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特急はくつる1列車


悩みは、ひとの心の中で

記憶を元に、繰り返し演算されるから悩みになるので


記憶<=>演算(時間の概念がない=4次元)



使われる記憶は強化されるので、よく連想される。



だから悩みになるので



音楽のような、別の刺激で


外の世界=>演算=>結果(リアルタイム=3次元)



と、言う形で脳が動いていれば、悩みはその間、なくなる。




人間は知能だけが突出してしまって、目の前の3次元的な時空間で

起きた事を考える為に、シミュレーション能力を得た結果


時間と関係なく、悩み事、大抵は想像と現実の違いで起こる事だけど


それが、続いてしまう。






リサの場合もそうで、音楽はそれを断ち切ってくれるから、いい。


映画でもいいけれど。人はいつも脳で演算を繰り返しているので

新たな刺激を与えた方がいいのである。




つまり、それはバグ、プログラムのミスなのだけれども(笑)



思考停止をする試みは、例えば瞑想とか、信仰などである。




コンピュータは、人間の思考を模倣して作られたから

当然、似たような対処ができる。




例えば、アナログの音波をシミュレートするデジタル録音・再生プログラムでは

どうしても変換誤差が音になる。



音が無い時、デジタル計算器のノイズがアナログの音になって、出てきてしまうし


変換精度が低い時もノイズになる。




音が無い時も計算しているからノイズになるので


それは、人間の頭がいつも演算をしているので、悩みが起こるのに似ている。(笑)



対処として、瞑想のように計算を停止させたり、ランダムな計算をさせて

ノイズを細かくしたり、とか。


似たような機能はある。




おしゃべりが好きな人、なんてのはそれに近い(笑)。









さて、一方のめぐは.......



客車の最後部、車掌室で


れーみぃと、Naomiと一緒に



楽しくおしゃべり。



「制服、合ったんだぁ」と、れーみぃ。


NaomiのCAルックが、羨ましそう。

すらりとスタイルの良いNaomiが、黒の制服でサービスすると

人気になりそうだ。


「うん。でも、食堂車の方が楽しそう」と、Naomiはちょっと、照れっぽい(笑)




「お皿洗いだもん」と、めぐ。


ウェイトレスしたかったんだけど、お料理運ぶの無理っぽいし(>.<)



楽しいおしゃべりは、3人もいるといつまでも続く(^。^)



そんな、楽しげな3人をよそに


リサのおじさんは、後ろの窓から

信号を見て、青を確認。


天井から下がっている無線のマイクで

「回イツレッサ ハッサァ」




「今、なに?フランス語?」と

れーみぃ(笑)




「違うわよ(笑)、とNaomi。


回1列車発車、の意味、と


言う(笑)。




リサのおじさんは、「んだんだ」(んだ=そうだ笑)。





Naomiは翻訳者(英語で言うならCompiler笑)




コンピュータプログラムのそれと同じである(笑)。






無線で、機関士さんから返事があり

汽笛が鳴ると、後ろからがちゃり、と

編成全体が押された。





機関車が後ろについている。




「行き止まりホームだから」と


Naomiは解説。





おじさんは「んだんだ、信号よす」と

青信号を指差した。





れーみぃ、めぐ、Naomiも

一緒に[信号よす」(よす=良し 笑)



列車は、ゆっくり、ゆっくりと

始発駅Upperfieldを目指す。



午後8時過ぎ。



都会の喧騒も収まる時刻である。

これから、遥か700km向こうの

北へと走るのだ。





車庫の、沢山のレールを渡りながら

superexpressのレールの真下をくぐって



出発駅へと向かう。




さあ、めぐたちの旅は、これから。




暗いトンネルの向こうに、Upperfieldの

駅の明かりが見えると

なんとなくほっとするけれど


がくん、と揺れて機関車が後ろで力を抜いた。


「機関車って、後ろ見えるのかな」と

めぐが言う。


おじさんは「なも、勘だ」(何も。勘でしょう)




「勘で解っちゃうんだ!」と、れーみぃ、驚く(笑)。





おじさんは、にこにこ「汽車の長さが解ってるから」と。





そういうもんなんだ。と


れーみぃも、めぐも感動。




Naomiは、笑顔になった。


その、地道な蓄積に会心、と言ったところ

だろう。




どちらかと言うと、そういう細密な

ものに感動を覚えるタイプのNaomi。


郵便局のような、仕事に

美を感じる人、である。






決まった位置を守るとか、そういう民族性を

受け継いでいる、そんな感じ。





この国と言うよりは、やや西の方の

ドイツのひと、そういう感じである。




どちらかと言うと、めぐは



北、海の向こうのアイルランドの方のような

ふんわりとしておおらかなタイプだし



れーみぃはアジアンな感じ、ふくよかで

穏やかな。



それぞれ、みんな違うけど

仲良しで。



違う事をうれしいと、それぞれに讃えあう

クラスメート。







駅のホームが見えてきた。






頭の上を線路が走っているから

そこに、電線が走っていて。



鉄道なのに、感電しないのは

なんとも不思議、と

めぐは思ったり。



よく見ると、電線は

白いセラミックで、天井から浮いていて。

銅の、鈍い光が

駅の明かりに輝いていた。



天井の架線は、雨が当たらないせいなのか

キラキラ光って見えて


でも、銅線の色そのまま。



「きれいですね」と言うと、リサのおじさんは



「んだ、パンタグラフが擦ってる」



いつも、パンタグラフが当たってるので

それで磨かれてるから

綺麗。なるほど。




いつも、ブランニューって、なんか、いいかも。



そんなふうに、めぐは思ったり。




ゆっくりゆっくり、ホームの始点が近づく。



本当に止まるのかな、と

ちょっと怖くなるけれど


普通に止まった。




空気の抜ける音がして、列車は

静かに止まる。



止まってから、少しゆらゆらして



しっかりと、ブレーキが掛かった。


青い車体。




汽笛が短く鳴らされて

機関車乗りは、仕事の終わり。



これから、700kmの道のりを走るのだけど。






めぐの、携帯電話にコール。



「あ、めぐー、今どこ?」と

リサの楽しそうな声。





「リサぁ。」めぐは、友達の

その声で、なんとなく安堵。




リサは語る。

田舎の駅で、ロックの曲に力付けられた事。


意味は解らないけど、音楽が

気分をすっかり新しくしてくれた事。



ビートとハーモニーが。



その曲が、めぐの好きなLedZeppelinだったから

それで、電話した。





「誰だれ?」と、れーみぃがめぐに尋ねる。




リサ、と

めぐは、声に出さずに口の形で

れーみぃに伝えると、




「リサーぁ、今、そっち行くよ!」と


れーみぃは、マイクに向かって割り込んだ(笑)。




めぐは「リサね、ラジオでLedZeppelin聞いて元気になったんだって」とれーみぃに言うと



れーみぃは「あ、それ!学園祭でライブしようって話してたの!やろやろ、みんなで。」と



楽しそう。




「だから、一緒にやろうよね」と



電話の、楽しそうなれーみぃの声を


リサは、700km彼方の、おじいちゃんの

家で聞いていた。




偶然、ラジオの音楽で

元気になれた。



その偶然に出会うために、旅したのかな、なんて

思ったりもしたけど。




ふだんと違う時間の中でないと、出会えなかったと思う。



リサは、そんなふうに思った。




旅っていいなぁ。



リサは、音楽で幸せになれた。


その音楽を作った若者たちは、

なにも善人な訳でもない。



むしろ、露悪的な表現者だけど


心に、天使が降り立ったのだろう。

音楽を作る時、演奏する時。



硬質な表現でも、心に暖かいものがある。

そんなムードに、リサは

無骨だけど心優しい、おじいちゃんの

幻影を重ね合わせたのかもしれない。




一見穏健でも、心に悪魔が降りる時は

誰にでもある。


生き物として生きているから、

生き残る時には、そんな事もあったりする。



天使が降りる時もあるけれど。










「なんだかわかんないけど。リサが

元気になって良かった」とNaomiも笑顔になった。



笑うと、どことなくあどけない彼女と

凛々しい制服は、アンバランスで



そういうとこ、やっぱり18歳なりだ。




「ロックっていいのかなぁ」と、れーみぃは


少し思案顔。




ふんわりしている彼女には、ちょっと

想像の出来ない世界なのかもしれない。





ハードな刺激は、やっぱり

何か、ぶち壊したい物がある時に

必要なので



れーみぃのように、穏やかな世界で

生きているひとには

あんまり、縁がないのかもしれない。





「でもさぁ、れーみぃ、よくお家で外泊なんて

許してくれたね」と、Naomi。





れーみぃは、不思議そうに「みんな一緒だし、

リサのおじさん、お巡りさんだって言ったし。」と、れーみぃは真っすぐにそう言った。



疑いを知らないのか、無鉄砲なのか(笑)。



それとも、本当に大金持ちで

行方に007が護衛してるのか(笑)。





まあ、意外にこの世界は平和である。

なんて言っても、神様が

ひとびとの過剰な欲望を抑制してしまったのだから。




せいぜい、就職や恋愛なんかで

止むを得ず残された席を競うくらいが



悩み事。


でも、切実な悩みだけど。







汽車が、駅のホームにぴったり止まって。



リサのおじさんは、ドアを開けた。




「出発、21時だはんで」と、言って


列車を降りて、どこかへ行った。



めぐも、みんなも

心のなかに

天使さん、友情を持って

降りて来ているのだろう。




その事に、だれも気づかないけれど

18歳のその時期、そうして過ごせるのは

あと、もう少し。





「学園祭でロックって?」とNaomi。


その話は、めぐとれーみぃの想像だった。



その想像が、遠い北の地のリサに伝わるのも

楽しい偶然だけど。




天使さんが、伝えたのかもね。





「うん、みんなでバンドしたら楽しいと思って。」と、めぐは想像の中の

映像を話した。




放課後の教室や、講堂で



練習を続けて。


難しいリズムキープや楽器演奏。



乗り越えて、バンドする。




「楽しそうね」と、NaoMiも。



割とリアリストなんだけど、音楽は好きらしい。





「楽器、なんかできる?」と、Naomiは

やっぱり現実的に。





れーみぃは「ピアノくらいかなー」と。



めぐは「あたしも。オルガンくらい」と。



Naomiは「うーん。あたしも小さい頃

習ったくらいかな、ピアノ。でも、キーボードにすれば、なんとかなるんじゃない?

コンピュータで」と、Naomi。




そっか。と、めぐは連想した。



キーボードとコンピュータだけで

できるものね。



もちろん、ピアノ弾くくらいの

指運びは必要かもしれないけれど。










そうイメージしてると、リサのおじさんは、

白い制服に着替えて、戻ってきた。



鴎みたいに真っ白で。




「水兵さんみたい」と、れーみぃは、にこにこ。




おじさんは、なんとなく

かわいい彼女にそういわれると



照れ笑い。



そう、心の中や

夢の中までは、神様だって

入り込めないから


そこは、もともと4次元の世界。



そこに、天使さんが降りて来ても

悪魔くんが来る事も、あるかもしれない。


けれども、それで

人間の行動が乱される事は、そんなにはない。


心に闇が出来ても、人間が

凛々しく心を律すれば、光を持って

制する事ができる。




そうする事が、楽しく生きていく事。


たぶん、それは真理。




見た目じゃ解らないけど。



あの、LedZeppelinの若者たちのように


見た目悪魔っぽくても、心に天使が居たりする事もある。



「でもあたしが好きなのは、VanHalenなんだけどな」と、めぐは



言うけれど



LedZeppelinも、VanHalenも


どっちだって、知らない。(笑)



れーみぃたちは、そう思ってるだろう(笑)。




「21時出発だはんで、食堂車、けへ」


と、リサのおじさんは、訛りで。

(はんで=だから、けへ=行った方がいいよ。笑)



省略が激しい北の言葉だけれど


意外にJK語っぽいかも(笑)。





そんなふうに、めぐは思った。




「あ、お仕事!そーだぁ」と、れーみぃは


おしゃべりで夢中だった。





そうそう、じゃ、行こうね。


とNaomi、それとめぐは


ホームを歩いて、食堂車へ。



ホームを歩きながら、Naomiは面白いニュースを

れーみぃと、めぐに語った。


「Zeppelin家って、ドイツの名門なんだって。

でも、あのLedZeppelinのドイツ公演の時、その旧家の人が

怒ったんだって。」



「どうして?」と、れーみぃは

Naomiを見上げて。


Naomiは、にこにこして「あんまりライブがやかましいので。

『金切り声を上げて騒ぎまくる猿どもにZeppelin家の名は使わせない』

だって。まあ、そうかな~。静かじゃないもん。」って

笑った。



「おサルさんなら、モンキーズよねぇ」と、めぐも笑う。



「めぐって、アメリカンが好きね。」と、Naomi。



「うん、明るいから。」と、めぐ。



そういえば、ルーフィのご主人様もアメリカンだったから

彼も明るい感じだったっけ、なんて

めぐは、ふとこの夏を振り返りながら

ホームを歩く。



大きなかばんを提げて歩く観光客は少なく、北へ帰るひとたちは

なぜか、黒っぽい服装で

ことば少なに、列車を待っている。


ノーススターは、旅行者が多いけど


そうではなくて、bluemorrisへ向かうひとたちは

普通列車で行ったり。



そういうひとたちは、次の列車の席を求めて

並んでいたり。




始発駅は、いろんなひとがいるんだな、って

めぐも思ったり。





食堂車。



「あれ?入り口がない」と、Naomi。



そういえば、ドアは隣の車両だった(笑)。




たどりついた食堂車は、キッチンのドアが開いているだけで

他に、入口はなかったから


3人は、となりの車両のドアから乗った。




「すいませーん」とか、いいながら。



食堂車のドアを開ける。

でも、ウェイトレスさんがにこやかに「今夜の営業は、お酒が入るから、高校生はダメね。

明日の朝から。5時よ、起きられる?」リサみたいな口調で、さっぱりとした短い髪の

小柄な女の子。


めぐたちと、さほど

変わらない歳に見えるけど。





「はい、わかりましたー」って

めぐと、れーみぃ。




Naomiは、「あたしはどうします?」



ウェイトレスさんは「あれ?あなたも高校生?」と言うので



めぐも、れーみぃも爆笑(笑)。




それじゃ明日、と言う事になって(笑)。





「おばさんっぽいのかな、あたし」なんて


Naomiは傷つくふり(笑)。





「大人っぽいもん」ってれーみぃ。




「スーパーモデルみたいだもん」とめぐ。




慰めじゃなくて、本当に、そう思う。




意外に、ひとも羨む美貌にも

それなりの悩みもあるんだな、なーんて(笑)


めぐは思ったり。






「じゃ、お部屋に行こう?」と



Naomi。




揺れる車両を、走りながら行くのは

疲れるから



ホームに下りて

歩いて行こうって



なんとなく、誰ともなく。






連結部分の鉄の渡りいたには

十字の模様、すべりどめが刻んであって。



それは昔のままだけど


列車が曲がる時に傾くので


円弧の模様に傷がついていて。



めぐは、それが年輪みたいに見えて。





「ばーむくーへんみたい」と


食べ物を連想する。




「おなかすいた?」とれーみぃ。





「ううん、お腹空いてたら、お菓子はね」と(笑)

楽しげなめぐ。






ただ、模様がそんなふうに見えたりしただけ。




ことばって、そんなふうに


イメージしたことを、そのまま伝えてる

訳でもない。




めぐは、模様が木の年輪みたい、って思ったけど




れーみぃは、めぐが

なんか食べたいのかな?なんて


(笑)。



れーみぃも、食べたいのかな(笑)。






naomiは、「お菓子あるよ」と言うので



れーみぃは「どこ?どこ?」


ワゴンにね、とnaomiが言うと




なーんだぁ、とめぐとれーみぃが

同じ事を言うので

みんな、おかしくなって笑った。




次の車両のデッキに立って、ステップを下りると

ホームは、なぜか階段ひとつ分高い。





「おもしろいね」と、naomi。





古い列車なので、昔の規格なのだろう。







階段にひっかからないように


気をつけて、ホームへ上る(笑)。



ホームを3人で歩いていると

少し目立つのか、声を掛けてくる人もいたりする。




「この汽車は、何時に着くのかの?」と、尋ねられたり。









でも、列車の時刻

までは知らないから




「はい、あの...と、あたりを見回して




制服姿のNaomiは、しっかりして見えるのか


アルバイトの、それも1日だけの人には

見えないらしい。

ホームの天井から下がっている電光掲示板の時刻を案内したり。

そういうあたり、流石である。



落ち着いた対応と言うか。





めぐは、ハタで見ていてすごいなぁ、と思い



「同じ歳とはおもえなぁい」と


言おうとすると、その

言葉をれーみぃが言ったり。






そんなこんなで、ホームの端っこ、改札口のそばに来て

最後尾、結局さっきの

車両のところに来た。






「なーんだ、ここで良かったんだ。」と


めぐは、安心。






4人乗りの個室は、ふつうの二段ベッド。

向かい合わせの4つを


ガラスの扉で仕切ったもので



結構、4人旅行には楽しい作りだけれども


ひとりかふたりだと、ちょっと持て余す広さ。




「けっこ、広いね」


「オリエンタル急行みたい」




「くつろげそうね、でも、5時に出勤って事だと.....」





それぞれ、三者三様。






開いているひとつ、に

誰が乗って来るかが


ちょっと関心だけど(笑)。









30分前に駅に着いたハズなのに



もう、時計を見ると

何分も残っていなかった。





「そろそろね」と


naomiは、制服の上着を取って。




「着替えてくる」ドレスルームへ行った。




ひとつの車両に、ドレスルームがふたつ、シャワーもふたつ。




結構、豪華だけれども

普通の寝台特急だった。






きょうは、普通の日のせいか

割と、空いている。




ホームでお見送りの人も、まばら。






田舎に帰るおばあちゃん、硝子超しに

孫に手を振ったり。




大きな荷物を抱えた、サイクリングの若者。


その荷物は、折り畳み自転車だろうか。




大儀そうに、自転車をデッキに置いた。







髪をアップにした、ジーンズの女の子が


ホームの床に座りこんでいたり。






いろいろ、それぞれの旅立ち。





お弁当を売る、大きなワゴンを押して


売り子さん。





でも、夜だから、おじいちゃんだ。


おばちゃんが多いんだけどね、なんて

めぐは思う。






それぞれに、楽しげな旅立ちの風景で

こんな人達の心には、みんな天使さんしかいないんだろう、なんて

めぐは思ったりもする。


めぐ自身、つい、この間まで

天使さんが、心に住んでいたのだけれども



それは、また別の意味で、住んでいた(笑)。


3次元の実世界に。



あまり無いことだけど。





特別に護られた事の、意味を

まだ、めぐは意識していない。







「汽車って、いろんな人の暮らしも乗せてるんだね」って

めぐは思う。


暮らし、つまり時間の経過に沿った記憶だったりするけれど

ふつうの人間は、3次元的な時系列で記憶を保持する

でも

思い出すのは一瞬だから


お料理作るのはたいへん、食べるのは一瞬(笑)みたいな

不条理があったりする。



めぐは、魔法でそれを自由自在にできたりする、けど。





世界全体を動かせるほどのエネルギーは、もってない。



例えば、いつかみたいに

スクーターの少年が転んで、飛んだ軌跡を変えるくらいなら

大したエネルギーじゃない。


F=maで言うm、質量も

相対的なものだから

宙を舞っている間の軌跡を変えるだけなら


慣性で飛行しているときの、物体に掛かる重力加速度を

少し増減するだけでも軌跡は変わる。


F=mghsinΘ、mを変化させるだけでいいのだから。


その影響で慣性ベクトルが変わる。




リサのおじさんは、白い制服に身を包み


きりりとした表情で

信号よーす(笑)

なんて、ちょっとユーモラスなのが

やっぱり、お国言葉の楽しいところ。



元々、穏やかに分かち合う人々の言葉なので

あんまり、闘争的な言葉は作られて

いないらしい(笑)。




言葉と気持ちは結構、つながっているから

優しいs言葉で、怖い行動を

イメージはできない。


れーみぃは、ほんわか言葉。



めぐは、のんびり言葉。


リサは、しっかり言葉。



Naomiは、凛々しい言葉(笑)


それぞれに、みんなに似合いの言葉を持ってて



それは、人柄に合ってる。





」残りの1つ、だれが寝るのかなぁ」と



めぐは、ちょっと気になる。





「空いているrから、誰も来ないんじゃない?」と。





リサのおじさんが、切符の検札に来た。



にこにこ、のーんびり。


やっぱり、お国言葉に似合いだ。






「ここの寝台、誰が寝るんですかの?」と


めぐは、さっきのおばあちゃんの言葉が移ってしまって。





みんな、楽しそうに笑う。



そう、ことばって

その時、なんか

移ってしまったりする(笑)。




それも、楽しい(笑)。




「だーれが座るのかは、わかりません、はい。」と


車掌のおじさんは、当然の事を言う。


そりゃそうだ(笑)。





「男だったら、変えてあげる」なんて

おじさんは、親切に言う。

別に、知り合いだからではなく



そういう気遣いは、いつでもしているらしい。







そして、21時になり

列車は、定刻で発車する。



リサのおじさんは、車掌さんの表情になって。一番後ろのお部屋、車掌室で

ドアのスイッチを指に掛けて、ホームを見渡している。



指先は、スイッチに。


視線は、ホーム。人の乗降、安全を思って。



口に、笛をくわえている。




ローカル線の普通電車だと、

無線で駅の放送もしたりするけど。



これは、特急なので

そういう事は駅員さんがしてくれる。





16番線、寝台特急northstar発車です。


ドア閉まります。




と、紺色の制服の駅員さんがアナウンス。




車掌、笛を吹いてドアスイッチを押す。




定刻。




空気の音がして、折り畳みの扉がバタリ、と


機械的に閉じる。



車掌は、無線で

機関車に連絡をする。



電車と違って、連結してるだけなので

電話は無線。


つながってるのに、おもしろい。


「イツレッサ、ハッサー」


と、ずっこけてしまいそうにユーモラスな

訛り、意味は



1列車、発車。(笑)。






機関車乗りは、汽笛を短く鳴らして



スロットルを開いた。



マスターコントロール、と言う

電源スライダーだが。






機関単弁、と言う

機関車だけのブレーキを緩めながら

駆動すると、しずかに発進。



編成全体のブレーキは、さきほどから緩められて


電気直通指令、と言う


列車全体のブレーキを

一度に掛けるものは

使用せずに



旧来の空気管指令、と言って


機関車の方からゆっくり空気を抜く。



そうすると、だんだん

前の方から

ブレーキが緩む。


最後の車掌室で、ブレーキが緩むまでの時間で

連結器のバネを緩めずに


列車をスタートさせる、高等技術である。



するする、と言う感じで

列車が走り出す。



と!


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