クローゼットで育ってました。
クローゼットの扉を開けたら森だった。
とか言ってみる。どこの小説だよってツッコミはおいておいて欲しい。自分でも思ってるから。
どうも、しがない社会人ですこんにちは。突然ですが、皆さんは休日にどうお過ごしでしょうか?私はクローゼットの中のコートをクリーニングに出そうと思っていた所です。掃除どころか扉を開けてみたら森しか見えなかった訳だけど。
クローゼットを一旦閉める。途端に力が抜けて、思わず扉に額をつけて深呼吸する。
私は夢を見ていたのかもしれない。それか幻覚。希望は夢だ。別に精神科に通いたい訳ではではないので。
少しだけ扉を開けると見えたのはやっぱり森である。
夢じゃなかった‥‥!!
何か出てくると怖いのできちんと扉は閉めてうなだれる。異世界?異世界なの!?
今の自分はorzを体現したような格好をしているだろう。興奮か恐怖か分からないドキドキが胸を打つ。
これは、良かったのか悪かったのか。
誰にも言っていないが、実は私には異世界に行ってみたい願望というものがある。異世界にいって無双したい。そしてイケメンに会いたい。
だが、それは私の妄想であることも知っている。異世界に行けたとしても、私の非力さは変わらないし、イケメンがいるかも分からない。もしイケメンがいたとしても好かれるかは自分次第だし、多分委縮して関わらないと思う。まずヒロインとか似合わないし。乙女ゲームの世界で悪役令嬢になりましたとかが今流行ってるけど、女の嫉妬は怖い。私、あそこまで人の悪意に耐えられないです。
帰れることが前提につくけど異世界は魅力的だけどね。
もう一度だけ、と顔を少しだけ出して辺りを確認する。
やっぱり森だ。森以外の何者でもない。
一瞬足を踏み入れてみようかと迷うが、しかしながら私にはワンダーランドのアリスのように不思議な場所に冒険にいく度胸はない。
私は音を立てないように扉を閉めて全力で何も見なかったことにした。