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それは、初老のルグランにとってもファンタジーで・・・・


心の中にある限り、いつまでも輝き続ける☆のようだけど

だからといって、どうする事もできないし、してはいけない。


そういう存在なのだ。



少女、セシルにとっても同じだろうとルグランは思う。



「もう少し、年齢が上なら」と、ルグランはマリエルのことを連想する。



ほんの少しだけ、マリエルはルグランに出会った年齢が上だった。


16か、17。なのだけど


それでも、身を挺するだけの無鉄砲さがあったマリエル。



性格、なのかもしれないけれど。



その時のマリエルが、可愛かったので

ルグランは、この少女が・・・・幸せになるようにと考えた。


「でもなぁ」と、ルグランは呟く。



マリエルは進学で困っていたから助けただけで・・・偶々、ルグランがピアノ弾きだった、

と言うだけ。



セシルは、特に不自由のない中学生である。

かわいいボーイ・ミシェルのような友達が居て。




それでもなお、セシルはルグランには可愛らしく振舞うのである。




可愛らしい娘が笑ってくれて、疎ましいわけもないが

その存在を、どうすることもできないルグランである。


まさか、孫くらいの娘とデート・・と言うわけにもいかないし

実際にそうしたら、やはりセシルの幻想を壊してしまうだろうと思う。








そんなある日・・・ルグランの乗っている旧い乗用車の

部品供給が絶たれるというニュースが齎された。



遠い、温かい地方で作られているその部品が

悪い疫病と、戦争・・・などの理由で


もう、入手ができなくなる。



かなり旧い乗用車なので、もう、とうに供給を止めても

メーカーとしての責任は果たされる。


だが、ずっと供給を続けていたのは

世界中でそのクルマが売れ、未だに使われているために

メーカーとしても対応をする必要があった。




のであるが。



そのような事情で。



ルグランも考える。



このところ、電気系統の不調が続いていた。


騙し騙し走っていた。




ルグランひとりならいいが、年老いた母は

わがままになり、そのような時に

怒ったりする。



故障で、ただでさえ困っている時に

そんな同乗者は迷惑だ。



・・・でもあるし、国の擁護施設に放り込むのも

かわいそうだとルグランは思った。




特に、今乗っている乗用車が

好きで乗っていたワケでもなく・・・・堅牢だから、乗っていただけ。



そういう気に入り方もあるのだ。



どことなく、若い頃好きだった117クーペ、に似ていたから。

そんな理由も少しはある。



が。




事情が事情である。




ルグランは旧い友人、小さな町工場を経営している彼に

「旧友が、自動車の販売店にいたよな」


と、電話してみた。



工場の親父らしく、その友人は「娘が中古車にいるよ」と

単刀直入。




ルグランは、「わかった」と、これも簡潔に答えて

電話を切った。


坂道の途中にある、ルグランの家の2階。


楽器部屋で、コールしていた。



雨が降っており、旧い自動車のトランクに

また水がたまるかな、などと気に掛けた。



エンジンだけは快調に動いていたのだが

その、ガソリンを吸い上げるポンプが

使用限度を超えて使っているので

いつ、壊れるかわからない。



時々、老母を乗せてスーパーマーケットなどに行った

帰路、エンジンの始動が瞬時、とはいかないこともあった。


そんな時、ルグランは

一度、電源を切ってから

もう一度。


そうすると掛かる。



コンピュータ仕掛けの楽器、などと少し似ていて


空気を吸う量、空気の温度。


そういうものを計算する時に、多少、問題がある時もあったりする。




そういう時、老母は怒ったりすることもあった。



なぜ、そんなに感情的になるのか・・・?




と、ルグランは困惑した。












そういう思いもあって、新しい乗用車にしようか、と・・・ルグランは

隣町の、工場地帯にある


旧友の娘、が勤めているその店に行って見た。

途中で故障すると困るので、恐る恐る。



ゆっくり走って。


海岸通りを。


若い頃、オートバイでこの道を走っていたことを思い出す。


黒いオートバイだった。



スムーズで、不安なく100km/hを超えて走る事も出来た。

その道を、いまはゆっくりと40km/hで。




鉄道をオーバー・クロスして。6車線の道路。

あまり好きではないが、迷うのも困る。



そのお店は、まだ開いておらず


隣に止めて。車を見てみた。



一番安い、小さい、角ばったクルマにしようかと思った。


ベージュの、大人しい、質素なもの。乗用タイプ。

=$7500くらいである。



それでもいいかな、と思っていた。が・・・。



その後ろにあった、丸い、愛らしいデザインの

ミント・ブルーのポップな感じの乗用車が気になった。


内装もニットで、アイヴォリーなので明るい、綺麗。


部屋のようで洒落ている。



=$10000と、少し高くなるが。



それなら、乗っていて楽しいのでは?などと思った。




セシルの存在が、ルグランの心を若返らせたのかもしれない。




可愛らしいものを愛でる、そういう事をしたかったの・・・だろうか。

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