気遣います。
スーパーで買い物をして、家に帰ると4時を過ぎていた。
あの男は何時に部屋に来るんたろう。前回私が帰って来たときには男は既に部屋で突っ立っていたし、何時に部屋入ったのか知る筈もないけれど。
でも、いつ来てもすぐに食べられるように早めに作っておいた方がいいかな。
冷蔵庫にいらないものを仕舞ってから、玉ねぎの皮を剥く。そして洗って、玉ねぎをフライパンに入れて弱火で炒める。先に玉ねぎを炒めるのは弱火で水分を蒸発させて質量を小さくするためだ。
その間に寸胴鍋でお肉、人参、じゃがいもの順に炒めておく。全部炒め終わったら寸胴鍋に全部いれて水を注ぐ。沸騰したら灰汁を取ってコトコト煮込む。
カレーのルーは三種類を玉にならないようお玉の中で溶かしてから入れる。どこかのレシピで見たのだが、このカレーが一番美味しいのだ。蜂蜜、醤油、オイスターソースを入れると完璧である。これ以上美味しいカレーを私は食べたことがない。
「よし、できた。」
後は切っただけのサラダをつければいいかな。水で洗ってボールにつけておく。
時間は5時。男はまだ来てないから、私の好きなサイトのWeb小説を確認する。
「あ、更新されてる!」
こういう時って地味に嬉しくなるよね。少しわくわくしながらページを開く。
私が今一番の好きな連載中の小説【君の隣で僕は嗤う】略して【君僕】。簡単なあらすじを説明すると、両親に幽閉されていた主人公の少女が、13人いる内の最後の聖女候補として発見され、他の12人の聖女候補と競いあう話だ。
主人公は幽閉されていたため家がなく、城で保護されることを承諾したのだが、王子の目に留まった事を他の12人の聖女候補に知られ、妨害と陰謀に巻き込まれてしまう。気付いたら周りは敵だらけという状態に追い込まれた少女は、王子と共に犯人を暴いていこうとする推理要素も入っている。
ジャンルが恋愛の【君僕】ではあるが、今のところ出てきた男性キャラは全員友情もしくは家族愛だ。何かと助けてくれる王子と幽閉した両親から少女を救いだしてくれた騎士。少女の幼なじみである商家の跡取りと少女と腹違いの弟。王子が一番よく出てくるが少女は騎士に憧れを抱いているらしい。恋愛小説って恋する相手は最初に登場するしね。
「邪魔する。」
ぼんやりとしてたら男が来たようだ。今日きた時間がいつになく早いのか、それともいつもこの時間で待ち時間は突っ立っているのか。非常に気になる所である。
「あ、こんばんは。って、びちょびちょじゃないですか!」
「・・・雨が、」
びちょびちょの男の髪の毛からは水が滴っている。今日の異世界の天気は大雨なのか。
足元を見ると案の定、泥にまみれたズボンが見えた。色が変色しているのは水のせいだけじゃなくて確実に泥だ。ああもう掃除したばかりなのに。
そりゃまあ、大雨の中森に入ったらそうなるのかもしれないけれど。
風呂に入って貰うかクーラーの付けた中で放置するか。私の決断は早かった。
「・・・お風呂、案内します。」




