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魔法を売る店-1

「だから人間に魔法(きせき)を分けることには反対なんだよ」


「ただの人間にも魔法きせきは必要よ。それに、この子はちゃんと約束を守っていたじゃない。一日二回、花の前でのお祈りをした成果が横取りされるのは可哀想よ。ねぇ?」


「は、はい」


 苛立った顔をする灼晶あきらの声に怯えている少女の頬に手を添えると、ひんやりと冷たい。

 こんな怖い思いをしたのに、泣き出さない勇気。それに、友達に裏切られても恨まない純粋な心。小さな隣人(妖精)たちから好かれる理由がよく分かる。


「…チッ。じゃあ規約を付け加えとけ。ガキに魔法は厳禁だってな」


「子供、口コミを広めてくれるからうちの店では大切なお客様なのよ?」


 紫と黒が混ざりあったヘドロ状のものに覆われてすっかり姿を変えた少女の友人が、グルリと大きな口が目立つ頭をこちらに向けた。


火よ起きろ(Rhowch dân) 旋回して(Trowch)焼き(Llosgi)払え(iffwrdd)


 変わり果てたソレが吐き出した棘を、灼晶あきらは渦巻く炎を纏った腕で薙ぎ払う。

 こんなことになったのはビックリしたけれど、驚異というわけじゃない。だから、胸に抱きしめた少女が不安にならないように穏やかな声を意識して、灼晶あきらに話しかける。


「それに…なにかあったときのために貴方がそばにいてくれるんでしょう?」


 彼はフンと鼻を鳴らして乱れた髪を両手で撫でて整えると、再び咆哮をあげた少ソレへ炎をまとった拳を振り上げた。

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