0.pinky flash
“N”です。この場を借りて、少しこの小説に関して話します。
最終投稿日について。
最終投稿日として表示される日付は、その小説の最新章を追加した日であって、最終更新日ではありません。
現在、章を追加後、1.コピーをとり、2.編集、3.置き換え、主に2.と3.を繰り返しながら更新しています。
この話については活動報告にも書いています。
他の作家様のように「1つの章を書き終えてから、追加する」のとは違った書き方をしているため、ここで話しました。
長々とした駄文失礼しました。拙い文章かと思いますが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
※12月07日に投稿したものに前書きを加え、12月15日に再投稿しました。
―12月24日、クリスマスイヴ。都会の駅は多くの人で賑わっていた。嬉しそうにケーキを片手に帰路を辿る人、忙しそうに電話しながら歩くサラリーマン、プレゼントを買ってもらって喜んでいる子供とその喜ぶ子供の顔に癒やしを感じている大人、など様々である。
「あぁ…見たくない…」
どこを見ても必ずと言っていいほど、幸せそうに寄り添っている男女が目に入る。所謂“リア充”と言われる人達だ。彼らは自分たちの世界にすっかり入り込んでしまっていて、外の世界には目をくれず、幸福に浸っている。
(まぁ…仕方ないか…)
―今日はクリスマスイヴなんだし。
部活帰りの1人の女子高生は、リア充達を目に入れないように俯き、ムスッとしたふくれっ面でズカズカと、人混みを掻き分けながら、帰路を辿っていた。
(早く家に着きたいわ)
―リア充達を見たくないから。
(早くご飯食べて寝よう)
―リア充のことを考えたくないから。
(早く12月26日になればいいわ)
―クリスマスの幸せな夢が終わるから。
(…そもそも)
―なんで日本に、クリスマスというものがあるのだろう?
八神マリアにとって、クリスマスは1年365日の中で一番嫌いな行事だ。そこら中にリア充達がいるからである。それだけではなく、彼女自身の誕生日でもあるからだ。
(1年363日になればいいのに)
マリアの容姿はいたって普通、良く言えば標準、悪く言えば中の下といったところだ。部活の規則に従ったベリーショートの髪に、肥満でも痩せ気味でもなく、色気もない身体。
女子校に通っているため出会いも無い。 年中無休と言っていいほど、年間の休日が二週間余りしかない部活に入部した所為で、友人と遊びに行く時間や趣味に浸る時間が失われ、共通の話題を作れなくなった。また、部活の仲間はアウトドア派、対してマリアはインドア派といった、正反対の性格なのでさらに話題が作れない。
よって、リア充になれる条件は何一つ満たしていない。
(リア充失せろ…)
―1年で一番嫌いな日に、一番嫌いなモノを目に入れるな。
マリアの周りの同級生は全員彼氏持ちだが、決してリア充に憧れや嫉妬を抱いているわけではない。友達0、恋愛経験0だがリア充に対しての憧れや嫉妬は無い。
ただ、彼女が部活による拘束で1人で過ごすことが増えてしまったせいで、寂しい思いを知らない奴等が恨めしいだけなのだ。孤独というものを、如何に苦しくて悲しいことであるか、知らない奴等が。
「………」
彼女はふと立ち止まった。突然、何か叫びたい衝動に駆られたのだ。
(何このカンジ…)
マリアは未だ知らない感覚にとらわれる。まるで怒りのようでそうでないものがふつふつと湧き上がる感覚。溜まりに溜まったものが、火山のように噴火するような、と表現するのが妥当であろう。
―こうなったら叫ぼう。
深く、肺に入るだけの空気を吸う。そして、肺の空気を一気に空っぽにするくらいの勢いで叫ぶ。
「全世界のリア充ども、爆発しろーーーっ!!!」
そう叫んだ、その刹那。
「っ!!!」
ピンク色の閃光がマリアの視界を包み込む。そのまま視界がピンク色に染まったところで意識を手放した。