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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
飛翔編

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70/80

第70話「涙」

王城の廊下は静まり返っていた。

コルドは会議室を出たまま、思考に沈み、歩を止めることなく歩き続けていた。

コルド(考え込みすぎてしまった…)

その時、微かな泣き声が廊下の奥から届く。

はじめは風かと思った。だが、声ははっきりと、人のものだった。

コルド(…あれは…レイア女王の部屋か)

廊下の角を曲がると、薄暗い部屋の中から小さく震える声が聞こえてくる。

レイア「なぜ…なぜ…」

レイア「アスベルは…私のことなど飾りとしか思っていないのね」

レイア「一度も抱いてくれない…こんなにも慕っているのに…」

コルドは言葉を失った。

胸に重く、熱いものがこみ上げる。

しかし、何も言わず、廊下を静かに戻り始めた。

足音が石の床にかすかに響く。

コルド(……やはり、このままではいけない)

コルド(なんとかしなければ…アスベルを止める、そして王国を守る)

その決意は、夜の王城の冷たい空気の中で、ひそかに燃え始めた。



コルドは執務室に戻り、椅子に深く腰を下ろした。

部屋には、書類の山と、消えかけたランプの灯りだけが残っている。

彼は指を組み、目を閉じた。

コルド(感情では、何も変えられない)

ゆっくりと目を開く。

コルド「最終目的は……アスベルの失脚だ」

その言葉は、独り言でありながら、あまりにも重かった。

彼自身、その意味を理解している。

コルド(失脚させれば、王国は混乱する)

コルド(民は不安に陥り、貴族は動揺し、秩序は一時的に崩れる)

コルドは目を瞑る。

コルド(だが、このままでは、いずれ国そのものが壊れる)

ただ、冷静に、考える。

コルド(アスベルならどうするだろうか)

コルドは目を開ける。

コルド(そうか…俺達はなんだかんだアスベルを頼っていたんだな)

その時、脳裏に一つの存在が浮かんだ。

コルド(……双子の兄、アスタ)

アスベルと同じ顔を持ち、

だが、まったく違う道を歩んだ男。

コルド(アスベルの代わりに、アスタを据える)

コルド(王配の座をすげ替えれば、混乱は最小限で済む)

指先が、机の木目をなぞる。

コルド(アスベルは……秘密裏に処置するしかない)

その考えに、胸が痛まなかったわけではない。

だが、ためらえば、全てが無駄になる。

コルド「そのためには……」

静かな声で、答えを口にする。

コルド「聖王国にいるアスタを、説得するしかない」

彼は立ち上がった。

迷いは、もうない。

王配アスベルに真正面から挑めば、敗北は確実だ。

ならば、影から、理をもって王国を救う。

コルドは外套を手に取る。

コルド(これは反逆ではない)

コルド(王国を、女王を、そして……あいつ自身を止めるための行動だ)

その夜、宰相コルドは、ついに動き始めた。

読んでくださり、ありがとうございます。

コルド動きます

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