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【カーネーション】  作者: 神崎慧
第二部
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第二部4話『始まりの記憶・自信の源泉』



 時間と場所を聞いた私は、そのまま別れを告げて電話を切った。

 すぐに登録してから電話を閉じる。

 携帯電話のアドレス帳はメモと一緒に残すことが出来るから便利だと思う。

 いつの客か、どんな人かを残しておけるから、すぐに思い出すことが出来るのだ。

 それにしても、だ。

 なにか、いつもとは違う気がしたのは何なんだろう。

 焦るのは今までの人と変わらないし、口調が丁寧な人も何人かいた。

 だけど、なぜだかは分からないけど、いつもとは何かズレてるような。

 なんか、そんな気がした。



 最初の頃は無差別に近い勧誘方法で麻薬の常習犯を捜し、実験台として使っていた。

 ただ、この商売は裏の世界のテリトリー。

 縄張りが荒らされれば攻撃して来るのは人間も動物と変わらない。

 しかも、私が売るのは大麻や覚醒剤といった有名なモノじゃなかったのも、原因の一つかもしれない。

 何度喧嘩を吹っ掛けられ、拉致され、犯されかけたか分からないくらいだ。

 まぁ、それくらいはあるだろうなと予想していたし、対策だってしていたからそれほど問題はなかったけど。

 要は、手が結ばれていようがなんだろうが、『そういったこと』を、相手にさせなければ良いだけの話。

 それは、相手の記憶を忘れさせることが出来る私にとっては、それほど難しいことではなかった。

 記憶を忘れれば、人は自分のことを知らないことになるし、何をやっていたか、何をすれば良いのかを見失う。

 それはヤクザでも警察でも、社会人でも学生でも変わらない。

 なにせ、それまでのことを――自分が何をしようとしていたのかも、すべて忘れてしまうのだから。

 鳥が最初に見たモノを親だと思うのとそれは、何が変わるというのだろうか。

 そうなってしまえば、嘘も本当も言われてしまえば鵜呑みにしてしまう。

 どんなに疑いたくても、覚えていないモノは肯定も否定も出来ないから、そうすることしか出来なくなる。

 そうでなければ、自分のことが希薄になるから。

 それを『怖い』と思ってしまうから。

 そして、一度植え付けてしまえば育つことしか出来ないし、記憶が戻っても――そうなった時に、たとえその時のことを覚えていなくても、身体が言うことをきかなくなる。

 私に危害を加えたり出来なくなる。

 そして、『思わず』私の言葉に従うようになってしまう。

 洗脳という言葉があるけど、あれは『脳を洗う』と書くものだし、有名な洗脳方法で寝ている時に言葉をかけ続ける、というのもある。

 催眠術を掛けるときに眠った状態にして頭を真っ白にさせるのもそれを使ったモノだと、勝手に納得している。

 それなら記憶喪失という状態は、その状況と比べてどんな違いがあるというのだろう。

 つまり、そういうこと。

 そうして色々なところで繰り返すうちに、私に手を出す人はいなくなった……。



「ふぁぁ。ねむ……」

 考えてみれば寝る準備が出来たところでの電話だったし、そうなるのも仕方ない。

 次の仕事は金曜――明後日の昼前だけど、明日は普通に学校に行かなきゃいけないし、放課後は約束がある。

 そろそろ寝なきゃ……。





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