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平和を求めた者たち 第一章 10年後  作者: 折り紙王者
第一章 10年後
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第2節 危機

    ●千秋 神戸

私がアパートへ帰ると、おうやの望月さんが大声を上げながら、安部さんの部屋のドアを叩いている

「どうしたんですか?」

私が問う

「ついさっき、安部さんの部屋の窓ガラスが割れたんだよ。泥棒でも入ったのかもしれないが・・・」

「鍵ないんですか?」

「あるにはあるんだが・・・」

「それなら、開けたらいいじゃないですか」

嫌な予感がする

「じゃあ千秋ちゃん、こん中から探して開けて確かめといて」

望月さんは私に鍵がウジャウジャ付いた輪を渡すと

「じゃあ俺は部屋でテレビ見とるから、何かあったら連絡くれな」

そう言って下に降りていった。

窓がわれているんだから、何かあるに決まっているのに

私は鍵を一つ一つ調べた。七回目にしてやっと鍵が合い、ドアを開けた。

 早速、玄関の前に人が倒れている。安部さんではない女性だ。

私は部屋を見渡した。奥の部屋が血にまみれている。何があったのだろう。望月さんを呼びにいったが、部屋から反応がない。寝てしまったのだろうか。私は女性を自分の部屋に運び、目を覚ますのを待った。

    ●かぐや

目が覚めた。何が起きたのだろう、防ぐ間もなく煙玉が破裂した。ここは一体どこだろうか

「目が覚めましたか?」

その声で意識がはっきりした。彼女は目標の江舞寺千秋だ。殺せるなら殺せるが。状況がつかめていない。

「ここは?」

「2時間前、あなたが倒れていた部屋の隣室です」

運ばれたのか。様子をみるかぎり、手榴弾は不発だったようだ

「いったい何故、あんなところで倒れていたのですか?あなたは安部さんの知り合いですか?」

どうやら、今殺ることは出来る。が、もう安部節乃の体には毒がまわり死体は近くの電話ボックス、もしくは北澤家の他のアジト・・・はなさそうだ。いずれにせよ安部はもう生きてはいないだろう。下手に動くと私が北澤家に拉致られる恐れがある。ここは少し演じてみよう。本名名乗って平気だろうか、大丈夫だな、どうせ殺すのだから

「すいません、節乃さんの友人の月平かぐやという者です。彼女に呼ばれて、部屋で帰りを待っていたのですが、外から物音がしたので玄関に向かったら、誰かに頭を殴られて、気を失ったようです」

とりあえず矛盾はないな

「リビングが血だらけでしたけど」

「そんな、節乃さんが帰ってくるまで、ドアも開けていませんし、どんな風に血だらけだったんですか?」

よし、これで場所を変えられるか

「説明しづらいです。とりあえず安部さんの部屋に行きましょう」

ちょろいな・・・

 私たちは安部の部屋に入った

「こんな感じです」

おかしい、手榴弾が見当たらない。飛ばした腕もない。もしかして接触したら細胞を溶かすのだろうか。私は意として呟いた

「節乃さん、大丈夫かな・・・」

反吐がでる。

「どうします?あなたも起きたことですし、事件の可能性もありますから、警察に連絡は」

彼女は電話に手を掛ける。電話線は切った。もう通話は出来ない

「あれ?壊れてる」

そう、連絡なんてさせない。どうせ、その前に命を奪う。

しかし、彼女は懐から携帯を取りだした。彼女のモノだ。

マズイな・・・

今、殺すしかないか

    ●夛眞

アパートに到着した。奴らも到着しているようだな、それも強力な、研ぎ澄まされた力だ。魁人様も感じているようだな。

「それじゃあ先に会ってきます」

魁人様がアパートの階段を上がろうとした。私は急いで止めた

「魁君!あなたにとっては、かけがえのない兄弟かもしれないけど、ちぃちゃんからは昨日会ったばかりの他人なんだよ、話しても信じてもらえるか」

「けど、ちぃが」

そうとう焦っているようだ

「あなたは付近の電話ボックスを探しなさい。節乃の死骸を誰にも見られないで隠すのだ、2時とはいえ誰かが見たら大事だろう」

「はい・・・」

本来、私がこの方に支持をするなんて恐れ多いことだ。

魁人様はアパート付近の電話ボックスを探しに行った。すぐに見つかるだろう。

次に、私は狂歌様に支持をする。これも恐れ多いことだ。

「失礼いたします。運転手を呼んできていただけますか?」

狂歌様は頷くと私から離れた。車を使えれば、こっちのモノだろう

 私はアパートの階段を上がり、部屋に向かう。

 安部の部屋が半開きになっているのを確認し、中から人の気配、その隣には得体の知れない何かがいる。ゆっくりとドアを開くと、奥の部屋で千秋が電話を取ろうとしているのが見えた。そして、そのすぐ後ろで、謎の女性がクナイを千秋に付きつけ、今にも刺そうとしているのが見えた。

マズイ、止めなくては。私は即座にクナイを取りだすと、女に向かって投げ付けた。

「ヴッ」

クナイは女の首に刺さり、女は倒れた。本来、生け捕りにし、情報を抜きとるのが正しいが、今は一時をあらそった。なおかつ、彼女が人間なのかも定かではない。殺してしまうのが良かっただろう。

「かぐやさん!だいじょぶですか!」

千秋は私を見ると、酷く恐怖した。当然か・・・

「うわぁ、あなたですか、安部さんを襲ったのは!」

私は黙って千秋に近づく、かなり警戒している。手早くすませよう。彼女の腹を殴り、気を失わせた。そこへ魁人様が走って戻ってきた

「おばあちゃん!近くの公衆電話に・・・そいつは!」

魁人様が問う

「奴らの手先だ、ちぃちゃんを殺そうとしていたからの、とっさに刺した。後頭部のかなり深いところまで抉ってあるから即死じゃろ。狂歌様が運転手を呼んでくださった。さぁ魁君、ちぃちゃんを車まで運ぶんじゃ、もうここには住めないだろう。訳を話して北澤亭、いや他の守護四亭で引き取ったほうが良かろう。私はこれを運ぶ」

死体を放置は出来ない。せめて運ばないとならん。こいつは死んではいるが、本当に人間なのだろうか、人間の持てる霊力を遥かに超えていた。しかも邪悪すぎる力だ。よく私ごときが仕留められたものだな。私たちはアパートを出た。外には狂歌様が車と一緒に待っていた。


    ●向日葵 北澤亭

使用人の報告を聞いて驚いた

「魁が帰ってきた!?」

「はい、先ほど、帰られました。先ほどまで夛眞さまと一緒におられたのですが、急に出て行かれましたけど」

私に会う暇もないのか・・・何か、辛いな

「どこに?」

「聞かされておりません」

いまいち信用ができない。

「ほんとに?」

「はい」

なんだろう、胸騒ぎがする。今日をずっと待っていたのに。すぐ会える気がしない。何かがあったとしか思えない。かい君なら、大丈夫だよね

「魁ってどんな人?」

麻美が私に問う

「すっごく優しくて馬鹿な奴だよ」

「何それ~~」

麻美は笑った。その笑みに少し気が楽になった。


    ●夛眞 車の中

夜中の道を走行中、何が起こっても不自然ではない。

「注意しなさい、奴ら、いつ襲ってくるか分からないんだから」

運転手の須藤が言った

「分かっております、夛眞さま」

そうこうしていると、千秋が起きた

「どこですかここは、あなたたちは私になんのようですか?」

夜ともあって覇気がない。本来、恐怖で怯えるものだが

「悪いのぉ、君の為じゃ」

「どういうことですか」

千秋はずいぶんと眠たそうだ。

「おかしい・・・」

窓を見ていた魁人様が言った

「どうした?」

「走っている車がいない」

「そりゃ、もう夜中の2時だから・・・」

いや、おかしい。ここは国道だ。まさか!

窓を見ると、黒い車が何台か停車し、男たちがこちらを妖しく見ている

「みんな降りろ!」

私の声に須藤が問う

「どうかしましたか?」

「奴ら、もう動き出した!すぐに襲撃してくるだろう。ほら降りなさい」

「こいつはどうします?」

魁人様が荷台にいる死体を気遣う。この際、死体は捨てておこう

「危険だが、今は逃げることだけ考えるんじゃ」

魁人は千秋を連れ、車を出た。

「おばあちゃんも急いで!」

私を気遣う魁人様、こんな老いぼれに気を遣う必要などない。

「ああ、分かってる」

私は死体の首に刺さったクナイを引き抜いた。これには北澤家の紋章が彫られている。万一の場合があるからな。私は車を出た。


    橋の上にて

その様子を男が見ていた。男は無線を取り出し、連絡をする

「こちら赤乙(しゃくいつ)青甲(しょうこう)!車の中にかぐや様がおられるだろう。直ちにお救いするんだ!」

 魁人たちが向かっていった道の反対側では、眼鏡をかけた男が無線を使い連絡をする

「こちら青甲、了解した」

青甲は車のトランクを開けた。そして桜の首に指を当てると、左手で眼鏡をクイッと直した。そして青甲は桜を抱え、何歩か歩くと。静かに大きく足踏みをした。

すると、車は何かに切り裂かれたように、ザックリと裂けると爆発しました

桜の頬に水滴が流れるところを、青甲は見つめていた。


    ●夛眞 燃える車から少し離れた場所

私たちは車が爆発したのを見ていた

「なによこれ・・・」

千秋は絶句する

「逃げて正解だったな」

魁人様の声に千秋が気づく

「魁人さん?なんであなたが・・・」

「気づくの遅・・・さっきからずっと車にいたのに」

「とにかく説明してる場合では・」

(バキューン)

私が伝えようとした瞬間、須藤が腰を撃たれた。須藤は膝を一瞬付くが、すぐに持ち直した。家臣の者なら当然といえば当然か。それより今は離れなければ

「火の灯りだ!物陰に隠れて!」

私が叫ぶと、魁人様は千秋をひっぱり車から遠ざかろうとした。

しかし

「危ない!」

魁人様が千秋を庇うと背中を撃たれた

「魁人さん!」

「スナイパーの位置が分かった、あの山だ!反撃するよ!」

魁人様は手元から強烈な光を生み出し、地面に打ちつけた。すると凄まじい光が辺りを照らした。相変わらず凄まじい妖術だな。こうなれば射撃は出来ない。そのスキに逃げるとしよう


 山ではスナイパーたちが控える

スナイパーの一人が狙いながら、叫んだ

黄壬(きじん)支部長!閃光が凄まじく狙えません」

後ろで指揮を取っていた支部長の黄壬が怒鳴った

「うるせぇなテメェ、こういう時どうすっか俺が教えてやんよ」

黄壬は箱からバズーカを取り出し、閃光が光っている場所に向けました

「支部長!そんな事したら」

「うるせぇ黙れ」

黄壬は気遣ったスナイパーにバズーカを向けました

「す、すいません」

「分かればいいんだ」

黄壬はそう言うと、ふところから銃を取り出し、そのスナイパーを撃ちました。

「あばよ」

スナイパーは眠りながら倒れた。黄壬はバズーカを再び閃光に向けると、発射した。

(ドッゴーーン)

凄まじく爆発した。が、爆炎が収まったのを確認した赤乙が近づいてくると、無線で黄壬に連絡を取った

「赤乙だ、黄壬!これは重罪だぞ!」

黄壬は反省もせずに赤乙に言った

「知らねぇよ、そんで生きてたか?」

「彼らはもうとっくに逃げたよ」

「走っていた車ごと吹っ飛ばせばよかったな」

黄壬は笑った

「ことの重大さが分かっていないようだな」

「後で始末書、書くからいいだろうが。グダグダぬかしてんじゃねぇよ、カスがうっせぇな!」

そこへ狐の仮面を被った女性が来た。黄壬は彼女を見ると、顔をしかめた

「チッ、副官殿、中国に行っておられたのでは?」

「黄壬支部長、あなたを連行します」

黄壬は女性に連れていかれました。


    ●夛眞 国道を離れ、林道にて

マズイな、至急西垣家に迎えを呼ばなくては

「須藤、撃たれてるのに悪いけど西垣家に連絡してくれ」

「承知しました」

須藤はケータイを取り出した。魁人様はどうだろうか、先ほど被弾したが

「魁君も大丈夫?」

魁人は服をめくった。傷一つついていない。だろうな、まさに防弾チョッキだ。

「こちら北澤家家臣、須藤と申します。西垣喜宣さま(江舞寺家守護四亭・西垣亭の現頭首)は仰せますか_____承知しました、夛眞様に変わります」

須藤は私に携帯を渡した

「喜宣よ、例の件、知っておるか?」

「ああ、先ほど根の者から聞いた。詳しいことは魁君と話してからじゃな」

「なら話は早い。千秋様が襲われた。さらに、たった今、走行中に襲撃を受けた」

「無事か」

「わたしゃ平気だが、またいつ襲ってくるか分からない・・・あの方の決定が出るまで、千秋様をお前のところで預かってもらえんか」

「よろこんで受けよう」

「スマンな・・・」

「迎えにいったる、今どこや?」

こうして西垣家の迎えが来て、私たちは西垣家に向かった

    車の中にて

「どこに行くんですか、あなたたちは一体・・・」

千秋様が問う

「君の為なのです、私たちはこれから君を守らなければならない」

普通はこんなことでは信用はしないだろう

「どういうことですか、あなたは人を殺したじゃないですか。車が襲われたり意味が分かりません。魁人さんは?」

どうやら魁人様は信用しているようだな

「今は何も言えない、できることなら君を取り戻したいな」

「取り戻す?」

魁人様、あなたという方は、ご自分がお辛くなるのに

「いや、何でもない」

さすがに訂正はするか、手遅れだが

「何を隠しているんですか?」

この方ではもう隠し通せないな。信じてもらえんだろうが取り入る

「とにかく、あなたの部屋の荷物は全部こっちに移動させよう、さっきは本当に危なかったのです」

「え?じゃあ、かぐやさんは」

「君を殺そうとしたんだよ」

「あなたたちは私を守ったと言いたいんですか」

「ええ、そうです」

「なぜ、私が襲われるんですか?」

質問が多いいな、本来はもっと怖がるのだが・・・

「まだ言えません、それでも君にはしばらくの間、ここにいてもらわなければならない」

「信じていいんですか」

「こちらも頭上を明かせられないから、信じてくれとは言えない、あなたの前で人の命を奪ったのですから」

「とにかく私が危険なんですよね、だったら従います、でも仕事は・・・」

「大丈夫です、西垣家の使いの者が毎日送りますから、あなたの仕事場にも我々は監視を怠りません」

「分かりました・・・」

どうだろうか、不安に押しつぶされるものだろうが・

 私たちは西垣家へと到着した。

「それでは中に入りましょうか」

私は千秋様を屋敷の中に連れていった

    ●魁人

玄関を入ると使用人が待っていて、我々に言った

「魁人様、夛眞様、長旅御苦労さまです、どうぞこちらへ」

使用人の案内で中に入って行くと、角を曲がるときに若い女性に出くわした

女性は俺に話しかける。

「魁君やろ!久しぶりやなぁ」

女性の名は西垣理沙、俺と同い年の西垣家の娘だ。8年くらい前に子供を産んだらしい

「理沙ちゃん、久しぶりです」

「小さい頃、正月とかみんなでよう遊んどったなぁ」

「ああ懐かしいな、そういえば息子ができたとかだっけ?」

「そうや、狂歌ちゃんに取って行かれてしもうたんやけどね」

戦士として育てられるようだ。しばらく会ってはいないようだな

「そういえば、その子どっかで見た気がすんねんけど・・・」

理沙がちぃを見て言った。訳を話さなければな

「理沙ちゃん、ちょっといいかい」

俺が言う前に夛眞おばあちゃんが理沙を連れて行った。

ちぃは何か不思議そうに俺を見た。何を聞かれても答えなかろう。

    ●千秋

「魁人さん、聞いていいですか」

「今は何も言えません、ごめんなさい」

魁人さんはそう言うと、私を奥に連れて行く。凄い家の偉い人みたいだから、いろいろあるのだろう、迷惑はかけられないな。

 大広間のような部屋の襖の前に付いた

「この部屋です、どうぞごゆっくり」

魁人さんは奥へと行ってしまった。

 中へ入ると、奥に屋敷の主らしい年輩の男性が座っていた。

「どうぞ、お座りください」

私は座布団に座った。

「何が起こっておるか不安であろう」

「いえ、平気です」

嘘である。少しでも心配をかけなかろう。

「そうか、肝がすわっとる、本題に入るが、君はしばらくここに住むわけやが、不安であろう」

「いえ、環境が変わるのは慣れているので」

「そうかそうか、肝がめりこんどる、話を戻すが、君には今日から護衛が付く、当然や、本当に危険なんや、嫌やろうが分かってくれるかい」

「全然嫌なんかじゃないです、私の為ということは分かっていますから」

それに私はこんな大きな家に住めるということをうれしく思っていた。

「良い子じゃ、もう夜中の3時やな、狂歌、千秋さまを寝室に連れて行くのだ」

するとその部屋にいた、中学生くらいの女の子が近づいてきて

「承知いたしました、千秋さま、寝室にご案内します」

狂歌さんは私を連れて行ってくれた。

    寝室前にて

「千秋さま、こちらでございます」

狂歌さんが襖を開けました。すると、廊下を若い男性が歩いてきました。

「おや~こんな夜中に客か?」

「義之さま、もう寝んねの時間では?」

「子供扱いすんなや!二十歳やぞ」

そこへ理沙さんがやってきて義之さんに言った

「子供やろが、いつまでたっても野菜を食べへんで、だから太るんや」

「うっさいなぁ。せやけど、初めて見る子やな、その若さで」

義之さんが狂歌さんを見て言った。新入りなのだろうか?

「最後に会ったんわ7年くらい前やなぁ。狂歌ちゃん、変わらへんね」

狂歌さんは理沙さんに一礼した

「え?姉さん、知り合いなん?」

理沙さんは急に義之を指すと、私に言った

「千秋さん、こいつムカついたらバシバシやってええからね」

「はぁ・・・」

凄い人だな、頼りがいのありそう。狂歌さんはお二方に言った

「義之様、理沙様、私はこれよりこの西垣家に留まります。なんなりとお申し付けください」

狂歌さんはそう言うと私に一礼し、廊下の奥へ進んでいきました

「姉貴、あの子は一体?」

「ばーか」

理沙さんは義之さんに言い放った。

 用意された部屋に入った私は着替えて布団に入った。

私の生活は次々に変わる、今回は謎も多く、実のところとても不安だ。でも、この家の人たちはみんな優しい人達な気がする。たとえ人を殺す人でも、私にとって危険ではないのであれば平気だろう。魁人さんだっているんだし、心配することなんてないのかもしれない。


    永久の月 アジト

 青甲たちはかぐやをアジトに連れ帰った。

    神差の部屋にて

神差が問う

「黄壬君はどうだ?」

仮面の女性が答えた

「地下牢にて謹慎中です。どうも美弥が始末書を書くとかで」

神差が笑いをこぼし女性に言った

「君が手を下すのを止めたのだな。朝舞君は優しい子だ。それに黄壬君にも不器用ながら考えがあったのだろう、あれでも部下は大事にする奴だ。第一、今回もそうだが実害が出ていない。僕が命じたのはあくまで、かぐやの救出ということだ。あの場の江舞寺の者たちを殺害せよとは命じていない。江舞寺千秋に逃げられたのは痛いが、しょせんは籠の中の鳥。それに黄壬君がじっとしていたとして、取り逃がさずにすんだとは限らないだろ」

「そうですね。狙撃でしか抹殺の手筈がありませんでしたので、あの場の兵では接近戦

で北澤の主には対抗できないですね」

神差は頷くと、女性の髪を触りながら説教じみて言った。

「結論からして、彼は勝手な行動をしただけだ。なんの問題もない。そう易々と味方を処断するのはよろしくないぞ。さて、こちらに取り掛かるとしよう」

その前にはかぐやが台の上で横たわっていた。

「今こそ、姫に力を授けるときだ」

神差はかぐやの胸に手をかざすと、手から銀色の煙が出て、それはかぐやの体を包み込んだ。

「この月平の神差、1200年もの間、この国が為、生き続ける者なり。かぐや、君は我が目的が為に重大な存在だ。目的を成すまでは、君には僕と同じ怪人になってもらわなければならない。見ているか江舞寺真道!お前の子孫の力、すなわち姫の力を持ってして、我らは平和の地を手に入れるのだ!お前が犯した罪を、失態を、1200年返す日を待ち続けた!お前の家臣たちも時期に壊滅させてやるぞ!アッハッハッハッハ!」

かぐやの首の傷が銀色の煙を出しながら塞がった。

すると台の下から薄紫色の鱗をした蛇がかぐやの首元に登ってきた

邑巫(ゆうむ)、お前が入るんだ・・・」

すると蛇は、かぐやの首にとり憑くように柔らかく巻きつくと、かぐやの眼が紫色に光り、かぐやは呟いた

「全てが永久の月の目的が為」

その声はかぐやのモノではなく、幼い男の子の声でした。神差が言った。

「姫の覚醒の時は近いぞ!いよいよ計画は起動する。この世界は救われるのだ。ハッハッハッハッハ」

神差は笑い続けていました。仮面の女はその様子を静かに見守っていました。

「かぐや、君にはまだまだ働いてもらうぞ。なあ、江舞寺桜・・・」


第一章はこれで終わりです。次は第二章になります。次の章はクラスメイトが続々と登場するため、ゴチャゴチャとしてしまいますがご了承ください。

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