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プロローグ
これはすべてのはじまり。この物語の原点。第一の要因。
これは遠い昔の話だ。そこには幼い少女がいた。少女には大切な存在があった。母と父、そしてその友だ。彼らと過ごす日々、それは少女にとって平和な日々だった。しかし怒り満ちた化け物たちによって家は業火に包まれ、母は消え、父は滅びた。化け物を鎮めた友は少女を置いて、血を廻る。そして少女に深い孤独が押し寄せる。少女には何が起きたのか分からなかった。ただ幸せだった日々を、平和だった世界を望んだ。燃え盛る炎の記憶を目に宿し、歪んだ瞳は何を見ているのだろうか。
これは、すべての始まりであり、神すら望まぬことへと繋がる。この時点からは遠い未来、破滅の誕生へと繋がる。そして世界の運命を知るものは誰もいない。
そして今、すべてを背負った者が現れた。世界の運命、過去も未来も存在すらも消し去る絶対的な力を退ける為に、その者の名を、江舞寺魁人。