皇国の裏噂
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人間の言葉を話すのは人間である。それはごく当たり前のことである。しかし、その摂理は魔法が関われば別である。ある男の話をしよう。あるところに貧しい少年がいた。彼は孤児でありながら魔力の才に恵まれたために人生が突如変化を遂げた。彼は大貴族の養子になり、学ぶことさえ叶わなかった字・国の歴史を学べることができた。それだけではない。彼を最も魅了したのは魔法の知識である。勉学熱心な彼はその支援者のもとで期待を上回る人へと成長した。彼は貴族の魔力が高い理論を打ち破り、能力主義の皇国で地位を上げていった。やがて彼は後にその力で最下層の地位から高位の地位まで成り上がった皇国の強者にのぼりつめた。この彼のように膨大な魔力を持つ者は表舞台で多くの富・名声を保証されるだろう。したがって、魔法の才能を裏で使う人はいない。一部を除いては————。
さて、例外の人間を紹介しよう。場所は皇都の不特定多数、あるところは市場街の路地裏、あるところは酒場で賑わう通りの脇道とまさに神出鬼没。そいつはいつも獣の姿で現れる。そして、一つの問いを提示し、尋ねるのだ。邂逅したある人物の証言を抜粋して言うならば「その解を言った後には忽然とまるで誰も居らず、自分で独り言を話した錯覚に襲われる」と。そして後日、自身の願いが叶っていることであのやり取りは本当にあったと自覚されると話した遭遇者は語る。もう一度言おう。皇都内で絶えず噂になっている奴がいる。もしあなたがそれに出会ったら話しかけても意味がない。あいつは興味ある人間しか話さないから。でも、もしまさかの確率で話す機会に恵まれたら、あなたの理性は揺らぐこと間違いない。だって、『動物に自身の消したい人間の名を伝えると数日後、………眠るように息を引き取っている………………』という話が本当にあるのだから。