superexpress
そうして、通勤電車でひと駅の
SuperExpressの出発駅に到着。
ゆっくりと降りて、1階の
乗り換え通路に降りて。
また、2階のホームに上るんだけど。
「面倒だなぁ」なんて、Naomi(笑)。
「でも、仕方ないね」と、めぐは言う。
諦めちゃうタイプのめぐと、面倒だって
言うタイプのNaomi。
どっちもどっちの、お友達。
それだけに、上手くいくのかな(笑)。
「あ、洋食屋さん!」って、れーみぃは
なにか、見つけるのが得意。
洋食屋さんは、旧い列車の食堂を
模したお店で
結構、混んでた。
並んで待ってるので(笑)。
「またにしよーね」と、めぐは
やっぱり諦めちゃうタイプ(笑)。
「食べたいよー、オムライスーぅ、シチューぅ」と
れーみぃは、かわいい(笑)。
お嬢さんだから、そういう、素直に
感情を
表すところ、かわいらしいなって
リサは、思う(笑)。
「お弁当があるね」と、Naomi。
テイクアウトの洋食。
「あ、それそれ。買っていこっか。」と
Naomiは
お姉ちゃんっぽく。
妹っぽいれーみぃと、いいコンビネーション(笑)。
「SuperExpressにも食堂車あるけど、
100kmじゃ、50分だもんね」と
リサは、車掌さんっぽい。(笑)。
オムレツと、ハッシュドビーフ。
テイクアウトで。
分けて食べよーね、なんて
れーみぃはにこにこ。
お弁当買って貰って、にこにこしてるれーみぃは
やっぱりお嬢さんかなぁ、なんて
その、かわいらしさに
めぐもにこにこ。
クラスメートなのになぁ、育ちかな(笑)なんて
めぐは思った。
白い、SuperExpressは
もうホームに入っていて。
滑らかな先頭は、白鳥のように
優美だった。
大きいので、近くで見ると
迫力のあるスタイル。
「乗ろう?」と
リサ。
「そだね。凄いね。これに乗れるって
結構贅沢かも」Naomi。
ナチュラルな感覚は、やっぱり
庶民的。
「かーっこいいぃ!」と、
にこにこ、お弁当下げて(笑)れーみぃ。
めぐは、ホームの
土曜日の夕暮れ、その雰囲気を
楽しんでいる。
ふたつ向こうのホームに、北に向かう
オリエント・エクスプレス。
うやうやしく、食堂車のクルーが
車両に乗り込んでいる。
旅っていいなぁ、と
やっぱり、あっちの方が
旅、って言葉に似合うかな、なんて
文学的(笑)。
白い、プラグドアが開いて
めぐたちは、先頭車両の
デッキに乗る。
すると、運転席の後ろに
4人掛けのボックスシートが、壁で隔てられて
通路を挟んで、4つ。
「ここでいい?」と
リサは、そのシートを示す。
「これ、いいの?」と、Naomi。
リサは、「指定席じゃないから、大丈夫。
」と。
そのあたりはさすがに詳しい。
時々、指定席にする事もあるらしいけど。
今日は、大丈夫らしい。
そういう列車がいくつもあって、
特急列車に使う電車を、普通に乗れる事も
よくあるらしい。
「田舎のおじさんが教えてくれるの」と、リサは楽しそう。
「おじさん?ああ、車掌さんの。」と
めぐは気づく。
「おじさんも安心だろね、後継ぎが増えて。
次は、ミシェルかなー。」と、れーみぃは
お弁当が気になってて(笑)。
4人掛け個室の、テーブルに
置いたお弁当を、早く食べたいよー、って
わんこみたいに。
「ミシェルも、やっぱり特待生になるのかなあ」と、めぐ。
リサは[うーん、だいたいミシェルは国鉄じゃ勤まらないんじゃない?」と、厳しい。
「めぐお姉ちゃんのそばにいたいから、って
図書館で働く、なんて言ってるくらいだし」と
リサは、また困った事を言うので(笑)
また、れーみぃが思い出す「あ、そっかぁ、
じゃあ、いつかリサはめぐのお姉ちゃんになるのかぁ」ははは、と屈託なく笑うので
めぐも、そんなに悪い気はしない。
賑やかな女子高生4人は、やっぱり個室でよかった(笑)。
もちろん、個室と言っても
座席指定じゃないから
鍵は掛かってない。
「でも、お弁当食べるんなら
やっぱり向かい合わせで、おいしくたべないと。
まわりに、おいしそうな香りが漂うのも、ちょっと、ね。」って
リサは、さすがに車掌のおじさんの姪である(笑)
けっこう、食べ物の匂いって気になる人もいるけど
まあ、おいしい洋食なら嫌、って人は少ない...と、思う。
「それよっか、JKうるさい、って言われそうで」とはNaomi(笑)。
「マナーモードにしろ、とか言われそうね」と、めぐ。
「そうそう、個室なら大丈夫ね。マージャンしても」って
れーみぃは、なんかアジアン(笑)。
「おっさーん。」と、Naomiが言うと
「おやじ仲間じゃーん。」って、リサ(笑)。
そっか、ってNaomiも笑う。
和やかな笑顔。
個室っていいなぁ。と、めぐは思う。
気兼ねしなくていいし。
そうしているうち、SuperExpressは
プラグドアを、空気の音と一緒に閉じた。
「けっこ、大きい音するね」と、Naomiが言う。
「あれは、ドアをね、はめ込むのね、ボディに。300km/hで走るから」と
リサは、詳しい。
「すごいねー300km、あ、それじゃ、早く食べよ、オムレツ。しちゅー。」と
れーみぃは楽しそう。
テーブルに置いた、包みを開くと
まだ熱々の、ハッシュド・ビーフ。
とろとろオムレツ、チーズいり。
わぁ、と歓声、みんな。
湯気で窓ガラスが曇るくらい、あったかい。
「すごいなぁ。お料理って。」と、めぐは言う。
「そーだね。うんうん。食べようよ。」と、れーみぃは
フォークで、ひょい、と
オムレツのはじっこを拾い上げて、かわいい
お口に運ぶ。
とろっとしたチーズが、とってもおいしそう。
「うーん、美味でござる」と、れーみぃ。
「どこのお侍さんよ」と、Naomi(w)。
SuperExpressは、静かに走り出した。
少し、曲がってる駅のホームから、音も無く。
「もう、300km?」と、めぐが聞くと、リサは
「構内だからまだ、75km。」と、言うと
「75kmでも速いよね。」とNaomiは車窓を見ると
カーブを傾きながら進んでるけど、結構なスピードが出ている。
「旅は馬の速さくらい....か。」と、めぐは、レオナルド・ダ・ヴィンチの
言葉を思い出す。
「馬って何キロくらいなの?」と、リサ。
「40kmくらいじゃない?」と、れーみぃは言う。
「40kgでしょ?」と、Naomi。
あ、ひどーい。38kg!って、れーみぃは言うけど
あんまり食べると、40kgになっちゃうよ、と、リサ(笑)。
......2kgしか変わらないけど(笑)。
「みんなで太ろうね。(w)」とか言いながら
ちゃんと、4つあるフォークとスプーンを回した、れーみぃ。
Naomiは、ハッシュド・ビーフをスプーンですくって
デミグラス・ソースを、嬉しそうに味わった。
こってり系、好きらしい。
「やっぱ、ビールよっか、スパークリングかなぁ」とか言いながら。
リサは、オムレツのチーズ、とろけたところの
塩味を楽しんでいる。
めぐは、ジンジャーエールの栓を開けようとして
でも、開かなくて。ふと、窓の外を見た。
カーブを過ぎると、車体を真っ直ぐにして
SuperExpressは加速を始めた。
けっこう、遊園地のジェットコースターくらい
速いかな、って
めぐは思う。
それでも、時間旅行する時、空から舞い降りる速度
よりはゆっくりだけど、とも。
列車は、スピードを上げはじめた。
でも、大きく揺れる事はなく
滑空するように、加速。
最初の停車駅のそばを通ると、ディズニーが見えた。
「あ、ディズニーランド!」と
れーみぃは、スプーンを持ったまま(笑)。
「あの子も見てるかな」と、Naomi。
あの子って、もちろん
行きに出会った」ディズニーランドいくー」の
子の事だろう。
自然に、欲求を表現するのはとてもかわいい。
分別、とか言われて
欲求を抑えるのが、大人(笑)。
でも、子供だったら許されるから
その子供を愛らしい、と思ったりする。
そんな頃に戻りたい、とか
思ったりしながら。
心の中で。
つまり、大人として社会にいるから
抑制が必要なので。
社会以前の、群れを持たずに生きていた頃は
自由自在だったのだろう。
その頃を懐かしんで
自由を、子供の欲求を
うらやましい、と
大人は思うのかも、しれない。
ーーーーなどと、リサが思ってはいない。(笑)。
ハッシュドビーフとオムレツを
みんなで食べ終えて。
あとは、お皿に
美味しそうなソースが残る。
「もったいないよね」リサ。
質素な倹約家である。
「ナメちゃいたいなー」れーみぃ。
意外なお嬢さんである(笑)でも、その
壊れたところがとても愛らしい。
「誰も見てないよ」とNaomi。
楽しい性格である(笑)。
「フランスパンあったっけ」めぐ。
料理が好きなのかな(笑)。
「あったあった!」と、
れーみぃは、リュックサックの中から。
細いバゲットを出して。
でも、ナメたってパンでさらっても同じだよね、とか言いながら。
「なんで、ナメちゃいけないんだろね」と、Naomi。
「わんこやにゃんこに似てるからじゃない?
ほら、昔って人間が偉くて、動物は偉くなくて、って
そういう考えだったから。」と、めぐ。
「そーなんだぁ」と、れーみぃは、素直な子(笑)。
「古いよね」と、Naomi。
「でも、やってみるのもちょっとねぇ(笑」とリサ。
誰も見てなくっても、なんだか恥ずかしいなぁ、と
めぐは思う。
それが元々、古い考えの
しきたりだったとしても
でも、なんとなく。
「舌出すのも恥ずかしいもんねぇ、好きな人とかの
前だったら」と、リサ。
意外に純情乙女なところもある。
Naomiは[そういえばさ、リサの好きな人って
どんな人?と
答にくい話題を口にする(笑)
ストレートな彼女の表現、その風貌に似合う感じ。
車窓は、景色の流れがゆっくりに代わって。
地平線と同じ高さのホームには、さっき、出発していったブルー・トレインが停車していた。
「あ、見て見て!」と、れーみぃ。
「追いついたんだ。あれにも乗ってみたいなあ」と
Naomi。
「乗れるけど、寝台券いるわよ]と
リサは、車掌さんっぽい。(笑)。
「オリエント急行じゃなくて、あれに
乗ってみたいなぁ」と、めぐ。
「そーだね、卒業旅行とか」と、れーみぃは
フランスパンに、デミグラスソースをつけて(笑)。
よく食べる子(笑)。
「4人乗りの個室あるわよ、2段ベッドの」と
リサ。
すっかり窓口係(笑)。
「2段ベッドーぉ?なんか楽しそう。」と、れーみぃ。
2段ベッドに寝た事ないらしい。
ひとりっ子なのか、広いお家なのか(笑)。
そういえば、れーみぃは
どことなく、お嬢様っぽい(笑)。
「2段ベッドなら、うちにあるわよ」と
リサ。
普通のお家だもん。(笑)。
寝てみたら、とNaomi。
「あ、寝てみよっかな。リサん家で。
夜中に襲わないでね(笑)」と、れーみぃは楽しい。
「ま、リサには襲われないだろうけど、ミシェルが危ない(笑)」って、Naomi。
ちょっと、お姉さんっぽいから
そういうジョークも好き(笑)。
笑いって、抑制が解かれた時に
起こる。
だから、ミシェルが
抑制しないって言う冗談は
例えば、かわいいわんこが
ご飯をお預け、って
できないのを見て
笑うように
本当は、見ている人たちが
抑制から解放されたいのである。
「ミシェルは、そんな事しないよー」と
リサは笑う。
お姉さんとしては、その冗談は
ちょっと、気になったりして(笑)
「うんうん、ミシェルは、めぐひとずじだもん」と
れーみぃが言うので
めぐは、どっきりして。
ジンジャーエールを吹きそうになった(笑)。
「そうよね、ごめんねリサ。冗談だからさ」と
Naomiは、サッパリ謝る。
「ううん、気にしてない。ありがと、Naomi」
と、リサもサッパリ。いいお友達同士(笑)。
まあ、女の子が思うほど
ミシェルは、獰猛な男の子でもない。
それは、めぐ自身がかつて
記憶していた3年後の世界で
めぐを、抱きしめたいと
ようやく17歳にして思う事でも分かるように。
でも、できなかったのは
あまりに、憧れの存在、として
めぐを思いすぎてしまっていたから、で。
愛が、めぐを慈しむ気持ちになるからで
やっぱり、めぐが嫌がる事は
できない。
そう、思ってしまうから。
もともと、恋愛は
開拓的な事なので
新しい者を求める、そんな傾向があるけれど
それは、生物学的な、動物行動学的な
様式であって。
例えば、仲良し、慈しみあう相手は
恋愛、と言うより慈愛を
分かち合うようになる。
勿論、それは
社会の中で争いが起こらないようにする
生き物の知恵で
生物社会学では、例えば
1980年代に、フィールドワークから同様の観察結果が得られているし
もっと古く、1970年代に
イスラエルの青年共同生活組織、キブツで
カップルが発生しない、等という
社会人類学の研究が
有名であったり。
ーーーと、めぐが思っている訳もないが(笑)
そういう、傾向を
人間は持っているらしいので
ミシェルは、とても人間的に
ノーマルな子だ、と言う事だ(笑)。
もちろん、みんなわかっているだろうけれど。
SuperExpressは、海岸沿いを
少し、スピードを落として
トンネルに入る。
トンネルを抜ければ、もう
到着だ。
車内アナウンスが、上品に流れる。
Ladies and gentlemen, this is Super-Express "swarrow #45"
for westbarry.
next briefstop for few minutes.
「もうじき着くって」と、Naomi。
「もうちょっと、乗ってたかったなー」と、れーみぃ。
お弁当は食べちゃったけど(笑)。
「楽しい土曜だった。泊まっていきたかったけど」と、リサ。
「うん、ディズニーリゾートとか」と、めぐは言って(笑)
....あの、おミミのついた帽子の子は、おばあちゃんの家で
ミッキーのお話とか、してるのかなぁ、なんて
思って。
....なんで、そんなにディズニーランドが好きなのかな(笑)と
思ったりするめぐは
文学少女である(笑)。
文学って、ある種シミュレーションなので
目の前にある現実よりも、空想の中の出来事に
興味を覚えたりするのは
それは、シミュレーションが、心の中だけで
完結するから。
完全無欠なイメージも作れたりする。
誰しも持っている、魔法。
0次元の空間に、無限大のイメージが作れる。
すてきな自由。
現実の、どんなことも
3次元のそれは、無限大の自由よりは窮屈に
ひょっとすると、みんな思ってるかもしれない...。
でも、3次元の地上に、みんな生きていて。
いつかは、自由に飛び立ちたいと思ってたりするけど。
つかの間の50分、で
もう、駅に着いてしまったりする。
「速いね、ほんと」と、Naomiは
素直な感想。
見た目、ちょっと派手に見える顔立ちで
スーパーモデルみたいな感じだけど
ほんとは、素朴な子。
「はい。飛行機より便利です」と
リサは、国鉄贔屓(笑)。
それはそうかもしれないけど。
「もうちょっと、乗っていたかったなー」と
れーみぃ。
「お弁当食べて、お昼寝できないもの」と
めぐ。
のんびりさん(笑)。
「のんびり旅には、向いてないのね、あんまり。この列車。」と
言っている間に、ドアが開いて。
嵌め込んであるドアが、一旦内側に引き込まれてからスライドする
飛行機みたいな作り方。
「なんか、カッコイイね」と
Naomiは言う。
「うん、300km用だもん」と、リサは
工学部に行きたいのかな?(笑)
機械の事を覚えているらしい。
着いた駅のホームは、いままでとあまり変わらないホームだけど。
日常に戻った、って感じで。
スピードが、気持ちを高揚させる。
それもあるだろうけど。
旅って感じより、遠くの駅から
瞬間移動してきた、そんな感じに近かったり。
めぐは、自分の持っている魔法の
記憶と合わせて考えていたり。
「でも、これでよかったんだね、って」Naomi。
なにが?ってリサは思ったけど「ああ、あたしの事?
うん、みんなありがと、、きょうは。
明日日曜日だけど、付き合ってくれて。
おかげで助かった。」って
リサは、駅のホームを歩きながら、みんなにお辞儀(笑)。
ちょっと、涼しい秋の風が、ホームに吹き渡る。
これで、リサの未来は
変わった事になる。
それを知っている者は、もう誰もいないけれど。
めぐが、覚えていた3年後のリサは
もう、いなくなる事になる。
そんな風にして、並列世界は
10の500乗、発生している事になる。
超紐0次元モデル、と言う
不思議な仮説によれば。
(0次元なのに、紐型の座標を
どう設定するのだろう笑)
その、どこを選択するかで
その人の人生が決まるらしい(笑)。
「でもさぁ、ミシェルって
なんであんなにおとなしく育ったんだろね」と
れーみぃは、また楽しそうに(笑)。
めぐは、どっきりしながら「うん、でもクラスメートには
結構乱暴な口利いたりしてるみたいね。」
と、プールでのセシルと言う
愛らしいクラスメートと
ミシェルの会話を
思い起こしたり。
「そっかー。そのクラスメートさんも
恋してるのね」と
れーみぃは、ホームを歩いて、階段を上りながら。
白い、superexpressは
もう、出発してしまって。
不思議なものだけど、颯爽と
行き過ぎてしまったので
見送る事もできなかった(笑)。
ある程度、時間のゆとりが
必要なんだろう(笑)。
ひとの心って、そう、スピードに
合わせられるものでもない。
「あ、セシルね。でも、ミシェルの
いいお友達って感じだけど」と、リサは言う。
「そっか。そういう友達っていいよね、
なんか」と、Naomiは言う。
実感を込めて(笑)。
実際Naomiは
その、スーパーモデルみたいな
見た目のせいで
結構、誤解されたりする。
気取りがあるとか、美人を意識してるとか(笑)。
そんな事はないのだけれど。
女子校でよかったと思うのは、そんな時。
れーみぃや、めぐ、リサみたいな友達が
できる。
男の子が絡むと、そういう仲にも
問題が起きたりして(笑)。
めぐと、ミシェルとセシル、みたいな関係になったり。