殺し屋少年
殺しの話をしよう。人も動物も一度の命、心臓が止まれば意識が遠のいて一生が終わる。永遠の眠りにつく。
それの手助けが家業の殺し屋。
僕の祖父は表の歴史に名前が刻まれた殺し屋で、父親も殺し屋として世界を飛び回っている。
活躍はお母さんからいつも聞いている。ちなみにお母さんも同業者でお父さんに殺されそうになってほれて結婚したらしい。
話がそれたね。僕ももう六歳だ。
祖父とお母さん二人から殺しの技術を教わった。
得意技は骨董品の銃剣でお腹を一突きした後、左右どちらかに切り裂くこと。
そうすれば、大きな血管を切り裂き、大量出血で即死させることができる。苦しまずにおくることができる。それが僕の心情で決意としている。
「ローウェイ! 初仕事よ!」
お母さんが笑顔で僕の所に来た。
初仕事って何だろうと思っているのはお母さんにもわかったらしい。
「そんなに気になる? 仕事のこと」
「……うん」
「わかったわ。お義父さんもお聞きになりますか?」
「そうじゃの。孫の初仕事か。楽しみじゃの」
詳細は家族にも秘密ってお母さんが毎日言っていたはずなんだけど。
平気で破っているし……。
祖父だからかな?
とりあえず、今は依頼に集中して終わったら聞いてみよう。
「それじぁあ、行こうか……」
「お父さん、帰ってたんだ」
「ああ、おまえの初仕事の手伝いだからな……。これは家訓にもある」
だけど、本当の気持ちはただ単に息子を死なせたくない。なんて思っているんじゃないかな。
お父さんは鋭い目と冷静にローブを羽織っているようにも見えたけど、いつもよりちょっと足幅が広い気がした。
内心はウキウキしているのだろう。
「では、行ってくる」
「行ってきます」
あいさつをしてお父さんと二人。仕事をする場所へ向かう。
移動している間に、お父さんからいろいろと情報を聞いた。
標的はある政治家。汚職、犯罪の隠蔽などに関わっており、生を終わらせるようにとの依頼が入ったとのこと。その政治家は今日、とあるイベントに出ていて裏路地から帰ろうと車を用意させていた。
案の定、黒の高級車がその場所に止められており、いかにも待っています。と言っているものだった。
僕もローブの中に得物をしまって車に近づいていく。
政治家がドアを出てくるときには後二歩で懐に入るまでに接近できた。
「おや、ボク。こんなところに――ッ!」
その二歩を一気にすっ飛ばして、左手で逆手に持った剣を右手で深く刺さるように支えてお腹に剣を突き立て深々と刺す。今回は相手の左に切り裂いて体を護衛の銃弾を防ぐようになってもらう。
でも、護衛達は銃を抜いて僕めがけて撃つことはなかった。
お父さんが全員を殺していたからだ。
全員で四人。瞬殺。
すごい。
僕は一層、お父さんをカッコいいと思った。こうなりたいと思った。
頭から赤い血を被っていた僕は憧れた眼差しをして笑った。