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異世界と繋がるクローゼット  作者: りゅん。
逆トリップ編
12/30

お互い様って何だよ。

「あ、」


掃除機のスイッチをOFFにした時、唐突に思い出した。今日は男がやってくる日だ。

ついでにいうと休日。男が帰った後にスケジュール帳を見て失敗したなんて思ったけどもう遅い。服を買いに行きたかったけど仕方ないか。なんで休日だって忘れてたんだ私。


「めんどくさいし、カレーでいいかなー?」


毎日料理をしていると、品が被ってくるから困る。レパートリーがそんなに多いわけではないから特に。そういうときにカレーは助かる。ちょっと多めに作っとけば、カレーうどんとか、なんちゃって風だけどドリアにだってなるし。因みに玉子入りのカレースープが私的オススメです。

時計を見ると3時。冷蔵庫には何もなかった。


「スーパーに行かないと。」


私の家のカレーは玉ねぎを多めに使うので確実に足りないだろう。慌てて服を着替えて外に出る。

暑い。ギラギラと照りつける日差しで目が痛い。そしてやっぱり暑い。


「あ゛ー、あつ、」


自分でいうのもなんだけど女とは思えない声だ。

アスファルトから発せられる熱気にひーひー言いながら道の端の日陰を求めて歩く。つつっと顔の横を垂れる汗が気持ち悪い。

 人通りの少ない通りに差し掛かった時、男の人が隅で蹲っているのが見えた。


「・・・どうされました?」


半径一メートルくらいのところで立ち止まって男の人の顔を覗き込む。片手で口を押さえて呻く男の人の顔は真っ青で、本当に気分が悪いのだと分かる。


「ちょ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫で、ぅ゛っ・・・、ぎもぢ悪い゛、ぐらぐらする・・・、」


立ち上がろうとして失敗したのか、ゆらりと揺れる身体に慌てて近付いて支える。吐き気と眩暈で立つことができないようだ。


「熱中症っぽいですね。日陰に行きましょう?」


熱中症の応急処置って足を高くすればいいって聞いた気がする。あと水を買って冷やすべき?

考えながら近くの日陰まで肩を貸すと着いた途端蹲ってしまった。


「うっ、」

「え、ちょ、吐かないで!!」












「・・・ありがとうございます、助かりました。」

「いえいえ、お互い様ですよ。」


 お互い様って何だ。彼もそう思ったらしく不思議そうな顔をしたが、スルーしてくれるらしい、疲れた顔に微笑みを浮かべた。


「水の代金は120円で良かったですか?」

「あ、どうも。」


お金は素直に受けとる。昔読んだ新聞に、道で男に優しくしたらストーカーされたという記事が載っていたことを思い出す。不穏分子はできるだけなくすべし。万が一を考えて行動したらいいと昔よく口煩い教師の誰かが言っていた気がする。

そんなこと言ってるからガードが固いとか言われて恋人ができないんだよね。あー、癒されたい。


「では、また。本当にありがとうございました。」

「駅まで送りましょうか?」

「いえ、家が近いですし、妻が家にいますので。」

「そうですか。じゃあ私はこれで」

「あ、お礼を、」

「いやいや、だからお互い様ですよー。」


だからお互い様って何なんだというツッコミは諦めてもらう。男の制止の声を聞かなかった振りをしてスーパーに向かった。

自己満足なんだけどさ、人に親切にしてありがとうって言われると嬉しくなるよね。ひとりにやにやしてしまった。


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