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第四話 クール系メスガキ美少女☆爆誕



『救ってほしいか?』


 突如聞こえた女性の声に、意識が呼び戻される。


 冒険者が助けにきてくれた? 

 いや、少なくとも俺の視界にそれらしき人影はない。


 だとしたら、これは一体なんだ?


『我は神、それも冥府を統べる王よ。

 ここに来た目的は一つ、そなたを救いに来たのじゃ。……戦士の魂は本来、奴の管轄なのじゃがのお』


 まるで俺の心を読んだかのように、ほしい言葉をくれるそれ。

 

 神、神か。

 そりゃあ……随分と定番な存在が来たものだ。


 ダンジョンが現れて13年。漫画やアニメの中でそうした上位存在がピンチの時に助けてくれる、というのは何度も擦られてきた。

 みな願っていたのだ、人類に牙をむいた幻想が今度は助けてくれることを。


 でも現実は違った。

 現れたのは人類の敵(モンスター)だけで、都合の良い味方はその影すら見せなかった。結局人間の力で逆境を乗り切るしかないのだ。


 これはただの夢。最期に見せた都合の良い幻だ。


『信じてないようじゃな?

 まあ別にそれでもよい。ただその身が朽ち果てるだけじゃからの』


 幻が突然突き放してくる。

 空想に現実を変える力なんてないんだ、そりゃあそうなる。最期にこんなものを見た自分を笑いながら、運命を受け入れてー-




『おにぃ、生きて帰ってきてね』




「ま、ってくれ」


 ー-なのに、俺は呼び止めていた。助けを求めていた。


 帰らなきゃいけないのだ。夕菜が待つ場所へ。

 他ならぬ俺自身があの場所を選び取ったのだから。


 声の主がにんまりと口角を上げた、ような気がした。


『我に助けを求めるか、人間? であるならばお主を救ってやろうぞ。

 ただし我と契約し、クール系メスガキ美少女になるならばなっ』


 ???

 やばい、最後の方は何言ってるかよく分からなかった。

 メスガキとは一体?


『ええい、まどろっこしいっ。

 このまま死にたいか、例え姿が変わろうと生きたいか、どっちじゃ?』


「っ、しにたく、ない」


 死んでいいわけがなかった。

 まだやらなきゃいけないことも、やりたいことも沢山あるのだ。


『ー-よろしい、彷徨える死者の魂よ。

 契約は成された。新しき使徒の誕生じゃ』


 彼女の言葉と共に、地面にあった視点が上がっていく。

 体が黒い光に包まれ、新しい真っ白な肌が生み出されていく。


 今までの全部、本当だったのか!?


『おおっ、これこそ我が追い求めた最強のメスガキよっ』


「なに、これっ」


 自身の口より発せられる、妙に甲高い声。

 確かに体は再生した。五体満足だし、問題なく動かせる。


 でも、何かがおかしい。


 視界が低いし手足も小さい? 

 それに、どうして俺は大きな鎌なんかを持っているんだ?  

 

『コンカで見るがいい。

 それがそなたの新しい姿じゃ』


 自称神様の言葉に、胸元の(なぜか紐で掛けられている)コンカを操作しカメラモードを起動する。


 そこにいたのはー-黒い服を着た美少女だった。

 目深にかぶったフード。その下で揺れる、透き通るような白い髪。すべてを吸い込むかのような真紅の瞳。

 10歳くらいの可愛らしい少女がその幼い顔をキッと引き締め、こちらを睨んでいた。


「!???」


 一体、誰だこれは? 変わるって性別まで変わるってこと!?

 てっきり頭に角が生えるとか、そういう追加要素だと思ってたんだが!?


 急いで自身のステータスも表示させる。


 月宮 マコ(C) Lv.1  死神 Lv.1    

 筋力 C          

 物防 E       

 魔防 E         

 知性 D        

 器用 B         

 敏捷 B         

 運  C  

  

 <スキル>

 攻撃系 

  絶命の一撃 Lv.1

 防御系 

  なし

 補助系 

  転移 Lv.1          

 加護系 

  冥王の寵愛 Lv._


 画面に並ぶ、圧倒的なまでのステータス。聞き覚えのないスキル。

 いや、ほんと誰だよ!? 名前すら全然変わっちゃってるしっ。マコってなんだ、マコって。こちとら生粋の日本だぞ!?


『ツッコミたい気持ちは分かるが、前を見なくていいのかのお。突っ込んできておるぞ。

 ……奴め、完全に我を忘れておるわ』


 その警告通り、突進してくるスケルトン・エミネント。

 慌ててバックステップを踏むも、それより速くその腕が俺をー-捉えることなく空を切る。


 回避に、成功したのだ。


「っ、っ」


 体が軽い、これが敏捷Bの力かっ。


 距離を取り、いつの間にか持っていた両手用の鎌を構える。エミネントの双眸がぎょろりとこちらを射抜いた。

 奴とまともに対峙できたのは、これが初めてだ。


 けれどー-まだ俺はスキルの使い方も知らなかった。

 この状況を引き起こしてみせた張本人様に問いかける。


「どうしたら、いい?」


『決まっておろう、我が使徒。

 我が思い描いたメスガキならば、撤退はない。力を以て道を示せ。

 Dランク殺し(ミドルキラー)なんて雑魚、覇道の礎としてしまえよ』


 俺の意図は違って、心地の良い檄を飛ばしてくれる神様。

 

 覇道……覇道か。


 うん、悪くない響きだ。

 何より少年心をくすぐられる。


 身も心も軽くなった勢いに任せ、目の前の敵に声でもかけてみる。



「どーてーのあなたは、マンマのお〇ぱいでもしゃぶってたらどうですか?」




 !!???

 お前が最初の相手だ、胸を貸してくれ、的なことを言ったつもりが、やべえ煽りをかましてしまう俺。


 メスガキのガキって餓鬼って(そういう)こと???



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