表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/75

EQ


リサのおじさんは、

非常停止の連絡を機関車に伝え、

機関士は、最大常用ブレーキを掛けた。




緊急ブレーキではなく、普通に駅に

止まる時に一番強く掛けるブレーキ。



緊急ブレーキは、車掌室から掛けられるけれど

そうすると、事故扱いになってしまうから

極力避ける。



その為のブレーキ紐は、封印がされているので

使うと、指令に報告するとか

書類を書くのが面倒なので(笑)。



事故ではないのは、その様子から解るけれど



列車は、機関車が構内信号を越えたところで

停止。


リサのおじさんは、乗務員室の扉を開けて

ホームにでていった。





「なんだろ?」と、めぐも思ったりしたけど


おじさんは走って行かないから

危険はないのだろう。




そう思って、窓越しにホームを見た。





次の列車が出るまでは、30分はあるけれど

その列車を待っている人々は、何事かと


この列車を見ている。





そのうちに、ひとだかりが

出来たのは

ひとつ前の、となりの車両のドアのあたり。



黄色いヘルメットに青い作業服の

おじさんふたりがドアを見ている。




「ちょっと見てくる」と


めぐは、気になって。



ひともまばらの客室から、となりの車両へ。


ドアを開いて、洗面所とデッキを過ぎて。


見ると、となりの車両のドアが

折り畳みが上手く開かずに、きちんと閉じないで


隙間が出来てた。





よーくみると、ガイドになっているレールから

滑車が外れて

ドアが、行き先に到達出来なかった。





「ははぁ、これか」と、ヘルメットのおじさんは


ドアを一旦開けようとした。


非常コックで、空気を抜けばいい。


でも、そのコックは

ホームから開けられない。





たまたま、内側に居ためぐに


「そこのコック開けて」と、リサのおじさんは

声掛けた。




見上げると、ドアの上に

赤い枠でペイントされた非常コック。



普段、触ったことないし




「みだりに使うと列車が停まります」(笑)


とか書いてあるから。




ちょっと、ドキドキ(笑)。



そのガラス扉を開けて、ガスの元栓みたいなのを捻ると、空気が抜ける音がして。


ドアが、開こうとしたけど


レールから、ガイドが外れてて。


開かない。





めぐには、機械が痛がってるみたいに見えて。



「もとに、もどれ」そう思ったら




ガイドは、レールを乗り越えて


すぅ、と収まった。





金属の形を、モデリングして

変形させたのだった。




時間軸を変えるよりは、楽。



ヘルメットのおじさんからは、見えないし

客室にいたひとから見ても、ガイドを

滑車が潜り抜けたようにしか、見えない。


空間が歪むのは、重力場では

頻繁に起こるのから


例えば、宇宙の果てが3次元的には

理解できないのと同じで



強い重力場を作るのではなく、

重力場で0次元モデルになってしまうのだから


そのまま、0次元モデルにすれば

形状は無くなってしまう。



超紐理論モデルのような数学的解析である。



ガイドを潜ったところで、3次元へ

展開すればいいので




宇宙旅行で言えば、ワープ航法のようなものである。




工学にこれを応用すれば

とても簡単な金属加工ができたりする(笑)。




金属を熔かしたり、叩いたり。

削ったりするのは

3次元に拘束されているからで



次元を超えれば、そういう限界は無くなる。




例えば、自然物理学基調の

電気工学では考え付かない


超伝導、などが


ブレークスルーするように


3次元の発想は、超えられようとしている。








実は、18世紀からあったものが

魔法と言われていただけ、なのかも

しれない。






ヘルメットのおじさんは、

ドアが治ってしまったので

(笑)


不思議そうに見ていたが。



開閉テストをして、とりあえず

修理は完了。



その様子を、天国で見ていた神様は


「魔法をみだりに使うなと言っておるのにのぉ」と


にこにこしながら、めぐの魔法使いらしさの成長ぶりに、目を細めた。



元々、神様は

魔法、つまり魔界の事には

何も関係はない。



それが、どういう訳か

魔物に襲われためぐの命を助けたり

怖い記憶を消したりと



無駄な事をしているのは


なぜか?

問われても、神様自身にもわからない。(笑)。



天使クリスタが、助けたから?



それもあるけれど。



でも、ここまで関心を持つ必然は、ない(笑)。





「なんとなく、可愛らしいからのぉ」と



威厳ある神様は、笑顔で(笑)。



誰も見ていない時は、ついつい(笑)。






本当の気持ちが見えたりする。










地上のめぐと、寝台特急ノーススターは


とりあえず、修理完了。




ドアの非常コックを元に戻して、


ドアを閉じると、車掌室のドアランプが消えた。





「バックすっど?」と、リサのおじさんは


そう言って、最後尾に戻る。





信号を越えてしまったので、機関車の車輪が

2本のレールを電気的に接続する。



そうすると、信号の手前は赤信号になってしまうので


一旦信号の手前に戻ってから、出発信号を

青に戻す。




そうしないと、行く先のポイントなどが

この列車を通してくれないし


修理の間、他の列車が先に行ってるので



この列車を通すように、ダイヤを変えないと

いけない。




そういう理屈だが、まあ、めぐが意識している訳でもない。






車掌室で、無線を使って



「回9001れっさ、はっさぁ」と、

新しい列車番号で、でも

訛りが楽しい(笑)。





がくん、と

機関車が後ろから列車を押して。


ゆっくりゆっくり。




めぐは、車両を渡って

れーみぃと、Naomiの待つ4人個室”Quartet”へ。





れーみぃは「お帰りなさい。あれ?」と


びっくり声で、ホームを指差す。




「あれ、ミシェルじゃないかしら?」



一番最初にミシェルに気づいたのは

リサのおじさんだった。

車掌室で、列車が停まったのを確認して


停止位置、よす(笑)。



それから、車掌室のドアを開けて。


もちろん、客室のドアは開けない。

すぐに出発するから。



とりあえず、出発時間を過ぎてるから

列車はすぐに出る。


だから、ミシェルの手を引いて

車掌室に。



それで、二言三言。




ミシェルとなにか話して、それから

無線で、機関士さんに「9001レッサ、はっさー」(9001列車発車、が訛っている笑)



機関士さんは、こんどこそ、と

汽笛をぽ、と短く鳴らして


ゆっくり、走り出す。

ミシェル、どうして?って

めぐは思ったけど


まあ、リサが心配なんだねって

気持はよくわかる。



「あたしも、弟いたらなぁ」なんて

ミシェルの優しさを、いとおしく思う。




....向こうの世界の、Megさんは弟さんがいるらしいけど。




その存在の代わりに、こっちだとリサ、親友の弟になるのかな(笑)と


めぐは、想像でそう思った。







中学生なのに、こんな遠くまで来てしまって。

男の子って、行動力あるんだな、ってめぐは感心。



車掌室のおじさんは、特に叱ってるようでもない。




ヘンに叱られるよりは、余程抑制になる。


ミシェルみたいな子には、そうだと思う。



強制すれば反発するけど、認められたら応えなきゃ、って思うタイプの

ミシェルだから。





.....でも、リサはやっぱりお姉さんだから、叱るんだろうな(笑)なんて

思ったりするけど。









リサの意識の中でイメージされた、「危なくない行動」を

ミシェルにさせようとしても、それは



リサがシミュレートした、行動(4次元上の)で



リアルなミシェルの行動(3次元の)と違う。




たいてい、そういう相違で人と人は、分かり合うのに時間が掛かる。



シミュレーションを、リアルに合わせようとしなければいいので

解決は簡単、なのだけど。





それを知っている、リサのおじさんは

3次元、リアルな行動をするミシェルがしたいようにさせる。


コケた時だけ援助する(笑)。







めぐは、車掌室へ行こうとして

個室、Quartetから

廊下へ出た。



走りだした列車は、結構揺れるのだけど

それは、線路がポイント、と言う


接続部分を超える時に

レールの曲がっているところ、継ぎ目を

乗り越えてゆくから、それで

揺れるので




リサは、おじいちゃんに「レールに乗った人生は嫌」なんて言ったけど


レールにだって、継ぎ目も揺れもあるのだ。





もちろん、それはリサの反発心からの言葉

だったり

するのだけど。





揺れる車両、遅れているので

少し急いでいる、そんなせいも

あるのかもしれない。




どこかにつかまらないと、歩けない。



廊下へ出るタイミングを見ているめぐの目前を



身なりの整った婦人が、失礼、と言って


通り過ぎる。




若いめぐに対しても、礼儀を持って接するその婦人の

後ろ姿に、緊張はあったが

傲慢さ、は見られない。



足早に、車掌室へ。




客室からドアを隔ててデッキへ行き、後に

最後尾の車掌室へ。


磨り硝子の向こうで、にこやかに話をしている

車掌、つまりリサのおじさんに

声を掛けた。





「明日の朝、乗り換えに間に合うでしょうか?」




故障で、出発が10分くらい遅れたので

乗り継ぐ列車の指定をしている、との事。





ふつう、長距離夜行列車には

途中、途中で


停車時間が長くとってあるから

心配はないのだが




そういう事は、時刻表には書いていない。



いろんな考え方があって

そういうものを無駄だと言う人々も居る(笑)。



公共の、国鉄なので



意見を言いたい、そういう人々も居る。




でも、安全の為にとってある時間なので




そういう専門的な事は、専門家に任せた方がいいのだけど。




人々の意見をまとめるのは、結構難しい。





リサの大学進学の費用が無駄だ、と

言う人が居たりするように(笑)。



意見はいろいろ。





でも、この国の国鉄は


税金で運営している訳ではないので



意見に左右される事はなくていい、のだけど。





車掌として、リサおおじさんは

「間に合うど思うがの、万一の時は

待っててもらうとが、手配はします。

」と言って、列車の指定券を見せて貰って

メモしていた。




無線で「1れっさ、車掌です。明日の朝、乗り継ぎの乗客あり。遅れのサイ、配慮願う」と。


しばらくして、「1列車車掌、指令了解。

配慮する。」と。




それを聞いて、婦人は安堵の表情。


ありがとうございます、と

丁寧に礼を言った。




実際には、先のことなど解らないのだけれども。



人間は記憶を元にして推測する

そういう機能があるから



何時間も先の予定を

シミュレーションして


それに合わせようとして

苦しんだりする。





神様や、天使のように

時間に支配されない者からすると


ちょっと不可解な感覚だったりする。






めぐは、人間だけど

魔法使いだから、その悩みも解るし、時間を変えてしまう便利さも解る。





どちらも解るけど、でも


人間らしく、時間に沿って生きるのも

それもいい思い出になるような、そんな気もしたりもする。




なんでも魔法で解決してしまうと、つまらないようなそんな気持ちにもなる(笑)。

ミシェルは、その

おじさんの車掌さんぶりを、興味深く見ていた。


婦人がデッキの向こうに行ってから


「お客さんも、いろいろあるんだね」と。


少年っぽい言葉で。



おじさんは、車掌からミシェルの叔父、に戻って



「いろんなひど、おるの」。


それぞれに、理由があってしていることだから、と


優しい笑顔でそう言った。



ミシェルは、うなづく。


少年の笑顔には、どこかしら青年の憧憬のような

雰囲気も見えた。





「ミシェル」めぐは、デッキから声を掛けた。



ミシェルは、なんとなく身構えた。



「どうしたの?」と、めぐは不思議(?)。




「リサ姉ちゃんみたいに怒るのかと思った」と、ミシェル。

ちょっと、上目で、恥ずかしそうに。


色白、細面、短い髪はばさばさで。



いまふうかもしれない、なんて

めぐは思ったけど


それは、あんまり好みじゃない(^.^;)




「うん、でも....怒られるのって嫌じゃない?

思い通りにさせて、って思うでしょ」と


めぐがそう言うと、ミシェルは

普段、おとなしい少年なのに


わが意を得たり、と


「うん。おねえちゃんの思い通りに動くのって無理だもん。

何考えてるか分からないし」と、ミシェルはにこにこ。


生き生きとした若者らしくて。



普段は、気を使ってるんだ。って

めぐは、ミシェルの気持を思ん慮った。

そういうミシェルの気持は、なんとなくめぐにも理解できる。


お姉ちゃんが、ミシェルの事を大切にしてくれているから

お姉ちゃんのために、おとなしい子でいてあげよう。


ミシェルは、お姉さんへの思いやりで

そうしている。


少年なりに、行動力はもっているけれど

お姉ちゃんの心配を呼ばないように、と抑えている。



相互の思いやりだと思う。



めぐも、そういうところはあるけれど

誰にでもある事だろうと思ってて。



おじいちゃんや、おばあちゃん、両親が

心配しないようにと、抑えているところがあって。






それも思いやり。







リサもまた同じで、機関士のおじいちゃんの

気持を大切にしていて



ずっと、幼い頃からそんな風に「誰かのため」で

行動してきたから


自分自身の為に行動する、って

なんとなく恥ずかしいような、そんな気がして。


今は、そのおじいちゃんの願いが



果たせなくなりそうだったから、困っただけ。





ミシェルは、それを気にして

リサおねえちゃんを探しに来た。



ひとりで鉄道に乗って....とは言っても

中学生くらいなら。



大丈夫かな(笑)




めぐは、そんなふうに思った。




「いつも旅行してるの?」と、めぐはミシェルに尋ねる。



ミシェルは頷く。「僕も、国鉄は無料だから」と

ちょっと恥ずかしそうに言った。





「おじさんも優しいな。

めぐお姉さんも。」と

ミシェルは、走り出した列車に揺られながら、デッキの車窓越しに

流れる町のあかりを

白い頬に受けながら。



俯き加減に、微笑んだ。




少年らしいミシェルは

たぶん、クラスでも

人気なのかな、なんて



めぐは、あのセシルの

事を思い出していた。






ああいう子が、一緒に

ついててあげると

ミシェルも、いつか

幸せに気づくんだろうけど。





回想しているめぐのところに



Naomiとれーみぃ、ぱたぱたと駆けてきて

デッキのドアを開けて。




「ミシェルぅ、だめじゃん。学校で叱られるよ」



とか(笑)




「非行少年」(笑)とか



暖かいからかいの言葉に



ミシェルも微笑んだ。





「荷物」と、ミシェルが

気づくと



れーみぃ「大丈夫。個室だもん」と



シルバーのキーホルダーを

ぷらぷらさせて(笑)。



「故障がなければ、乗り遅れてたよ」とNaomiは


幸運だった、と。




「うん。ほんとは、行くかどうかも

迷ってて」と、ミシェルは


ちょっと危うい、少年っぽく。




列車は、遅れを取り戻すためか

スピードを出して、貨物線路を進む。


次の停車駅までは、停まるところがないので



そうする事で、スピードを上げて

遅れを取り戻そうと言うのだろう。




ホームに沿った線路を、高速で通過するのは

危険だから。




「じゃ、帰る?」と、れーみぃ。


最初の停車駅で、降りて帰ってもいい。




ミシェルは、かぶりを振った。




「お姉ちゃん、心配ないと思う」と

めぐは言った。





「無事なんですか?」と、ミシェル。




そっか。



リサの無事を、列車に乗っていた

ミシェルは知らなかった(笑)。




「お墓参りしたら、帰るって」と、Naomi。





「そっか。よかった。でも、今から帰っても

夜中になっちゃうから、お巡りさんに捕まっちゃうな」と、ミシェル。




「お母さんに迎えに来て貰えば?」と

Naomi。






「うん。。実は、母も心配してるんだ。

それで、旅慣れてる僕が行って来た方がいいかと思って」なんて、ミシェルは、少年らしい自負を見せる。

「おっと、明日早いんだ」と、Naomiは男の子言葉で。


「今夜どうするの?」と、れーみぃ。


「おじさんが、個室が空いてるって」と、ミシェル。




「そっか。まあ、あたしたちと一緒って訳にもいかないね」と

めぐ。




「そんなことないけど」と、ミシェルはそう言った。

それはやっぱり、15歳ならではの無邪気さだけど


まあ、18歳の女の子には、ちょっと無理か(笑)。




車掌さんは、そんなところまで配慮するから

割と繊細な、リサのおじさんである。


朴訥で、のーんびりした言葉からすると想像できないけれど(笑)。





「個室かぁ、いいな」と、めぐはちょっと思う。



もっとも、友達と3人部屋も

楽しいけれど。


ひとり旅、なんて

ちょっと冒険っぽくて

憧れる、そんなめぐはまだ18才である。



「ミシェル、一緒に寝よっか」なんてNaomiは

ちょっと、年下のミシェルを可愛がる(笑)。



ミシェルは、いいよ、と手をふって、にこにこ。


Naomiの優しい、からかいの言葉は

もちろん、ミシェルが優しい少年だと言う事を

心得ての事だ。




実際、ミシェルは健康な男の子なのだけれども

クラスメートたちが、ヌードグラビアなどを見てても

それは、現実じゃないと思っていたりした。


お姉さんが居る男の子は、そうなのかもしれないけれど

生物としての女の子に、そんなに空想しなくても

目の前に物体があるので(笑)それに慣れてしまう。


むしろ、愛しい存在でないと興味を引かず

グラビアのヌードを見ても、なんとも思わん(笑)そんな

感じでもあったりもした。




ミシェル自身は、生まれて直ぐに大きな病気をして

死線を彷徨ったりしたので

その時に、大量の薬物を摂取したので

それがストレスになって、あまり

生物としての女の子に興味を持たないのかもしれない、

などと空想もしていた。



けれど。



リサお姉さんのクラスメートのめぐに出会って、その考えは

間違いだとミシェルは気づく事になる。



その存在を意識すると、愛しい気持になれるし


抱きしめたい、と思ったりもする。



それが恋と言うものなのだろうと、ミシェル自身は

文学からそう連想する事になったりもするのだけれども


その文学すら、めぐが図書館でバイトしているので

本に親しみ始めた、その本で得たものだった。





なので。



4人部屋で、一緒に寝るとしても

めぐと一緒はちょっと、困ったりもする。

でも、Naomiと寝ても困らないだろう(笑)


恋ってそんなものだ。




ひとは、たいてい自分の感覚を元に

推測するから

ミシェルは、男の子の恋愛って

そんなものなのだろうと

思っていた。




だから、Naomiやれーみぃが


ミシェルの事を、とてもおとなしい男の子だと

言っているので


他の男の子って、どんな恋愛をするのか?

なんて(笑)思うけど


それも無理もない。



自分以外の人の感覚なんて、想像するしか

ないから。





例えばそれは、地球の重力の源を

想像するくらい、実感のないものだ(笑)。




まだ、重力なら

りんごを落とせば見える。




アイザックさんのように。






自分が、めぐお姉さんに抱いている気持ちを

他の女の子に抱くとは、ミシェルは思えなかったから



別の、Naomiお姉さんと一緒に寝ても

平気だと思う。



それはまあ、想像だけど。





想像、それも夢に似ていて

4次元の産物であるけれど




その想像同士は、つなぐことができない。


昔、コンピュータ同士が

通信できなかった頃のように。



例えばめぐは、魔法使いだから


想像同士をつないであげることができたりする。



夢、みたいな架空のフィールドにしないと

人間同士が理解できないし、どこが

現実だかわからなくなっちゃうので(笑)


そうしてるけども。




いまの、ミシェルの持っている恋の

概念と



同じ、概念の女の子が出逢えば

とても幸せな恋愛になるけど



人間はふつう、昔のコンピュータみたいに



通信ができないから

結構、不幸な事が多かったり。




恋の概念を、言葉にして

語りあったり。




昔のコンピュータよろしく、紙にプログラムを

印刷して照合しているようなもので




ネットワークを作って、通信すれば簡単で

間違いはない。




そういうめぐが、ミシェルを見る視点に

誤りはないのだけど



でも、人間は気持ちを満足させるために

生きているから




悲恋に向かって一生懸命なのも、いい人生である。





そこに、喜びも悲しみもあるのだけど

魔法使いが、そういう感情の起伏が少ない

人生になってしまうのは、この場合仕方ない。


合理的なるものは、情緒を呼ぶような

変化は呼ばないものだから。



驚きは起こらない。



行く先が分かれば、驚くはずもないから。





ルーフィのご主人が、生きる事の

喜びを見いだせない理由も


ひょっとして、そのあたりに

あるのかもしれなかったり。



まあ、喜怒哀楽を以て生きるのが

人間らしい生き方なので

なんでも魔法で解決するのは


おもしろくない。



それはそうで、なので

神様も黄昏れるんだろうけれど。





その渦中にある人間は結構、悩みから

逃れるために魔法でもなんでも使おうとは思うのだろう。







喜怒哀楽は、後で回想する時には

懐かしいものだったりするが



その最中、あるべきなのは楽と喜、くらいだろう(笑)。










めぐたちを乗せて、列車は最初の停車駅に着く。


首都圏最後の停車駅だから、

ここでミシェルが下りれば、家に帰れる。




「ほんとに乗ってくのね」と、Naomiは言い




じゃ、おねーさんと寝よ(笑)なんて

またふざけて、ミシェルに抱きつく真似をすると

さすがにミシェルは、そのNaomiの腕をすり抜けて(笑)。


すこし恥ずかしそうに、寝ます、と言って



ひとり個室「ソロ」の方へと歩いていった。





Naomiは、にこにこして「つまんないなぁ」と。




少年好きなんだろうか(笑)。







れーみぃは「ミシェル、いい子ね。

お姉ちゃんを心配してるお母さんを気遣かって、出てくるなんて」と。




めぐは、うん。と頷いて。





まあ、だけど

めぐの恋人には、ちょっとできないタイプだったり。





恋愛って残酷なものだけど、それは仕方ない。





今の時点では、って事だけどね。(笑)。



でも、ミシェルは

年頃の男の子だから

Naomiお姉さんが抱きついて来たりすれば

生物的に受け入れたくなる(笑)。



それは、仕方ない。



生き物としては、好ましい異性なら

受け入れて、生き残るようにできているから

人間は、ここまで数が増えてきた訳なので




それは、ミシェルの意識とは関係なく

自動的に起こる生物的プログラム。




それを[不純]と思うミシェルの

感覚は、文学的なものであったりする。



それとは別に、人間には生物的な基本があるから



別に不純な訳でもない。




でも、そういう体験を初めてすると

戸惑うのもまた少年である。




廊下を歩いてひとり用個室に向かうミシェルは


やや、Naomiお姉さんから離れられて

安堵しているところもあったりして(笑)。



「リサ姉ちゃんが抱き着いても、ああは

思わないんだけど」と



Naomiの接触にときめいてしまう自分に

戸惑うミシェルでもあったが




それは、単に慣れの問題で



生物的な生殖は、開拓だから

慣れている異性には、開拓しようと

プログラムが動かないだけの事で



なので、リサにはプログラムが動かない。


そういうシステムで、劣性遺伝子の重合を

避けている、見事な発生生物学的プログラムの

動作を、ミシェル自身が確認しているだけの事、である。






それを未だ知らぬ少年ミシェルの悩みも

若さ故。




列車は、北に向かって尚も進む。



でも、ひとり部屋に入って

妙に寂しくなってしまったミシェル、

まだ15歳である。



その淋しい気持ちのいくらかは、

生き物としてのNaomiを求める気持ちだったりもして



めぐへの愛を想う、文学的なイメージを

美しいと思い込んでいるミシェルにとって

それは、矛盾するものであったりもして。



止む無く、ひとり部屋の扉を閉じて

階段を上り、ロフトになっている

2階のベッドでひとり、眠る事になる。




並列世界の向こう側では、めぐに相当するMegに

弟がいて。



それは、ひょっとしてミシェルのような

存在であるかもしれない。




そのイメージが、どこかしら

こちらのめぐに、弟がほしいと言う

気持ちを生んでしまったりして。



魔法使いのMeg、向こうの世界の彼女と

こちらのめぐ、との心には交流があるから



どことなく、めぐにとってのミシェルは


弟っぽい近親性を感じさせるし

親友リサの弟なので



殊更、恋しい象徴にはなりにくかったりしたのも


ミシェルにとって不幸であったり。





そんな構造は、ミシェル少年に理解されるはずもなく



ただ、彼は時の流れに堪えるしかなかった。

でも、夢でなら

ミシェルも、どんなスーパーマンにもなれたりするから

結構彼は、眠るのが好きだったりする。


もともと、文学少年だったわけじゃなくて

めぐお姉さんが図書館勤務だったから

図書館に行くうち、本が好きになったとは言うものの

文学が好きなのは、空想的な、ファンタジックな性質が

もともとミシェルにあったのだろう、と

彼自身も思っているようだ。


空想、つまり

記憶をいくつもつないで、類推したりするうちに

あたらしいイメージを生む、そんな作業。


構造学的には、頭の中の記憶の接点が

複数、ツナガル事だし


神経内分泌、と言う

ケミカルな物質との関連でいえば、ドパミンなんかの

影響で、その神経の接続が起こる。



時間も空間も飛び越えてしまうのは、その記憶そのものが

主に事象の一瞬を意味しているからであったりする。




ミシェルは、夜行列車の個室で眠りながら

何を夢見ているのだろう?




Naomiお姉さんとの愛の分かち合いだろうか(笑)



否、彼はそうではなくて



めぐお姉さんとの恋愛の成就を願っていたのだけれども.....。



生物的に、Naomiが未経験なミシェルをわくわくさせたので


でも、文学的なミシェルは、そのわくわく感と


恋しいめぐお姉さんとの愛、を想像上で結びつけてしまって

幸せな夢を見ていた。


少年の夢は、そういうものである。



そして、夢を見ながら心のどこかで、そういう夢を見る自分を

不浄だと蔑んでいたりするのだけど



それは、生き物としてのミシェル自身が未成熟なだけ、なのだけど。





例えば、並列世界と言うのは

コンピュータで例えれば


クラスタPCのようなものだから


それぞれの世界で、同じ存在が必要。


でも、PCで言えばそのディレクトリの

中身が違っていても、システムは動くし


反対に、必要なファイルが無ければ

複製が出来るし



どこかの世界で存在が消えると、

並列世界で、似た存在が消える。



だから並列なのだけれど



そんな理由で、めぐとミシェルの関係が


並列世界のMegと、その弟に似ていると

そういう訳なのであろう。




めぐとMegが、ネットワークのように

つながっているので



その、ミシェルとMegの弟が似て非なる

存在、そんな風に見える。


つまり、3次元的に座標が定まっているのでは

なくて


そこがやはり、4次元的なのであろう。








ミシェルが夢で、自立して異性を求めるような

意識を持つと




それはつまり、青年になると言う意味なので


リサは、この世界で特別な存在の異性になったりする


母親もそうだが、それに似た存在になる。




青年の意識とは、面白い。




後々、老年になるまで気づく事はないのであろうけれど



生き物として貴重な存在である、姉とか妹とか。




そういう存在を持てたミシェルは幸運であった。





反対に、弟がいないめぐは

Megをうらやましいと思ったから



自分にとってのミシェルが、弟っぽい

イメージとして受け取れてしまうのは



ミシェルにとっての不運だが(笑)。



揺れる列車の中

深夜特急の乗車客は少なく。



めぐたちは客と言うよりは従業員とバイト、

だし(笑)。



夜行列車の旅は、それを好む人々を

除いて



今や時代遅れと言う感じかもしれなかったり。



でも、若者ミシェルは

希望に満ちて北へ向かおうとしていたし



めぐたちも、どちらかと言うと

観光旅行気分になってしまっていた(笑)。



リサが無事だったりするから、で


そのリサの気分転換には、ロック音楽が


重要な役割だったりして。



れーみぃの思いつきで、バンドでも

やろか、なんて話になったのはタイムリーだったけど。













ロックとは関係なく、少年ミシェルは


快適なひとり個室で[ソロ]の

夜を迎えて


夢を見ていたりする。





ちょっと、人には見られたくない夢も

あったりする。





(笑)



でも、たまたまめぐも眠っていて....

めぐは魔法使いだから、夢の中に旅する事ができるけど


眠っている時、能力がふと、ひとり歩きしたとしても

まだ少女だから、仕方なかったりする。



じぶんの、夢。


だれかの、夢。



それが、つながってしまう事が、たまたまあったりして。





誰にでもあるけれど、夢のなかに誰かが現れるとき......

ひょっとしたら、それはも


誰かが、夢の中に現れたのかもしれなかったり。




夢は4次元空間なので


歪んだ時空が、どこかで重なり合ってしまったりすることも

ない事も無いから


偶然、そんなことも起こるかもしれない。








この夜のめぐは、たまたま

同じ列車で眠っていたミシェルの夢、ちょっと

ひとには見せられないような恥ずかしい夢(笑)。


それは、ミシェルの願いだったのだろうけれど


想い人、めぐお姉さんと愛を分かち合う夢だった。







めぐは、彼方から

その、ミシェルの夢を垣間見てしまう(笑)。




「いやっ!」と、そのシーンに背中を向けて

白霧の彼方の空間を向いたが


でも、18歳の女の子である。


少年ミシェルの想いにまで思慮は配れず....

夢だというのに、ムカムカと腹立ってきた(笑)




そこからは、ふつうの女の子とは違う魔法使いめぐ、である。




振り返り、どかどか、とそのシーンに割り込み「ミシェル、このスケベ!」(笑)



夢を見ているミシェルの心に叫んだ。





ミシェルは、はっ、と飛び起きた(笑)



そして、夢の中で起きた事を


悪いことを想像したからバチが当たった、と自己嫌悪。




いや、悪い事ではなくて。


そういう夢を見る事で、満たされない気持を解消する事で

心のバランスを取るのが人間なのだ、と



ジーグムント・フロイドもそう言っている。



ミシェルは、列車が止まっている事に気づいた。


「あれ?なんだろう」と


ベッドの枕元にある、おおきな窓から

外を見たけれど


農村の中を走っていたのだろうか、明かりが

なにもないので



よくわからなかった。



けれど、止まっている事は


揺れないので、わかる。





駅じゃないので、何かあったのかもしれない、と



壁についているラジオのスイッチを入れると




アナウンサーが淡々と「地震がありました」との


一報。






「地震」。



ミシェルは思う。



あんな、罪な夢を見たから


罰があったのだろうか、などと



ミシェルは敬謙な男の子である(笑)。




でも、好きな女の子を愛したいと思うのは


人間らしい行動。




それを知らないのは、お母さんやお姉さんの

影響かもしれなかった。





おじいちゃんも、機関車乗りだったし


あんまり、男としてのミシェルの成長には

心を配るゆとりもなかった。





人間は、日々の暮らしから

経験を記憶して


行動様式を作っていく。




お母さんやお姉さんは、女としての感覚で



ミシェルに関わっっていくから



それに、ミシェルが罪悪感を持ってしまったりする。




でも、愛するのは悪い事ではないのだけれど

地震で列車が停まってしまったのに

気づいている乗客は少なかったから

ミシェルや、めぐたちは


そのまま、個室の中で眠り続けていられた。



案外、揺れない列車の方が


よく眠れたりする。



そう、ミシェルが夢を見たのも

眠りが浅くなった時、列車が揺れたせいで


その、体にかかる揺れで

物理的な刺激が、愛の営みを連想させられてしまったのも

また、少年ミシェルの仕方ないところでもあるけれど


それは、ミシェル、の人格には関係なく


生き物としての存在の上に人格が乗っかっているから(w



コンピュータで言えば、ブート・アップしてシャット・ダウンするのは

システムがあり続けるために仕方ないのと同じで


その上に、知性たるプログラムがあり続けるために

仕方ない存在であったりする。




複数のプログラム同士が、コンピュータ上で競合するように

生き物としての人間も、競合しあう事があったりするけれど


それは、生き抜いて来た歴史のようなもの。




少年は、まだその入り口なので歴史に翻弄されるけれど


いつか、老年になった時にその構造を意識して

平和に、競合をせずに共存するように成熟するのだ。



それは、生き物としての役目を終える頃に初めて出来る事なのだけれど。



地震もまた、惑星の歴史の中で

やむを得ず起こる事で


乗っている人間には、別に敵意があって起きてるわけでもないけれど


人間にとっては

結構大変な問題である。




少年ミシェルが、生き物としての

機能のせいで


大変な問題を抱えているのと同じだ(笑)。





そんなもの、なかったらいいのにと

地球に意思があったら思うだろう。




同じように少年ミシェルは思う。




「僕は、めぐお姉さんを愛しいと


思っているだけなのに


なんで、こんな夢を見るのだろう?




そして、夢の中で

めぐお姉さんに嫌われないといけないのだろう(笑)


まで、ミシェルが思っている訳でもない。



地球もまた、そう思っているのかもしれない。



惑星としてのエネルギーのせいで


地震が起きてしまうのも仕方ない重力のせいだ。




別に、

惑星が願った訳でもない。




重力は、近代物理学でも

理由のはっきりしない力である。



それによって、地震が起こる。



ミシェルの悩みと同様である(笑)。

はっきりしない力で

なぜ、ミシェルがそんな夢を見たりするのか

ミシェル自身の望みでもないのに。




具合の悪い事に、重力と違って

生物の一方、少年の趣味(笑)だったり


少女にとって忌避の対象だったりする。


から、余計に厄介な代物だ。








そんなふうに、やむを得ず起きてしまう

事で



歴史も動いてしまったりする。






ずっと、列車が止まっているので




起きだしてしまった乗客、例えばさっきの

乗り継ぎを気にしていた婦人、とかは


それが気になっている事だろう。




リサのおじさん、専務車掌のところへ



列車の行く先の乗り継ぎを気にして、深夜にも係わらず



進行の具合を尋ねに来る。





分別のある婦人故、



婦人はさすがに分別のある表情を見せ



「この先、走れそうですか」と


車掌に尋ねている。



こういう時に、怒りを爆発させるタイプは

実は、医学的には正常とは分類されていない。



何等かの理由で、辛い思いをして


その時傷ついた記憶を思い出して

怒る、と言うふうに単純に解析されている。



コンピュータプログラムの

記憶装置が傷つくと


そこを避けて読み出しをし

エラー訂正をする為に


動作が変になるのと良く似ている。



そういう時の、反応の悪いあたりは


人間の、そうした医学的分類で言うと

解離、と言う状況とほぼ同じである。





この婦人は、怒る事もなく


柔和に、列車の行く先を案じている。





「乗り継ぎさぎも止まってはんな」と



リサのおじさんは、淡々と答える。




それはそうだろう。


さほどおおきな地震でなければ、レールの点検をして

走り出すのだろうけれど。





しかし、翌朝まで走らないと着かない先の駅で

乗り継ぐ列車。


もし、そこで復旧していたら


朝発車する列車に乗り継ぐ事が難しい。





止まっている列車の個室で

ミシェルは、さっきの夢を

思い返す。


「なんで、あんな夢を見たんだろう?」



男女の愛しあい方について

生物的な興味を持って

動画を見たりした事もない少年ミシェルは



お姉さんがいつもついていたから



異性と言うものが想像でなく、実態として

そこにあった。



そして、お姉さんに躾られると言う事は


女の子の視点で、不都合のない生物に

育てられてしまうと言う事。




それは悪い事ではなく、人間は動物よりも高い知性を持っているから



いろいろ、自由に設定ができてしまうと

言う事。





コンピュータで例えれば、高性能な

エミュレートができてしまう。




ハードウェアがどうであれ、ソフトウェア上で

違うコンピュータのような振る舞いが出来てしまう、と言う事。




Linuxのソフトウェアが、DOS/V,sparc,ppcなど

様々なハードウェアに乗ったり



その上に、MicrosoftWindowsの

ソフトウェアを動かしたり、

PlayStationのソフトウェアを動かしたり。




そんなふうな様子に少し似ている。



人間は多様化ができるので、ミシェルも

お姉さん目線で不都合がないような



育てられかたをした。




お姉さんリサは、反対に


おじいちゃんソフトウェアの影響で



いわゆる旧来の女の子とは

少し変わった育てられかたをした。





でも、基本的なハードウェアは


リサは女の子、ミシェルは男の子。




その上のソフトウェアが変わっている。





そういうところへ来て、恋愛と言う


一番古いハードウェア依存のソフトウェアは

変えられない(笑)。





そこが、ミシェルにとって


ミシェル自身のオペレーティングシステム(笑)と


合わない部分になってしまっている。




と、そういう事なのだけれども



それは、ミシェルに限らず




人の生き方が多様化すると

仕方ない部分なのだ。




でも、愛の分かち合い方は

誰に学ばなくても


ミシェルは、基本的に記憶されている。




だから、夢に出てくるのだ。





ハードウェアに似合う最も基本的な

組み込みソフトウェア。




それは、変えようもない。

でもそれは、生き物としての基本プログラムで


これまで、生き延びてきたから

それが、ある。



と言うだけで、ミシェル自身が考えて、意思を持った訳では

もちろん、ない。



ミシェルは、ただ、めぐお姉さんが愛しいと思っただけで

それはたぶん、これまでミシェルが見聞きして体験した要素から


「好ましい」


と思っただけの事。





なので、少年ミシェルの体験にない、生殖への訴求は

本人をも驚かせている。



報酬系システム、と言うか


物理刺激を、センサーが拾って

信号を神経が届け、脳でイメージにつながる。


それが、たまたま特殊な生殖へのプログラムにつながり、報酬を覚えると

それだけの事。



仕掛けは単純、生き物は増殖が基本なので

それが支配的になっている(生き延びて来たので、仕方なく)。



でも、生き延びたくないと本人が思えば、それから逃れる事も自由である。


あるいは、魔法使いルーフィのように生命体でなかったり

神様や、天使さんのような存在であったりすれば


もともと、そういう増殖は必然ではなくなる。



あらゆる、人間的な争いも

元々は、個々が生き延びて



更に、増殖の中で領域を分け合う争いである。



コンピュータで言えば、複数のコンピュータ同士で

ネットワーク上の記憶領域などのリソースを分け合う、競合する争いに

似ていたりする。



なので、その解決と同じ方法で

争いはなくなるので


神様は、人々の過剰な欲望を自制するように

心の回路を変えたりした、のだけれども。



少年ミシェルのささやかな愛と欲は

夢の中で果てたり。





....でも、魔法使いめぐはそれを見てしまったり(笑)。






リサも、ミシェルも


自分のしたいことが、自分で解りにくくなっていて



それで、夢の中で起きた事に

驚いたりしている。




自分でない人が、彼等の意志で


社会に適合するように、リサやミシェルの

行動を抑制する教育を施したから



自分のしたいこと、を抑制する癖が

ついている、それだけの事で



リサは、たまたまロック音楽で


その心が解放されて、元気になれた。



ミシェルは、たまたま

Naomiのいたずらで(笑)解放された。





結局、どこかで社会は

ひとを抑制する事になるのは




社会が、不自然な環境だからである。





ひとが寄り添って生きていく環境だから

致し方ない。




社会はまた、クラスタ・コンピュータのように

個々に同じ抑制を要求する。




機械ならそれでいいけれど

人間は、厄介な事に

元々動物として、競い合う事に

喜びを見出だしたりするから




どこかで解放されないと、心が痛んでしまう。




それで、リサやめぐ、れーみぃ、Naomiが

ロック、と言う古い音楽に喜びを見出だしたのは


良い事で


音楽を頑張る事は、誰も傷つかない競い方だから

良い解決だったりする。




でも、音楽で勝ちたいと思ったりすると

音楽はただの武器になってしまうだけ

なんだけど。



そうじゃなくて、いい音を楽しむ事が

心を自然に解決する、だから演奏する。




そのきっかけがロックだったら、それでいいと

思ったりもする。






ひとも単純な生き物だから、どこかで

叫んだりすれば気が済んだりする(笑)けど

それを音楽に載せれば、シャウト、と言う

歌い方になったりする。



迷惑にならなかったりする(笑)知恵だ。









「地震の影響はなさそうですわね」と

さっきの婦人は、柔和に



車掌に尋ねている。



なかなか、できる事でなく

ふつう、目的地に時間通りに着かないと

苛立ったりする。




でも、苛立っても結果は同じである。



自分が地震を起こした訳でもないから。






人間の想像には、時間の概念がないから



着いた先のスケジュール




を、一瞬で思い起こせるので




現実に、時間が規則正しく動くし

都合で、位置がそこに至っていない事と




それを比較して、苛立つ。




でもまあ、スケジュールに合わなくても

死ぬ訳でもないので(笑)



生物行動学的には変な行動である。


社会が、人にとって適合しにくいから。

でも魔法なら、解決はできるけど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ