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12/22

魔族をもてあそぶ12歳

 喪失魔法がいち、エンペラーバースト。


 前世ではただの《上級魔法》だったが、今生ではなぜかロストマジックと呼ばれているっぽいからな。


 ここは中二心を優先して、喪失魔法と呼ぶことにした。


《上級魔法》と言ってしまうと、転生者だとバレる恐れもあるからな。保身の意味でも、余計なことを言わないほうが賢明だろう。


 と。


 魔法を発動した瞬間、天空から一筋の火柱が勢いよく降り注いできた。


 それはまさに異次元の速度。

 信じられる速度でもって、火柱が魔族に襲いかかる。


『くっ……! おのれ……っ!』


 だが、さすがは腐っても魔族。

 翼をはためかせ、すんでのところで火柱を避ける


『フハハハ! 馬鹿め! いくらロストマジックといえど、それだけでこの俺を殺せるものか!』



「――ああ。殺せるさ」


 得意げに飛翔する魔族の頭上・・で、俺は高らかに笑ってみせた。


 使用している魔法は、空属性の《浮遊》。

 生まれたばかりの頃、両親の前で披露してみせた魔法だな。


『なっ……⁉』

 魔族は今度こそ、ぎょっとした表情で俺を見上げてきた。

『またもロストマジックを使ってくるとは……! 貴様、いったい何者だ……⁉』


「フフ。なあに簡単なことさ。この世に大事なものは努力でも才能でもない。不正チートだということだよ……!」


 俺はそう言うなり、眼下の魔族の頭を右手で掴む。


 そのまま勢いよく地面に落下し、地表に魔族の顔面を押し付けた。


『グ……ガガガガ……!』


 下半身をジタバタさせて暴れる魔族だが、不正の力には遠く及ばない。


 俺の手のひらの下で、ずっと動けないままだ。


『オノレ……あり得ぬ……! この俺が、人間ごときに力で及ばぬなどと……!』


「ふ……そうだな。これも不正の力といえよう」


 前世の俺では、さすがに12歳時点で魔族を翻弄する力はなかったからな。前世の力がそのまま受け継がれて――いや、それ以上の力を手に入れた可能性さえある。


「さあ、魔族よ。答えてもらおうか」


 俺は仮面の内側でニヤリと笑いながら、魔族に問いかけた。


失わせた魔法ロストマジックについてと、そしてこのタイミングでおまえが襲撃してきた理由について。洗いざらい、話していただこう」


『ふざけるな! 誰が貴様なぞに……!』


「クク、その威勢がいつまでもつかな?」


 グギギギ、と。


 俺は右手の握力を強め、魔族の頭部をさらに強い力で握りしめる。


『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ……!』


「おっと、気絶はさせぬぞ。ほれ」


 言いながら、俺は回復魔法を発動。


 意識が飛びかけた魔族の体力を少量だけ回復させ、気絶を防ぐ。


「気を失いたくてもできず……永遠に頭を締め付けられる苦しみ……。クク、気分はどうかな?」


『あ、悪魔め……! 貴様には人の心がないのか!』


「ああ、とうに失ったね」


 それにしても、いまのは魔族のセリフじゃない気がするが……


 まあいい。やることは変わらないのだから。


「さあ、答えるがいい。このまま口を閉ざすのなら、次なる拷問を――」


『わ、わかった……! 喋る! だから……!』


 ようやく懲りたか。

 次の拷問を試してみてもよかったが……残念だ。


 まあ、次の機会でもいいだろう。


「フフ、それでは答えていただこう。まずはロストマジックについて。魔法を衰退させたのはベイリフだと思っていたが……おまえたちも関わっているのか?」


『あ、ああ。というより、俺たちが――が、ががががががっがががっぁ!』


「ぬ……?」


 なんだ。様子がおかしい。


 さっきまでかろうじて理性を保っていたはずの魔族が、突如にして暴れ始めた。白目を剝き、口から泡を吹き、まるでこれは――


「っ…………!」


 ある予感を抱いた俺は、魔族から手を離し、すぐさまバックステップを行う。


 その瞬間。


 ドォォォォォォォォォオン!


 けたたましい轟音をたて、魔族が突然、大爆発を起こした。しかも俺の見間違いでなければ、身体の内部から破裂していたような……


 一歩間違えれば、俺も爆発に巻き込まれていたかもしれない。


「…………」


 俺の目の前に広がるは、文字通りの焼け野原。

 あれだけやかましかった魔族は、一切の姿もない。


 自爆した――というより、自爆させられたのだろう。


「フ……ハハハハ……」

 その光景を見て、俺は乾いた笑いを禁じえなかった。

「情報隠蔽のため、味方に呪いをかけたか……。どうやらこの事件、思ったより俺を楽しませてくれるかもな」




ここまでお読みくださり、ありがとうございました!


ここからどんどん盛り上がっていきますので、

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― 新着の感想 ―
[一言] それにしてもこの12歳、ノリノリである。 まぁ転生したとしてもお年頃だもんねw 彼の部屋の机の引き出しの中やベッドの下に魔道書(黒歴史ノート)入ってそう。
[気になる点] レナスの正体は多分あの人なんだろうけど、 果たして彼女の意識は本人かどうか‥‥
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