


「けど?」


「父上が母上を説得した。相手は良識がない。次はピーターバラ王宮に連れていかれたら取り戻せなくなるから、このままダジマットに預かってもらった方がマシだって。逆に僕たちがピーターバラに乗り込んで、王太后派をぶっ潰そうって」


「それで王位に?」


「いや、まずは王太后派と敵対する貴族達を集めた。王位は棚ぼた。君とミルドレッド姫の婚約が結ばれることになってから、王太后派を離反した貴族たちも加わって『貴族派』ができた後、ダジマットの姫のお相手が母上の第3子だからという理由で、母上が王位に就くことになった」


「しかし、ダジマット家はよくそれに協力してくれましたね?」


「ダジマット家にも利があったんだよ。ピーターバラは新しい婚約を締結するにあたって、前の婚約を破棄することに同意したんだ」


「解消されたのは、ダジマット女王の兄君の姫とピーターバラ王子の婚約ですね?」


「そう。そして、新しい婚約の締結者は父上同士だ」


「ん?」


「はははっ。気付いた? 立会人の『教育係』が新興貴族で、知識が浅くて助かった」


「リーズ王子クレメントの娘ミルドレッドとロスウェル公爵デインの息子ジョナサンの婚約は、ピーターバラには強制力がない?」


「リーズ国の王家と公爵家の婚約だからね。大人になって本人たちが嫌がれば解消すればいい」


「よく今までバレませんでしたね?」


「母上は王になったからね。王の機密文書は、王太后でも手が届かないよ。婚約証書を見ることができたのは立会人だけさ。それより、もう遅いから、続きは別の機会にしよう。奥方が待っているだろう? 結婚おめでとう」


「あ。ありがとうございます」


 また、だ。

 モヤっとするんだけど、じわっと嬉しい。

 ミルと二人の時に言われたことがないのが残念だ。


 ミルも祝いの言葉を貰ってるのかな?

 結婚のことを知ってる人が少ないから、まだかもな。


 部屋に帰ったら聞いてみよう。



 で、居室に戻ったら、奥方は……

 待っていなかったよ。


 一時間くらい前に就寝したってさ。

 ちょっとでいいから話がしたかったのに、ガッカリだ。


 どうしても今朝のことを謝りたくて、寝室を覗いてみようかと思ったんだけど、侍女に止められちゃったよ。


 僕たちが結婚していることを知らないのか?


 母上って、信頼できる部下が少ないの?

 僕たちの部屋付きの侍女ぐらい、事情を知っている人にしてくれてもいいと思うけど?

 力が弱いって、そういうことかな?


 居室で一杯だけお茶を飲んで、僕も自分の寝室に入ったら、そこにミルが寝ていた。

 というか、枕と枕の間に小さめの足裏が見えた。


 この寝相の悪さは、ミルしかないよな?


 ドキドキしながらデュベを剝いだら、やっぱりミルだった。


 ミルぅ~。

 くぅぅ~。

 かわいいぜ。

 

 パジャマはズボンタイプなんだね?

 君、寝相が悪いから、ネグリジェとかムリそうだもんね?


 僕はちょっとでいいから話がしたくて、ミルの背中を揺すって起こした。


 ミルは「ん~。もう朝? ジョナサン、おはよ。ちゅっ。戻らなきゃ」と言って、消えた。

 

 んあ?

 え?

 えぇぇぇ~?


 ミルはいとも簡単に僕の唇にキスをする。

 

 しばらくドキドキして固まっていた。


 そして、猛烈な後悔が襲ってきた。


 そうだった。

 寝相だけじゃなくて、寝ぼけも酷いんだった。


 朝だと勘違いして部屋に戻っちゃった。


 こんなことなら、起こさないで抱きしめて寝ればよかった~~~!


 次回があったら、絶対に起こさない。

 これ重要!


 でも、良かった。

 寝ぼけてキスしてくれたのは、仲直りみたいなもんだよね?


 僕はシャワーを浴びて横になった後も、しばらくドキドキして寝付けなかったが、幸せな気持ちで眠りにつけた。



 が、翌朝、ミルがいなくて大騒ぎになった。


 ドンドンドンドン乱暴にドアを叩くから出てみたら、女官達が部屋になだれ込んできて、デュベをガバリとめくったり、バスルームを見に行ったりと、どうやら僕が部屋に連れ込んだことを疑われたようだった。


 いや、連れ込みたいよ?

 でも、僕じゃないよ?


 次は、誘拐を心配された。

 僕もそれだと思って、すっごく不安になった。


 ミルは強いから、目が覚めればすぐに帰ってくると思うけど、誘拐されているのに気づかずに寝続ける可能性はなくはないよね?

 あと薬を使われたり?


 ダジマットのご両親に緊急魔導通信を送ったら、すぐに返事が返ってきた。


「お騒がせして大変申し訳ありません。娘は寝ぼけが酷くて、神聖国の内裏の自分のベッドで寝ていました。神聖国へ引っ越した際もたまにダジマットの自分のベッドで寝ていることがありましたから、半月もすれば慣れると思います」


 は?

 神聖国に引っ越した際って何?

 もしかして、僕たちが神聖国に亡命した時のこと?

 たまに寝ぼけてダジマットの自分の部屋に転移してそのまま寝ちゃってたってこと?


 マジで?

 聞いたことないよ?


 おやじからも、高位神官専用通信で、「うぇーい。ミリー、帰ってきちゃったよ? お昼ご飯食べさせてから戻すから、心配しないでね~」と連絡がきた。


 心配しないのなんて、ムリだよ。

 ミルぅ。

 早く帰ってきて~。

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