Jazz
でも。
めぐは思う。
アメリカンみんなに、魔法を掛けるなんて
わたしには、出来そうもない。
「やっぱり、ルーフィさんとか、ご主人くらいの力がないと」
と、めぐは自信がない。
それは、めぐは経験がないので
魔法の力、が
どのくらいのものか
自分でも分かっていないから。
でも、めぐの魔法は
HiggsEnvironmentの電場エネルギー。
ルーフィと同じ、ー1TeVの
エネルギーを秘めている。
それを、使った事がないだけ、なのだ。
そういう、でも、やってみないと!
めぐは、ルーフィが消えたらやっぱりかわいそう。
そう思って、神様に
お願いをしてみた。
メールで(笑)
from:meg@megunokuni.com
to:god@heaven.com
やってみます!
この、唐突なメールに神様は面食らったけど(笑)
意味は分かった。
「何か、勘違いしてるのかのぉ、でも
それも若いうちじゃな」と
微笑みながら、めぐの力が上手く使えるようにと
かつて、魔法使いルーフィが使った
超電場磁気エネルギーによる神経回路解放の
方法を、めぐにメールした。
ルーフィは、それを使って
政府の要人たちの心の痛みを癒した。
めぐの国の。(笑)。
それで、めぐの国は救われたのだから。
めぐが、歩きながらメールを打って
決意凛々しく(笑)しているうちに
ラジオの音楽が代わる。
DJは、楽しそうな英語で
and now,fantastic Rhythm and bluce.
in 1976, Stevie Wonder and Ramsay Lewis
"spring-high" .
と、さっきのヴァン・マッコイみたいな
音楽が弾むように始まった。
ベースドラムが4拍子、4つ打ち。
それに、シンセベースが絡まるようにパターン。
*
* *
* *
* *
*
みたいに、昇っていくランニングベース。
でも、STEVIE WONDERの左手だ。
それが4パターン続く。
ピアノは、ラムゼイ。
メロディーを奏でると、STEVIE WONDERは
右手でコード伴奏をする。
ギターが、オブリガーダ。
そのうち、ピアノとシンセが
同じメロディーを奏でて。
仲の良い友達のように、めぐには思えて。
心が躍るような。
そういう音楽だと、思った。
お互いに引き立てあって、楽しそうに。
ジャンルは違うけど、ヴァン・ヘイレンの
ギターソロの時、みたいな
友情を感じて。
やっぱり、音楽っていいなぁと
めぐの心の中に、アンサンブルがイメージされて。
記憶。
煩わしい事ばっかの日常でも
こんな音楽が、あれば。
ひととき、いい気持ちになれるね。
でも、なんとなく。
めぐは、駅へのエントランスを
歩きながら思った。
STEVIE WONDERもいいけど。
「やっぱり、リチャード・ティー」と
思わず声に出てしまった(笑)。
大きな声だったので、またまた
となりのれーみぃはびっくりして(笑)
「リチャードって、ああ、さっきのトトロさん?うんうん。めぐって優しい人が好きだもんね」と、にこにこ。
めぐも、なんとなく笑顔になって
「うん。優しいっていうか、あったかで。
」と言うと
れーみぃ「やさしくしてぇ〜、わたくし。
火をつけた、あなたの責任、最後まで」と
おどけて。
何言ってんの、このお嬢ちゃんは、と
Naomiがニタニタしながら、れーみぃを
はたく真似をして。
駅のホームに、Bluemorrisゆきの
上り列車が入ってくる。
さ、仕事仕事、と
リサは、にこにこ。
改札を抜けようとしていると、めぐの
携帯がまた鳴った。
エドワード・ヴァン・ヘイレンのギター。
errrption!
なにそれー、きゃははっ、って
笑うれーみぃ。
メールは、めぐの国の神様からで
どこかから転送された、見慣れない文字で
書かれた数式。
何かの呪文のようにも見える。
model dim = zero;
pie(x)= 1/d * r/y2 ;
.....
end dim
めぐに読めたのはそこだけだった(笑)
それが、どうやら
higgsEnvironmentの電場を全て解放する
プログラムであるらしい。
見る人によっては解るが、魔法の呪文にも
見える。
そのパワーを使えば、全ての人の心の中にある
神経回路の分子、そこにあるHiggsEnvironmentを解放して、その電場で
ずっと、心を癒す超磁気回路を動作させられる。
具体的には、Fearに繋がる神経回路の
接続を抑え、過去の記憶で受けた心傷を
癒す、のである。
true
「一晩のバイトくらいで、汽車賃になるのかしら」と、めぐが言うと
リサは「うん、いいのよ。国鉄だから。国民が困ってる時は、乗せてあげるの」と
昔々、戦争が終わった頃
兵隊さんたちを乗せてあげたり。
そういう、話をした。
だって、助け合いだもの、って。
「じゃ、私達が困ってるって思ってくれたんだ」Naomi。
「うん、そーだよぜったい。だってさ、名機関車乗りの孫が居なくなった、なんて」と、れーみぃは、楽しそうに
まだ、Naomiのケータイラジオを持って。
インターネットラジオだから、いろんなとこからの音楽が聴けて。
曲が変わる。
next track, Movie Theme from "A star is born -evergreen-" sound by Ramsay Lewis .
in 1976
DJは、静かに語る。
グランドピアノと、ギターの音が絡んで。
傾きかけた北の夕日に、よく似合う。
その音楽を聞きながら、旅情に浸るのに
よくお似合いだ。
もちろん、めぐは
自分が触媒となって、アメリカンが救われて
結果、リサとNaomiの就職が上手く行く事、なんて
気づきもしないけれど
それは、それでいい。
別に、めぐは偉い事をしたいなんて思ってもいない。
どちらかといえば、静かにしあわせに
暮らしていけたらそれでいい、
そんな風に思ってる。
だから、リチャード・ティーみたいに
優しい人がいいな、なんて
思ったり。
「めぐってさ、才能のある人とかが好き?」れーみぃ。
「そんな事ないよ?どして」と、れーみぃの言葉に
めぐは驚く。
そんな事を思った事ない。
「だってさ、あのトトロさん、ピアノすっごく上手だし」と、れーみぃは、今ラジオから流れてるピアノを聞きながら。
めぐも、ふとRamsayのピアノに耳を傾ける。
「うん、ピアノは上手じゃなくてもいいの。
なんとなく、リチャードって優しいから」と
めぐは、会った事あるので、ついつい(笑)。
「優しい人かー。そうだね。ピアノも
なんか、ほのぼのしてるもん」と、れーみぃ。
めぐは、気づいて「あ、うん。夢に見たの。
リチャードたちが演奏してるクラブにね、行った夢」と、時間旅行した事を
夢、として話した。
「夢っていえばさぁ、一昨日だったかな。
おじいちゃんの夢みた。がんばれ、って
言ってて。」と、リサ。
めぐは、気づく。
それは、めぐ自身が魔法で、リサの夢と
天国のおじいちゃんとを合わせて。
リサの心残りの事を、おじいちゃんに
聞いて貰って。
悩みを。
でも、めぐは、ほんとの事を言ってしまいそうだから
黙っていた。
ディーゼルカーが、線路を揺れながら
。
NorthSTARの始発駅へ。
ディーゼルカーは、ふんわりエアサスペンションなので
ステップに昇ると、車体が傾く。
れーみぃは、おどけて「めぐぅ、太ったんじゃない?」なんて、笑って。
「えー?そっかなぁ。空気バネよ、これ」と
めぐは空気バネに掛かる力を考えたり(笑)
理系女子である。
model air_sus;
f="total_force";
m="mass";
g= 9.8;
h= 5;
equation
f=mgh*cosθ;
end model air_sus;
なんて、こういう事をイメージしたりする。
「リチャードさんは
重そうだから、もっと傾くね」と、リサ(笑)
「いいのっ!」めぐは楽しそうだ。
「でも、リチャードさんって、奥さんいるんじゃない?」と、Naomiは現実的。
「そっか。」めぐは、ちょっと気づく。
ミュージシャンだから、きっっと
いっぱいモテるだろうし。
奥さんは平気なんだろうか。
でも、めぐは思う。
リチャードさんみたいに、天真爛漫だったら
きっと許してしまうし
奥さんだけを、愛していて
でも、ガールフレンドがいっぱいいても
それぞれの人に、優しいんだ。
そんな風に思って。
そう思うと、それも愛かな、って思って。
ルーフィさんが、元々恋人がいるのに
めぐ自身だけを見てほしい、なんて言ったのは
ちょっと、子供っぽかったかな、なんて
その日の自分をすこし、恥ずかしく思ったり(笑)。
「あのさ、めぐのお家に居たイギリス青年も
優しそだったね」と、れーみぃが言うと
めぐは、動きはじめたディーゼルカーの
向かい合わせの椅子に、れーみぃと座ってるので
ちょっと、さっきのHugを思い出して、恥ずかしい。
「優しくないよ。ちっともぉ。。。。おのれ、ルーフィのスケベ!」と、思わず叫んで(笑)。
となりのボックスシートに居た、リサや
Naomiまで、身を乗り出してきて
「なんかあったの?」
「やったぁ。」(?)
とか、言われてしまって。
それが、彼の夢の出来事だと
説明するのも面倒だし(第一、理解不能だ)
困ってしまっためぐだった。
大人になると、秘密が増えるって。
と、弁明を考えたけど、嘘が下手な
めぐ。
どうしたって、魔法使いルーフィは
悪者になって。
めぐに狼藉を働いたので、国外追放になったとか(笑)。
そういう事になってしまった(笑)。
終着駅、Bluemorrisのひとつ手前、
Eastーで、下りるリサ。
「さ、下りるよ」と、言うと
ああそっか、とNaomi。
どして?と、めぐ。
ケータイラジオを、Naomiに返して、れーみぃは
「汽車の支度、手伝うんでしょう?」と
お嬢さんはよく気がつく。
「そっか、昼間も手伝えばよかった」と、めぐ。
そこまでしなくてもいいのよ、とリサ。
朝着いた列車を、洗って、お掃除して。
シーツや枕を取り替えて。
食堂車の仕込みをして。
帰りの列車に仕上げる。
そんな、勤勉な寝台列車。
今日の上りは、21時5分だから
最初からベッドメークした状態で、入線。
「それで、客車区の駅で降りたのかぁあ」と
めぐは、感心する。
みんなで支えているんだね、国鉄を。
たそがれ時の、夜行列車。
出発を待つ青い車体を見ていると、なんとなく
旅情があっていいものね、と
めぐは思う。
これから、長い長い夜を
列車の中で過ごすのって
変わった夜で、素敵。
みんなと一緒だし。
その、みんなの国鉄、が
神様たちのおかげ、それと
めぐ自身の魔法翻訳(笑)のおかげで
守られた、とは
めぐ自身にも、もちろんわからない。
遠い外国の話だし。
その、北の町の夕暮れは
すこし涼しげで、爽やかで。
駅で下車して歩く4人にも
爽やかなImpressionを。
Naomiのインターネットラジオではなく
駅のそばにある、喫茶店から
音楽が流れて。
それは、4ビートの軽快なピアノと
コンボだった。
シンバルが輝くよう。
ベース、ドラムも弾むように自由。
それは、WyntonKellyの演奏だったが
名前までは、誰も知らないけれど
それはそれでいい。
めぐは、自分のスマートフォンで
楽器の音を鳴らしたくなった。
StudioOneを動かして、ベースの音を
シンセサイザして。
ビートに合わせて、メロディーを適当に
弾いてみた。
スライドしたり、ハンマーしたり。
タッチセンスで。
「面白そう」と、リサは
めぐの指先を覗きこむ。
「これでバンドできるね」と、、リサは
面白い事を思いついた。
「そーだね。」と、れーみぃは
元々自分のケータイに入っていた
音源ソフトで、適当に
リードメロディーを弾いてみた。
「これで、路上ライブもできそう」と
めぐ。
ベースとリード、ふたつの自由めメロディーが
アンサンブルすると
それは、ふたりの友情のようだ。
めぐは、スティーヴとリチャード、
スティービーと、ラムゼイ。
そんな、アンサンブルを思い浮かべた。
「どうやるの?」と、リサが聞くので
ケータイに入っていた楽器ソフト音源で
ドラムの音を、とりあえずパートして貰った。
Naomiのスマートフォンには、DTMソフトが
入っていたから
サックス音源で。
みんな、それぞれにメロディーを奏でる。
「音楽って楽しいっ」れーみぃは、にこにこしながら
ケータイの物理キーで、音楽を楽しんでいる。
みんなと一緒に、ひとつの曲を奏でている。
と言うか、その時の気持ちで、曲を作っている。
めぐは、とってもいい気もち。
好き、こんな気持ち。
そう思ったり。
窓辺から流れていた、
1960年代のアメリカンなJAZZが
時を超えて、今のわたしたちの気持ちに。
とっても不思議。
音楽も時間旅行みたいだ、って思う。
その頃のアメリカンが、いまより幸せだったかと言うと
その年なりの苦労があったのだろう。
でも、楽器を弾いてJAZZしている時の
プレイヤーは、その瞬間幸せだったのだし
それを聞いてリスナーも幸せだったのだろう。
同じ頃、同じアメリカで
やっぱり戦っていた人もいた訳で
それは、それぞれの好みなのだろう。
でも、戦って攻撃される対象にされると迷惑だし(笑)
やっぱり、アメリカンの神様のしたのは
いい事なんだろうな、なんて
めぐは思ったりする。
自分たちには関係ない(笑)けど。




