Legrand
道路の真ん中に、石畳。路面電車の軌道。
その左右に自動車の通る道。片側が2車線くらいで
結構広い。
舗道があって。ガス灯のような街灯が立っている。
古くからある街。
あの、花屋さんの前の歩道に、MotoGuzzi V7 sport。
お花が、色とりどり。
さっきの青年が、ミシェルを見かけて「やあ」
ミシェルは「バイクっていいですね。僕、モペッド乗ってみたんです」
青年はにこにこ「そうか。いいよね、風を受けて走るのって。」
ミシェルも、はい。と、頷き、さっきの出来事を話した。
エメラルド・グリーンのベレット1800GT。
そのオーナー、ヴィッキー。
そして、ルグラン。
カフェで、マリエルに出会ったことは、なぜか言わなかった。
ミシェルだけの秘密、にしたかったのかもしれない。
「ルグランさんに出会えて、偶然。セシルのことも言えたんです。」
青年は「そうか、よかったね。店長に伝えておくよ。わざわざありがとう。」
さわやかに。
「すみません、お手数をお掛けします」と、ミシェル。
店の中に、静かな音楽が流れている。
ストリングスの綺麗な・・・ジョニー・ピアソン・オーケストラだった。
「朝もやの渚」と言う・・・綺麗な曲だった。
「いい曲ですね」と、ミシェルはにっこり。
青年は「そうだね。心が落ち着くね。お花みたいにね。」
ミシェルは、店長さんも、この青年も
どこか、お花のようだな・・・なんて思ったりもした。
「バイク、乗るのかい?」と、青年。
ミシェルは「いつか、乗ってみたいけど。最初はモペッドからの方がいいかな」
青年は「そういう考え方もあるね。」と。にっこり。
「ルグランさんは、図書館に行ってくれるの?」
ミシェルは「はい。それだけでいいの?って。
優しい人ですね。ルグランさん」
青年は「そうだね。天使さんみたいな人」
ミシェルは、そうかもしれないな・・・なんて思う。
穏やかで、温かみがあって。
セシルが、なんとなく、可愛くなったのも・・・分かるような気がした。
ミシェル自身も、ルグランの前では、かわいい少年でいたい。
そんな風に思ったりして。
感情をぶつけたりする気にならなかった。
少年ミシェルとしては、もうちょっと尖がった事も言いたい年頃なのだけど。
実際、セシルには尖がった事も言うのだ。
「セシルちゃんに言ったの?そのこと」と、青年。
ミシェルはかぶりを振り「言わない方がいいのかもしれません。
僕が何か言うと、言い返すだろうし。」と、にこにこ。
青年もにこにこ「そういうもんだよ。同い年って。仲良しだから、そう言えるって
安心してるんだ」
ミシェルは「そうなのかなぁ」
青年は「そうだよ、きっと。ルグランさんの前では、可愛くしたいって思うけど・・・
それって演技みたいなものでしょう?でも、ミシェル、キミの前では
素直に言えるの。親しいから、じゃないかな。」
ミシェルは「ルグランさんとセシルが親しくなったら?」
青年は「うーん、わからないけど・・・年が大きく離れてると、やっぱり
年下って可愛くなってしまうんじゃないかなー。可愛がられる方が楽しいし。
ルグランさんだって、可愛がってる方が楽しいでしょう。
店の音楽が、「恋はやさしく」に変わった。
恋・・・・。ミシェルに、そんな言葉を連想させた。
「どちらが恋なんでしょうね」と、ミシェル。
青年は「恋って言葉は、いろいろだものね。人によるのかな」
ミシェルが、そんな言葉を口にしたのは・・・・。
セシル、めぐお姉さん、マリエルさん。
みんな、好き。
なんだけど、恋ってなんだろうな?僕は不純なの?
なんて、疑問を感じたから。
少し、涼しい風がミシェルの頬を撫でて・・・・・いった。




