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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
学園編

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第8話「Aクラス」

 Aクラスの教室は、他のクラスとは明らかに違っていた。

 机も椅子も上等。

 天井は高く、壁には魔法陣が刻まれている。

 空間そのものが、選ばれた者のために用意された箱庭だった。

 アスベルは窓際の席に腰を下ろし、教室をゆっくりと見渡す。

アスベル(なるほど……)

アスベル(身分に関係ないというのは本当のようだ。)

 貴族が多い。

 だが、全員ではない。

 視界の端に、見知った顔が二つあった。

アイミスは少し緊張した面持ちで背筋を伸ばしている。

ミスティは腕を組み、壁際で静かに立っていた。

 そこへ。

「やあ」

 柔らかく、余裕のある声。

 振り返ると、金髪の少年が立っていた。

 きっちりと撫で付けられた、いかにも貴族らしい髪型。

 だが、体つきは鍛えられているとは言い難い。

 制服の下、わずかに出た腹。

 それでも、立ち居振る舞いには自然な威圧感があった。

コルド「君がアスタ・ランドバーグだね」

貴族らしい一礼

コルド「南部ヴァレンシュタイン公爵家のコルドだ」

 宰相の家系。

 王国中枢に最も近い血筋。


アスベル(……なるほど)

アスベル(剣や魔法より、口と立場で生きるタイプだ)

コルド「同じ公爵家同士、仲良くできればと思ってね」  

腹に手を当て、穏やかに笑う。

コルド「とりあえず、首席おめでとう。」

アスベル「ありがとうございます。」

コルドはお腹に手を当てる。

コルド「僕は序列2位だ。すぐに抜いてしまうかもしれないがな」

コルドの周りの取り巻きも笑い出す。

コルド「ああ…こいつらは子爵家のやつだ。家ぐるみの付き合いなんだ。」

ゴーン「ゴーン・ロレント」

ライブ「ライブ・メーカー」

ゴーンは無言で後ろで圧力を出すタイプ。

ライブはヒョロヒョロの腰巾着

アスベル(デコボコと呼ぼう。)

アスベル「ああ。よろしく。アスタ・ランドバーグだ。」

コルドは得意気に語り始める。

コルド「Aクラスは競争が激しい。無駄な争いは避けていこうではないか」

 提案というより、確認。

アスベル「合理的ですね」

にこやかに返す。

アスベル「僕も争いは好みません」

コルドは満足そうに頷いた。

コルド「そう言ってもらえて助かるよ」

コルド「いずれ、ゆっくり話そう」

 そう言って、自分の席へ戻っていった。

アスベル(貴族らしい貴族、血筋にすがる愚か者)

アスベルは内心で溜息をつく。

アスベル(ただ、悪知恵は働きそうだ。悪くない。使える)

 その時、教室の扉が開いた。

 入ってきたのは、見覚えのある男。

 サイト・マークスマン。

 試験官を務めた教官だった。

サイト「着席しなさい」

 一言で、私語が消える。

サイト「今日から君たちの担任を務める」

サイト「サイト・マークスマンだ」

 ざわめき。

 Aクラス担任――

 それは、学園内でも強い権限を持つ立場だ。

 サイトは名簿を見ながら、教室を見渡す。

 そして。

 アイミスの前で、視線が止まった。

サイト「……」

 何も言わない。

 だが、露骨に冷たい目。

アイミス(……っ)

 空気が張り詰める。

サイト「Aクラスは実力主義だ」

サイト「出自も立場も、言い訳にはならない」

 そう言いながら、再びアイミスを見る。

サイト「毎年、まぐれでAクラス入りして、落ちこぼれていくやつもいるからな。」

 ミスティの指が、机の下で強く握られた。

アスベル(隠す気もないか)

アスベル(まあ、こんなことでやめるなら最初から来てないか)

 午後。

 学園中央の大講堂では、入学式が行われていた。

 貴族も平民も、一堂に会する場。

 そして――首席による代表挨拶。

 アスベルが壇上に上がる。

貴族らしい綺麗な所作で、お辞儀をする。

「序列一位……」 「やっぱり公爵家か……」

アスベルは顔を上げ、ゆっくりと話し始める。

アスベル「ご紹介に預かりました、アスタ・ランドバーグです」

 落ち着いた声。

アスベル「私たちは今日、同じ学園の門をくぐりました」 アスベル「出自も、立場も、能力も違う」

 一拍置く。

アスベル「ですが、ここでは結果がすべてです」

アスベル「不公平で、残酷で――だからこそ、平等だ」

 静まり返る会場。

アスベル「努力する者が報われ、怠ける者が落ちる」 アスベル「私は、その競争を恐れません」

 綺麗事ではない。

 だが、誰も否定できない。

アスベル「この学園で得たものを、将来に繋げましょう」

アスベル「互いを高め合える関係であることを、願います」

 一礼。

 拍手が起こる。

 次第に、大きくなる。

アイミスは胸の前で手を握りしめていた。

ミスティは静かに息を吐く。

 少し離れた席で、コルドが余裕の笑みで拍手していた。

コルド(……まあ今のうちに首席で満足していろ)

コルド(最後に勝つのは私だ)

 壇上を降りるアスベル。

 誰にも見えない場所で、わずかに口角を上げる。

アスベル(いい箱庭だ)

アスベル(駒も、敵も、全部揃っている)


 Aクラス。

 サイト教官。

 コルド。


アスベル(箱庭の形を変えるとしよう。)

ここまで、読んで下さりありがとうございます。

ようやく、舞台が整いました。

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