nite train
攀じ登るように、客車に昇った先は
食堂車のお勝手口と言う感じのところ。
行き止まりのキッチンの奥は、石炭のコンロがあって
オーブン。
手前の両隣にはパントリィ、調理台。
短い髪の料理人さんが、ふたり。
お芋の皮を剥いたり、人参をささがいたり。
黙々、でも
楽しそうに働いている。
「こんにちはー」と、
れーみぃとめぐが言っても、ちら、と黙礼した程度で
指先に集中している。
その、お芋の皮むきの
手早い事。
感嘆の声をあげそうになっためぐだったけど
なんとなく、神聖な仕事場を邪魔しそうで(笑)。
食堂車の、ダイニングの方に
出ると
白い、シェフの帽子をかぶったおじさん。
「やぁ、お嬢さん方が専務さんのご紹介の?」と
にこやかに、太ったお腹を揺すってた。
「はい、わたしはめぐ、こっちはれーみぃ」と
めぐは、簡単に自己紹介をして。
料理長さんは「はい。じゃ、そうだね。テーブルのセットと
お皿洗いくらいかなー。
準備はね。
」
汽車が走ると、お客さんが乗って来るので
忙しくなるんだろうね、なんて、めぐは
れーみぃと話す。
あの料理人さんたち、なんとなくカッコイイ、とか
思ったりしながら(笑)。
れーみぃにそれを言うと
「はい!そう思ってました。
でも、めぐの好みは
料理長さんでしょ?」なんて言う
れーみぃ(笑)。
「えー?そうかなぁ」なんて
めぐは返したけど(笑)。
そうかも(笑)なんて思ったりする。
ひとの魅力って、見かけや年齢じゃないし。
どっちかと言うと、そういう安心感、みたいなのが
めぐの好みだったりもする。
そういえば、図書館の
レストランのシェフ、も
太ってたし
司書主任さんも。
だからと言って、太っちょが好きという
訳でもない。
ルーフィさんは、太ってなかったけど。
そんなふうに思い出す。彼。
もう、だけど
遠い思い出、って感じ。
恋心ってそんなもので
何かのきっかけで、想い
始めるけど
突然、消えてしまったりするような
そんなものであったりする。
身近だから好きになる、って訳でもなかったし。
姿形で、気に入るって
そんなタイプでもなかった。
もちろん、見た目は悪いよりはいい方がいいけど(笑)。
「ほんじゃ、れーみぃは
あの料理人さん.....。」と、言いかけて。
れーみぃが「ほんじゃ」と
真似したので
それがなんとなく、可笑しくて
めぐは、笑った。
なんとなく、れーみぃも。
さっきのシェフは、遠くからにこにこと笑ってて。
若い料理人さんたちは、ちら、と
ふたりの女の子を意識はするけど
気のないふり。
そんな不自然さ、なんかもめぐが、若い男の子が
苦手な理由だったりもする。
ふつうに話せばいいのに、ルーフィさんとか、司書主任さんとか。
そんなふうに思うけど。
でもまあ、ルーフィは魔法使いだし
司書主任さんは......どうしてかな(笑)。
ジェントルマンなだけだろう。
そういう男も少なくなった。
めぐたちの目前を、貨物列車が通り過ぎる。
青い機関車が、貨車を率いて。
機関士さんは、窓を開けて
リラックスした表情で信号機を見ている。
そう、鉄道で働く人は
昔ながらの表現でいう、男らしさがあるみたい。
だと、めぐは思ったりする。
それが、女の人でも男らしい(笑)なんて言うと変なので
凛々しいって言うのかな、なんて思ったりも。
ブレーキを掛けて、停まった機関車の中で
ひとり、機関士さんは
黙している。
そのうち、信号機が変わり
機関車のブレーキを緩める。
空気の抜ける音がする。
続いて、編成全体のブレーキを緩める。
貨車の前の方から、少しずつブレーキが緩むので
編成の最後尾のブレーキが緩む前に
機関車を僅かにバックさせる。
すると、連結器の隙間だけ貨車は押されて
ほんの少しづつ、ドミノのように後ろまで衝撃が伝わる。
最後尾で、跳ね返されて
前の方へと波が伝わる。
その時、機関車を前に進ませると
後ろから押される波に乗って、編成全体が前に進む。
昔ながらの技術である。
普段、貨物列車をあまり見かけないめぐのあたりでは
珍しい光景。
「さで、いぐか」と
リサのおじさんは、普段着のまま(笑)。
車掌室へ。
いちばん後ろの車掌室には、
天井から赤い紐が下がっていて。
窓の側に、路面電車みたいなハンドルがついている。
「めぐちゃん?見るが?」
なにを?と
思ったけど
なんとなく、面白そうなので
めぐと、れーみぃ、Naomiは
車内を歩いて、最後尾まで。
「いろんなお部屋、あるね」って
れーみぃは、楽しそう。
二段ベッド。ひとり部屋、ふたり部屋。
ソファーのお部屋。
いろいろあるけれど。
綺麗にお掃除されて、いい香がしている。
さっきの、おばちゃんたち、おじちゃんもいたけど(笑)
お掃除を、がんばってたんだな、なんて
めぐは思う。
おざなりに、お掃除するだけだったら、
清潔感って、そんなに感じないけど
ガラスは拭いてある、じゃなくて
磨かれていて。
ドアハンドル、壁。
手の触れるところに、脂っぽい感じがなくて。
「ありがとう」って
声に出したくなるような、感じ。
割と、古い列車なのに、そういう感じで。
カーテンとか、ソファーも
新しいものではないけれど
さっぱりとしていて。
緑のモケット、白いレース。
「やっぱり、特急列車だね」と
Naomiも感嘆する。
superexpressが、いつも混んでいるので
通学電車みたいに、なんとなく人の気配がする
のと違って
上級な、ホテルみたいなサービスに
そのお掃除だけでも感じられる。
Naomiは、現実的な人だから
「時間の余裕かな」なんて感想を述べる。
superexpressは、5分くらいの
折り返し時間で
さっ、と
掃除をしないといけなくて。
この、ノーススターは
昔ながらの上級列車だから
ゆっくり、半日かけて
掃除ができたり。
お料理の支度ができたり。
そういう、古きよき時代の時間の流れを
保っている。
だから、サービスも上級なのだったり。
時間、そう。
そういう時間は、3次元的な
均等な間隔のものなのだけど
それを、伸縮させる事が、もしできたら
便利なのになぁ、なんて
めぐは、歩きながら
思う。
そして、3人は
最後尾の、車掌室に着く。
乗務員室、と
書かれた磨りガラスの
向こうに、白熱電球の明かりが灯り
そろそろ、宵の口である。
その、磨りガラスの扉は
めぐたちが訪れると、がちゃり、と開いた。
見かけないハンドルが、ガラス窓の側の
収納箱みたいなところから生えている(笑)。
珍しいな、と
れーみぃ。
「そ。こりはな、ブレーキはんでの」
と、リサのおじさんは、愛嬌のある
お国訛りで
こり=これ
(笑)
はんでの=なので。(笑)
通訳が必要な程、変わった言葉の響きは
フランス語のように、流暢で
若干、鼻に掛かった言葉(笑)。
寒い地方なので、口を開かないで
済むように発達した、などと
民族学者のうち、生態学の
知識がある人は
そんなふうに言う。
南の方の人が、比較的言葉数の多い
言語であったりするのも
気候などの環境の影響、などと
言われたりもする(笑)。
本当かどうかは不明だけど(笑)
でも、確かに寒いと
ものぐさになるのから
なんとなく、実感できたりもする(笑)。
猫などは、冬になると
じっとして、おとなしくしているし。
北の方の冬は厳しく、口を開けると
雪が舞い込んだりする、なんて
まことしやかに語られたりもする
bluemorrisの、リサのおじさんは
いかにもそれらしく、朴訥である。
リサは、その北の大地で
列車に揺られていた。
海岸沿いを南に下る、茶色の木造客車は
なつかしい、おじいちゃんの思い出が
残っているような列車だった。
暗くなると、電灯が点くけれど
暖かみのある黄色い電灯で、車輪が回ると
ゆらゆらと
明るさが変化した。
その、ゆらゆらが
なんとなく、不思議な
安堵を
リサに与えた。
かつては、蒸気機関車が率いていたその客車。
屋根にはまだ、煤が残っているかのようで
窓枠の隙間は、石炭がらで
黒くなっているような
そんな気がして
リサは、懐かしくなった。
おじいちゃんが、まだ
この列車と一緒に走っているかのようで。
車窓ごしに、田園の風景と
木造の看板は、テレビはナショナル、なんて
書いてあったりする、ブリキの看板が丸太の塔に乗っていたり。
ふと、微笑んでしまう。
自分は、なにを悩んでいたのだろう。
と、思い返すリサ。
思い込みなどと言うものは、そうしたものだ。
リサの降り立った駅は、おじいちゃんの家のそば。
線路は立派だけれども、駅は古い木造で
駅員さんのいない駅。
rubcowbabyと言う
かわいらしい名前の駅に
降り立って見ると
プラットフォームは、線路に沿ってあるだけで
簡素なこの駅は、旅情をそそる
のどかな駅。
線路は、どこまでも真っ直ぐに光っていて
vanisingpointに向かって
レールは、二条光っている。
客車は、静かに止まる。
古い汽車なので、ガタゴト走るような
イメージを持って乗り込むと
実は静粛な乗り心地だったりするのは
機関車乗りの腕前、である(笑)。
列車が止まる時、連結器の隙間が
あって、それが
ガタゴト、する理由だったりするのだけれども
隙間の無い、新しい電車とは違って
古い列車は、例えば停める時に
機関車や前の方の客車で、連結器の隙間を引っ張って停めるようにすればいい訳で
そのために機関車だけ、のブレーキと
列車全体のブレーキを掛けて
止まる寸前に、機関車のブレーキを緩め
次いで、列車のブレーキを解放する。
編成の前の方からブレーキが緩むので
一番後ろの客車のブレーキが緩むまでに、
編成全体が止まれば
連結器は、引っ張られて止まる。
止まる場所が下り坂だと、ちょっと難しい。
別に、汽車は止まればいいし、揺れてもいいけれど
そういうところに、鉄道を愛する者の
気持ちが顕れたりする。
夜行列車など、お客さんが寝ているので
こういう技術のない機関車乗りには
運転ができなかったりする。
リサの乗った列車は、静かに停車して。
さすがに、リサのおじいちゃんの後輩たちなのだろう。
そういうところに、伝統は現れる。
「でも、暗いなぁ」と
思っていると、駅前の電灯が
ふんわり、点灯した。
そろそろ夜と言う時間になる。
砂利の駅前には、誰もいなくて
水溜まりがあちこち。
自転車が何台か、線路沿いに止められている。
駅前の自転車の
いくつかを
リサは、微笑みながら触れて歩いている。
旅、って言う
ふだんと違う時間が、そうさせるのだろうけれど
ここに住んでいる人から見ると、ちょっと不思議な人、そんな印象な
行動だろうか。
夕暮れの村、空気はとても澄んで
寒いくらいに感じるのは
この地、northeastらしい雰囲気である。
爽やかにも感じられる、その風のせいで
リサは、懐かしい思い出をイメージする。
そう、自転車で
おじさんは
おじいちゃんの建てた家から
この駅まで通っていたのだった。
そう思って、自転車の一台を見ると
見覚えのある文字に、見慣れた住所が掛かれて居た。
後ろのふぇんだーに、黒いマジックインキで。
その文字が、よく車掌さんが車内で発券する
切符の文字のようで
リサは、思わず笑顔になる。
そこに戻って来た、と言うような
安堵感が、そうさせるのだろうか。
記憶はないけれど、おじいちゃんも
この自転車で
通っていたのだろうか。
時々、汽車を見に行きたくて
おじいちゃん乗せて貰った自転車の後ろは
この自転車より、もっと
無骨なものだったような気もする。
汽車に乗って、少し南の方の峠の駅へ行き、
そこの駅の人に、やっぱり自転車を借りて
峠まで、汽車を見に行ったんだった。
黒くて大きな機関車を、線路沿いで見て。
煙をいっぱい吐いて、大きな体を揺らして。
蒸気機関車は、大きな生き物のようだった。
そういえば、おじさんは写真が好きで
その、峠で鉄道写真を撮って
国鉄の社内雑誌に掲載したり、などと
楽しい趣味人。
やっぱり自転車で、あちこちに
ツアイスのカメラを持って行ったものだった。
いつだったか、リサが間違えて
その大事なカメラのフードを曲げて
しまった事があった。
でも、おじさんは
怒らず
黙って、金属のフードを眺めていた。
小さな頃のリサは、おてんばだったので
そのレンズフードを
なんとか直そうとして
歯形のついてしまったレンズフード。
それを、おじさんは
笑いながら眺めていた。
機械と、人って
そんなふうにして、思い出を作って行ったり。
機関車も、カメラも、自転車も
人の作りだした金属の塊なのに
見る気持ちによっては、懐かしかったり
愛おしかったり。
リサの気持ちも、その機械の思い出で
いっぱいだ。
駅前を、歩いて。
バス通りに出ようかと思っているリサに
ラジオの音楽が聞こえて来た。
砂利道沿いの家、
古い木造の窓から、明かりが漏れて
楽しい家族の夕餉、団欒。
ラジオの女性DJは、爽やかな言葉で
曲を紹介する。
I need to be in love by carpenters"
美しいと言うか、几帳面な印象の
楽器のような歌声で
その曲は綴られる。
恋に落ちるべき、なのでしょう、わたし。
完璧を求めるなんて、無理だったのね。
と、そのボーカリストは歌う。
彼女、カレンは
若くしてバンドで成功してしまって、なぜか
心の均衡を失って
夭折してしまう。
本当に、彼女の望む道だったのだろうか?
バンド、音楽。
でも、兄と始めたその音楽生活が
周囲の期待を呼ぶようになると、彼女の望む、ふつうの生活は
望むべくもなくなる。
もともと、几帳面な性格なので
周囲の期待に応えようと
ヒットソングを作り続ける、などと言うのは
人気、その根拠がないものだから
彼女にとっても
重圧だったのかもしれない。
その、心のバランスを失って
しまったカレンさんの歌声は
なんとなく、リサの心に
特別な感慨を持って響く。
歌唱はなんとなく几帳面で、それだけに
音楽と言うものを、楽しんでいるというか
生きている楽器のように演奏している、そんな感じ。
優等生であり続けるのは、辛かったのかもしれない。
歌声だけでも分かるのは、やっぱり感性で
リサ自身も、幼い頃から
鉄道員の祖父の期待を持って育てられていたし
父が、鉄道員にならなかったせいで
そのぶん、リサに期待が掛かってしまって。
それは、カレンさんの人生に
少し、似ているような
そんな風な印象もあって。
生真面目な唄い方のカレンさんが
愛するべき
と
べき
と言う言い方をする辺りに
心の軋み、不自由さを感じたりするのも
また、リサ自身の共感、なのだろう。
ラジオDJは、曲を変える。
同じカレンさんの歌で、ソリティア、と言う
カードゲームに喩えて
孤独な、愛に恵まれなかった男の人生を歌った曲。
最後は、煙になって天に召される、と言う表現で
後々のカレンさんが、やはり
愛を求めて、叶わず
天に召されてしまう事に、リサは
重ね合わせてイメージを持ってしまって。
「これを唄ってる時、どんな気持だったのだろう」と
思ってメロディする。
そこはかとなく、浮遊する感じの声は
ほんとうに、天に召される魂のようにも感じられて。
辛かったんでしょうね?
と、語りかけてしまいそうになる、リサだった。
リサ自身、心の軋みを持って
旅に出たのだから。
すこし、おセンチになってるリサの気持は
カレンさんの歌声で、連想してしまってそうなった。
人間の連想は、なぜか感情が伴うので
そこは、機械と大きな違いがあるところ。
機械で言う演算、オペレーティングで
連想の真似、シミュレーションをさせても
[感情]と言うもののシミュレートまでは、いまでもできていない。
できるのは語句サーチだけで
その語句検索に、傾向付けができれば
感情を機械が持つ事ができる。
簡単なプログラム、例えばwindows-scriptなら
--------*-------------
Option Explicit
On Error Resume Next
Dim objFSO ' FileSystemObject
Dim objFile ' ファイル読み込み用
Dim objFile2 ' ファイル書き込み用
Dim objRegExp ' 正規表現オブジェクト
Dim objRegExp2 ' 正規表現オブジェクト2
Dim objRegExp3 ' 正規表現オブジェクト3
Dim strTxt 'テキスト一時ライン
Dim strTxt2 'テキスト一時ライン2
Dim strTxt3 'テキスト一時ライン3
Dim strTxt4 'テキスト一時ライン4
Set objFso = CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
Set objFile2 = objFSO.OpenTextFile("test.txt", 2, True)
Set objRegExp = New RegExp
objRegExp = "【検索対象1】"
Set objRegExp2 = New RegExp
objRegExp2 = "【検索対象2】"
Set objRegExp3 = New RegExp
objRegExp3 = "【検索対象3】"
Set objFSO = WScript.CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
If Err.Number = 0 Then
Set objFile = objFSO.OpenTextFile("検索対象ファイル")
If Err.Number = 0 Then
Do While objFile.AtEndOfStream <> True
strTxt = objFile.ReadLine
if objRegExp = strTxt Then
strTxt2 = strTxt
End If
if objRegExp2 = strTxt2 Then
strTxt3 = strTxt2
End If
if objRegExp3 = strTxt3 Then
strTxt4 = strTxt3
End If
objFile2.WriteLine strTxt4
Loop
objFile.Close
objFile2.Close
Else
WScript.Echo "ファイルオープンエラー: " & Err.Description
End If
Else
WScript.Echo "エラー: " & Err.Description
End If
Set objFile = Nothing
Set objFSO = Nothing
Set objRegExp = Nothing
Set objRegExp2 = Nothing
Set objRegExp3 = Nothing
-----------------------*---------------------
のようなもので、検索をさせて、書き出したりできるけども。
例えば、愛してるとか、好き、なんて言葉が
どのくらい囁かれたか、で
愛を判定できたりする(笑)。
人間の感情もこれに似たような、フクザツなものだけど(笑)。
そんな訳で、リサは曲に流れた歌詞や、歌っているカレンさんの人生を
言葉とイメージで連想して
わが身と共感した。
それも、秋だろう。
ラジオDJは、でも
そんなひとつの気持を払拭するように、別の曲を掛けた。
"Loving you by minnie lipererton"
と、DJが言うと、美しいエレクトリック・ピアノのシンプルな響きと
小鳥の鳴き声をバックにして
女性の、高い声がボーカルした。
.....愛するってカンタン、だって、とてもすてきなことだもの。
こんな気持って、きっと、きっと.....
とてもきれいな、虹みたいな...そういう気持。
と言う、ラブソングのように聞こえるけれど
この歌詞は、不治の病の淵にある母親が
幼いわが子に対して唄ったもの。
それを、リサは聞いたことがなくても
その声の響きは、どことなく
そうした、深い慈愛に満ちて。
天使の歌声、と言われて。
その曲の収入が、幼い子が生きていく糧になっていった、と
言う事も
後々まで語り継がれて。
誰も、歌い手が天に召されたから
その収入を没収しよう、などと考えたりはしなかった。
そういう慈愛は、やはり社会のどこかに残っているもので
だから、この曲をラジオDJが掛ける事も
慈愛であったりする。
それは、リサが国鉄や、おじいちゃんに感じたものと
似ていて。
もしかすると、おじいちゃんや国鉄が
リサにしてくれた事も、それ、かもしれないと
リサは、この曲から連想する。
そんなふうに、音楽はすてきだ。
そこで、曲が変わる
"Whole lotta love , Led Zeppelin!!"
と、ハードなロックギター、ボーカルの叫び。
「ああ、めぐが好きなの」と
意外にハードなめぐの性格を伺い知るような(笑)
あまり突然な番組の展開は、さすがに軍の放送らしい。
このあたりは軍隊の自主放送があって、それが
音楽のセンスが良いので、よく聞かれている。
歯切れの良い、真っ直ぐな音楽。
真摯な声。
若者らしい主張のある、「愛」。
あなたが、どう思ったって
俺は、いっぱい想ってるさ。
こんな気持は、もう、胸にいっぱいだよ。
そんな歌詞を、ハードに吼えながら唄うのは
いかにもロックらしい。
激しい想い。
それで、リサはすっかり気分がノリノリになってしまった(笑)
ドラムが、硬い音でタムを叩く辺りで
あまりに煩いので、ラジオは切られてしまった(笑)。
ざーんねん。続き聞きたかったのに、と
リサは、気分が軽くなった。
音楽を聴いてるだけなのに、発散できるって
すばらしい曲。
唄ってるのは「愛」で、さっきの母親が子に託す想いも「愛」。
ずいぶんloveでも違うんだなぁ、なんて
リサは思った。
「こっちは、男の子の愛ね」求める愛。
さっきのは、お母さんの与える愛、なんだろうな。
そうは思いつつ、でも曲の続きが聴きたくなって。
「こんな田舎じゃ、レコードないだろうなぁ」とか思って(笑)。
さっきのラジオ局に行ってみようか、なんて
リサも、立ち直った(笑)LedZeppelinで。