第三話 魔法能力テスト
「では、今から魔法能力テストを始めます。先ほどステータスを確認した時と同じ順で行います。」
来てしまったこの時が。
どう頑張っても逃げられないんだからしょうがないんだけどね。
よし。もう一度確認してみよう。
私は魔法を使う際に手を抜く。それはもう限りなく全力で抜く。
まあレベル詐欺とか思われるかもしれないけど、魔王の退治に行くよりはマシか。
なので学園長。そんな期待した目でこっちを見ないでください。
・・・レベル上げしなければ良かったな
「この的に魔法を当ててください。今の皆さんがどれくらいできるのかの確認をするだけなので失敗しても大丈夫です。ではリアム王太子殿下からどうぞ。」
攻略対象その1 リアム・マルティ
・マルティ王国の第2王子
・整った顔と生まれもった才能もあり、周りからの信頼は厚い
・ゲームの中では人気ナンバー1
・剣と魔法を使うバランスタイプ
「ではいきます。フレイム!フローズン!ウィンド!」
リアムが唱えると、火の玉、氷の塊、がそれぞれ的に当たり、そよ風より少し強い風が吹いた。
途端に歓声が湧き上がる。
え、何あれ。あのテニスボールサイズの玉で完成上がっちゃうの?
続く皆も同じような大きさの玉が的に当たっていく。中には的に届かない人もいた。
その中でも、攻略対象の一人であるマゴスがいたけど、彼の呪文は他の人よりも多少大きいだけだった。
ゲームの中では天才魔法使いと持て囃されていたのに!?
これでいいのか天才!?もっといけるだろ!?
・・・これはまずいぞ。
やばい冷や汗かいてきた。
前に、私がレベル上げをしたときに魔法を使ったら、クレーターができてしまったことがある。
まあそのあと魔力の調節したらちゃんと使えたんだけど。
しかし今まであんな小さいサイズの呪文唱えたことはない。
最低でもサッカーボール位だし。
・・・まあ、何とかなるでしょ。
うだうだ考えていても始まらない!
頑張ろ!
「次、グレース・フローレスさん」
緊張するな。集中力切れて魔法暴発しないといいな。
「期待してるよ!頑張って!」
そんなこと言われましても。
もう何も考えないぞ・・・
込める魔力を小さく・・・できる限り小さく・・・
待ってこれムズイ!いつもの何倍も集中して魔法の同時発動とか!無理!
どうする!?どうすればいい!?
やったことがない事を同時にやろうとしたことで私の頭はパニック寸前だ。
周りが何だ何だとザワザワしてきた。集中力が切れる。ヤバい!
そう思った時にはもう遅かった。
ドォォォォォォォォォン
竜巻が起きたかと思えば、辺り一面氷の大地と化し、あっという間に炎の渦に巻き込まれた。
そして10秒ほどして煙が消え、周りにいた人たちのざわめき声が大きくなっていく。
今まで私たちが立っていた場所には大きなクレーターができていた。
やってしまった
心の底から家に帰りたいと思った。
こんなことになったのは、皆の魔法のレベルが低すぎるからだ!
私は悪くない!
アッ!教師長の髪の毛が地面に落ちてる!
もしかしてかつr
いや。これは言ってはいけない気がする。
・・・とりあえずすいませんでしたぁぁぁぁぁ!
心の中が荒れ狂っていると学園長がこっちに来た。
もう一度言う。こっちに来た。
ヒエェェ!
もしかして私入学初日に退学!?
「ほほほ本日はお日柄もよく」
「凄かったよ!」
ん?
「あんなに凄い呪文は初めて見た!あれは何という呪文なんだい!?」
「リアム王太子殿下と同じものです」
そう言うと学園長は首を傾げ、耳をこちらに寄せてきた。
「最近耳が遠くなった様だ。もう一度言ってくれるかい?」
「ですから、リアム殿下と同じものです」
「ん?」
困ったように笑う学園長。そりゃそうだ。一応私のレベルは1なんだから。
「これが魔法適正999の魔法・・・皆どう思う?」
「「「ヤバいですね」」」
ハモった
それはそうと皆さん目が死んだ魚のようになってますけど
「とりあえず試験の続きをやろうか」
「私はどうなるんでしょうか?」
「後で学園長室に来てもらうよ。ついでに適正レベルについての話も聞くよ。」
「はい。」
「では、次の人!エマさん!」
「はい!」
ヒロインの魔法は果たしてどのくらいなのか。
「えい!ライトボール!」
とかわいらしく唱えると、ふわふわ的に向かって飛んでいく光の玉。
光魔法の使い手は滅多にいないようなので皆珍しそうに見ている。
「ありがとう。ちなみにグレースさん。今の魔法使えるかね?」
「多分ですけど・・・期待はしないでくださいね」
また的が壊れると思うんですけどいいんですか?
いいんですね?いきますよ?
光の玉をイメージして。丸くてふわふわの・・・
「ライトボール」
ダァァァァン
また一つ、的が壊れてしまった・・・
いやなんで!?私の想像ではヒロインちゃんと同じものが出るはずだったんだけど!
しかもこれ一番弱い魔法じゃん!
目の前をミサイルもびっくりの速さで光の玉が飛んで行ったよ!?
「グレースさん。後で」
「分かっております。学園長室ですね。」
何でこうなるのぉぉぉぉぉ!?
攻略対象その2 マゴス・ザウード
・天才魔法使いと呼ばれるほどの才能の持ち主
・家は伯爵家
・眼鏡をかけている、知的キャラ
・ゲームの中の人気はナンバー3
・魔法タイプ