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第二話 エマside

今日はゲームが始まる最初の日。

私は魔法学園の門の前で気合を入れ、近くの柱の陰に隠れる。


私はエマ。転生者だ。

この世界が乙女ゲームで、私がヒロインになっているということはすぐに分かった。

特に前世に未練は無い。むしろこれからのことを考えるとわくわくが止まらない。

強いて言うなら、ナナヒロの続編をプレイする前に死んでしまったことだけ。


まあ続編は悪役令嬢の過去とかその他諸々で、私には一切関係ないから別にいいんだけど。


大事なのは私がヒロインだという事。

さっきも言った通り私は魔王を倒して、この国の聖女として一生崇め称えられる生活を送る。

その為には悪役令嬢にいじめられているってことを攻略対象達に見せる必要がある。


なので、タイミングを見計らって悪役令嬢の前に滑り込み、いかにも悪役令嬢が押しましたという雰囲気を作る。

そうすれば、周りは私の見方になってくれて、攻略対象たちにも顔を覚えてもらえる。そして悪役令嬢に悪役だと思わせることができる。

まさに一石三鳥!



・・・のはずだったのに



なんで周りは遠くから見ているだけなの!?

そして悪役令嬢!・・・もう長いから名前で呼ぶことにする。

そしてグレース!何であんたは私にハンカチを渡している訳!?

そこは冤罪なんだから慌てて睨んだりするんじゃないの!?


周りがザワザワしだした。

仕方ない。ここは今までの作戦通り『悪役令嬢に押されてこけたヒロイン』を演じることにしよう。


「何でこんな事するんですか?」

 

「いや。まだ会って30秒なんですが。」


「はあ。お名前とクラスを教えてください。後ほど伺います」


そう言ってため息を吐いたグレース。

このため息使えるんじゃない!?


「私の名前はエマです。クラスはAです。」


「私はグレース・フローレスです。クラスは同じですね。はあ。」


もう一度ため息をついた。

今!


「ひっ!」


「どうかされましたか?」


「睨まないでください・・・。怖いです・・・」


見たか私の完璧な演技!

怯えたような顔!涙目!震える声!

完全に私は被害者!


こうしていれば攻略対象達も来てくれるでしょう。


「ではもう行きますね。」


そして私は愛されるの!

って・・・あれ?


「ちょっと待・・・」


行っちゃった・・・


草むらとか柱の陰とかに何時間も隠れて待った結果がこれ?

変な目で見られながらもこれからのためだと思って頑張ったのに?


しかも誰一人助けようとしてくれなかったし。

攻略対象誰も来なかったし。


もう、何なのよ!!!


私はグレースの行った方を睨む。それはもう鬼もびっくりの顔で睨む。


絶っっっっ対に許さない!!!




エマside END

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