目立ちたくないんだが
翌日。早朝。
試験結果を確認すべく、俺はそそくさと士官学校へ向かっていた。
受験生は大勢いたのに、次の日には試験結果が公表されるなんてな。さすがは帝国最高峰の学校というべきか。
「最下位の点数取れてたらいいねー、レクター」
隣を歩くレナスが、のんびりとした口調でそう述べる。
「ああ。結果がどうなってるか……正直、俺にもわからん」
あんなに魔法の基準が変わりまくっているとは、さすがに俺も予想外だったからな。手を抜こうにも塩梅を掴むのが難しく、結果、老齢な試験官に声をかけられる始末になってしまった。
――まあ、落第してたらそれでも構わない。
《月詠の黒影》としての活動が行えなくなるわけではないからな。
「あ……あった。あそこみたいだよ~」
ほどなくして目的地に着いた。
校庭のど真ん中に掲示板が設置されていて、そこに大勢の受験生が集まっている。転生前、レクターも何度か見てきた光景だ。
……なんか年甲斐(?)にもなく緊張してくるな。
魔術試験は平均よりレベルが高かったようだし、《ファイア》の位置を外しすぎていなかったかどうか……
いろいろ考えすぎてしまう。
「あ、あったー! レナスの受験番号、あったよ~」
掲示板に到着してすぐ、レナスがそう声をあげた。
「も、もう見つかったのか……」
早い。早すぎる。
たしかにレナスは無難に魔術試験をクリアしていたし、それも当然の結果か。俺ももう少し、ベイリフ流の魔法を学んでおくべきだったか……
そう思いながら、俺は自分の受験番号を探す。
だが――
見つからない。
掲示板の端から端を探しても、俺の番号がどこにも見当たらないのだ。
「どうしたの、レクター? なんでそんなにしょんぼりしてるの?」
「……いや。良い塩梅を狙うのに失敗したようでな」
「なに言ってるの。あそこにあるじゃない」
「え……?」
――――
特待生合格者一覧
・レクター・ブラウゼル
ランクE教室
・カトレア・ミュスラム
ランクA教室
・ヴァハーム・レイド
ランクA教室
――――
「は……?」
おいおいおい。
特待生で合格とは……いったいどういうことだ。
しかも特待生って、《成績優秀者》ってことだよな? なのにランクEの教室に割り当てられるって……全然意味がわからないんだが。
今さらだが、サクセンドリア士官学校においては、受験時の成績によってクラス分けが行われる。
E、D、C、B、Aの順で優秀になっていくわけだ。Eはその最下位クラスであり、そこに入れたのは狙い通りなのだが。
(特待生なのにランクE……!? 意味がわからんぞ……!!)
俺の内心の叫びに比例して、周囲にも疑問の声が広まっていく。
「おい、あの特待生……おかしくね? 貼りミスか?」
「っていうかレクターって……。あんなしょぼい魔法しか使えなかった奴が、なんで特待生になってんだよ……!」
こりゃあまずい。
目立つのだけは避けたかったのに、これじゃなんの意味もないではないか。
「ふふ♡ さすがはレクターね」
上機嫌に微笑みながら、レナスが俺に腕を絡めてくる。
「目立つ気はないのに自然と目立ってしまう……。うふふ、そういうオチ、私も嫌いじゃないわよ♡」
「なにを言っとるんだ、おまえは……」
思わず額に手をあてがってしまう俺。
どうしてこんな結果になってしまったのか全然納得はいかないが――まあ、合格は合格だからな。幸いにも最下位クラスだし、目立たないようにしていれば大丈夫だろう。たぶん。
「おい、そこのおまえ」
そんな思考を巡らせていると、ふいに野太い声に投げかけられた。
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