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花屋さん

「・・・・・・。」少年探偵ミシェル(^^)は、考える。



「・・・あのおじさん、どこかで見たような・・・?。」

楽器の本とか、楽譜とか。

旅行の本とか。

そんなものを持ってたなぁ。


なーんて。よく観察している少年である。



広い大通り。

頭上には、路面電車の架線が吊られていて。


通りの真ん中の軌道は、昔のままの石畳。路面電車が

赤いボディを揺らしながら、ごとごと・・・走り過ぎて行く。


街道には、両側にお店が立ちならぶ。


カフェ、楽器のお店、レコード店。

洋服のお店・・・。


路地の角には、花屋さんがあったり。前に、シトローエンのバンが停まっていたり。


ふつうの風景だ。



丘の上に向かうケーブルカー乗り場。それに乗って行くと、国鉄の駅だ。

坂道の両側には、狭い路地に沢山のお店が並んでいる。


ジャズ・クラブがあったり、酒場があったり。


少年は、あまり縁のない辺りなので

ミシェルは行った事が無かった。



「・・・あのおじさん、いつも、白い車に乗っていたっけ。

お母さんを連れて。」

そんな事を思い出す。



ふるーい国産車で、あまり見かけないタイプのセダンだった。



そんなディテールを手がかりに、聞き込み捜査の刑事、ミシェル(笑)。



不審がられたり、「なんで?」と、問われたり。




「まあ、あんまり言わないよね」と、ミシェルは途方に暮れて。


さっきの花屋さんの前に戻ってくる途中。その、古い白い車が通り過ぎるのを見た。



「あ!」と、ミシェルは駆け出して。追いかけたけれど

自動車を追いかけても、無理だ。



花屋さんの角を曲がって、白い車は丘の上の方に登っていった。


ふんわりとした、上品な動作の車だった。



立ち止まり、そのセダンの後ろ姿を見送った。


花屋さんの中からも、そのセダンを見送る青年、それと

黒いエプロンをした、エレガントな婦人の姿。



青年は、ミシェルを見て「やあ」


ミシェルは「・・・こんにちは」


青年に会ったことはないけれど、なんとなく見覚えがある。

この通りはよく歩くから。



婦人は、ここの店主だろう。穏やかに微笑んで「くるま、好きなの?」



ミシェルは自動車も好きだけど「はい。あ、いえ・・・あの車って、珍しいですね」



青年は「そうだね・・・・・。国産だけど結構古いから。30年は経ってるね。

あんまりこの町にはないね。ルグランさんとか」




ミシェルは「ルグランさん!」と。



婦人はにっこりして「ルグランさんにご用なの?」



ミシェルは頷く。



青年は「どんなご用なの?」




ミシェルは素直に言った。セシルの事、図書館の事。


この頃ルグランさんが土曜に図書館に来ないので、セシルが淋しがっている、って事。




婦人は微笑み「いい子ね。お友達思いの。・・・そう、ルグランさんは

クラブでピアノを弾いてるの。」


と、クラブの場所を教えてくれた。

「でも、大人しか入れないから・・・・。あとで、私がことづけてあげるね。

私は入れるから。」


と、にっこり。

微笑みはまるくて、どことなく少女のようで。


ミシェルは不思議に思った。「この人は・・・いくつくらいの人なんだろう?:

この国は共和国だから、いろいろな人が居るけれど

あまり、見かけないタイプの人だった。




でも、取り合えずはキッカケがつかめた。それだけで満足だった。


「ありがとうございます!」と。

深く礼をして、また、駆け出した。




婦人は「あらあら・・・元気な子ね。」



青年は、お店の前の歩道に止めてあるオートバイ、MotoGuzzi V7sportに手を触れて

「僕も、あのくらいの頃はあんなだった・・・のかな?」


と、微笑んで、ミシェルの後姿を見送った。




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