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異世界と繋がるクローゼット  作者: りゅん。
逆トリップ編
7/30

2度あることは。


2度あることは3度ある。




そんなことわざがあるもんだから、私はちょっとだけまた男が来るかもしれないと身構えていた。なのに男は宝石を持ってきた日から二週間経っても、三週間経っても私の部屋には現れない。


「もう来ないかもしれないなぁ」


何気なく呟いた言葉が惜しんでいるように聞こえて驚く。確かに前回も異世界の話を聞き逃したけど、喋れないから仕方ないし、危険を侵してまで強く聞きたい訳でもない。宝石の置き場所に困るしのはタンスに突っ込んどけばいいだけだし、惜しくなることがひとつもない訳けど・・・。


まあ、久しぶりの誰かとの食事が恋しかったんだろう。

何気なく男から貰った宝石を手のひらで転がしつつ眺める。宝石とは縁のない人生だったから小振りと評したが、宝石としては大きかったそれは真っ赤に光輝いている。


「あの人を部屋に入れるのを許すわけじゃないんだけどさ、流石に返さなきゃ不味いよね。」


貰えるものは貰っとけとは思うが、地球にこの種類の宝石があるのかも怪しいし、鑑定に行って新しい宝石だとかで有名になったとしても困るから、貰ってもあまり意味がない気がする。


それに服装から察するにあの男は一般市民なのだろう。村人Aのような服装から察することができる。宝石を持っていたのは謎だが、宝石商の下働きとかだったら納得できるし。貴族がお忍びでという可能性もあるにはあるが、流石にそんな夢をみるほど子供じゃない。貴族が一人で森の中にいる想像をしてみて欲しい。有り得ないだろう。第一、貴族の食事って黙って食べるイメージがあるけど喋っても不快そうな顔しなかったし。雑多な部屋での食事とかも馴れてそうだったし。しかも貴族ってもっと美味しいご飯食べてるだろうしね!!!!!


話が逸れたが、つまりは私は宝石を返さない程鬼畜ではないということだ。憐れんでいるわけでは断じてないけれど、日本の方が生活水準が高いだろうしご飯の1食や2食奢ってもバチは当たらないはず。


しかし、クローゼットを眺めてみても当然扉は開かない訳で。この前まではちょっと開けるくらい大丈夫だ、などと考えてもいたが、私が扉を開けることは恐らく一生なくなっただろうということは誰にでも理解できると思う。臆病で定評のある私が、血だらけの男を見てなお、扉を開けて探しに行く訳がない(確信)。


まあそんなことを考えていて三週間が経ってしまったが。

私は苦く笑って、宝石に視線を落とした。


「一応箱に入れとくかなぁ」


なくしても困るし。丁度良い大きさのいらない空き箱あったかな、なんて辺りを見渡して、ふとテレビに目が留まる。


 あ。




「ナイフ忘れてた・・!!」


ばっとテレビの裏を確認するけれど見つからない。何でだ。そういえばこの前掃除したときもなかった。そうだよね、掃除してる時に見つけたら剥き身のまま放っておいたりしないよね。


「ってそうじゃなくて・・・!!」


男が来る前に!!見つけないと!!男の大事なものだったりしたら目も当てられない。弁償するにも通貨とか宝石の価値だとかも違うだろうし、ナイフとか買える場所知らない。そもそも銃刀法違反だよね。え、違う?ちょっとそこら辺よく分からないけど。あーもう、私移動した覚えないんだけどどこやったっけ?焦ってテレビの近くを探して見るけどナイフは一向に見つからない。














結局、見つかったのはそれから一時間も経った後だった。テレビを置いてある棚の隙間に入り込んでしまっていたのだ。


「はー、良かった、」


いくら血のついたナイフだったとしても、なくしたら困るかもしれないしね。これだけの期間来なかったんだから多分もういらないってことだろうけど。

ナイフに刃こぼれがないかざっと見てから息を吐いた。大丈夫だ、多分。綺麗に血を拭いていたのが功を成したようだ。光に当たってキラリと光るナイフは見た限り錆びているようにも刃が欠けているようには見えない。


油がついても切れ味が悪くなると聞いたことがあるような気がして、それを確認するついでに見られても変に思われない程度にナイフを身構えてみる。


「これ、どうやって使うのかな。」


よく漫画とかで、隙がひとつもない・・・!!とかいう場面あるけど、隙が一つあるとかってよく分かるよなぁ。



「・・・すまないが、」

「・・・えっ?」


突然の声に驚いて振り返ると、いつもの胡散臭い笑みを消して不憫そうな顔をして立っている男を見つけた。恐らく下手なりにナイフを身構えているんだろうと分かったんだろう。なんとも言えない、憐れみの目線。下手で悪かったな!


「・・・邪魔をしただろうか。」

「い、いえ、そんなことは、」

「・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・気にするな。」



 ・・・死にたい。


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