表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
支配編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/80

第67話「確立」

王都の広場には、朝から人が集まっていた。

祝祭ではない。

だが、誰一人として、この場を避けようとはしなかった。

広場の中央に組まれた木製の処刑台。

その上には、三つの柱と、一つのギロチン。

刃は磨かれ、朝日を反射している。

人々は騒がない。

囁き合うことも少ない。

それが、この国の新しい空気だった。

兵士に挟まれ、処刑台へ引き立てられる男がいた。

バーンズ辺境伯だった。

今は、鎖に繋がれ、顔色は蒼白だった。

バーンズ「……違う、話が違う!」

声は裏返り、広場に無様に響く。

バーンズ「俺は命令通り動いただけだ!」

バーンズ「王配殿下が……アスベルが、そう言ったんだ!」

どよめきが、わずかに走る。

だが、それ以上には広がらない。

誰もが知っていた。

命乞いは、もう意味を持たないと。

処刑執行官が、一歩前に出る。

執行官「バーンズ」

執行官「貴族の身分を剥奪し、王国反逆罪により死刑を宣告する」

形式的な言葉。

だが、逃げ道は一切ない。

バーンズ「待て!俺は役に立つ!」

バーンズ「裏の貴族の名も、金の流れも――」

その言葉は、途中で遮られた。

ギロチンの前に立つ兵士が、無言でバーンズの頭を押さえつける。

バーンズ「やめろ!やめろおおっ!!」

最後まで、叫び声だった。

合図はない。

ためらいもない。

重い刃が、音を立てて落ちた。

一瞬の静寂。

そして、誰かが息を吐いた。

それが合図のように、群衆は静かに散り始めた。

歓声も、罵声もない。

ただ一つ、確かな理解だけが残る。

これが今の王国なのだ。


同刻。

王城の一室。

アスベルは、窓際の椅子に腰かけ、

湯気の立つコーヒーを一口、口に含んでいた。

外から聞こえる音はない。

処刑の終了報告は、もう届いている。

アスベル「……苦い」

独り言のように呟く。

その瞬間、空気がわずかに揺れた。

アスベル「出てこい。ルーク」

沈黙の後、部屋の隅の影が歪む。

ルーク「……よく分かりやしたね」

いつもの軽い口調だった。

アスベルは表情を変えない。

アスベル「そろそろ、その演技をやめたらどうだ?」

ルーク「なんのことやら」

アスベルは、視線を向けない。

アスベル「お前の組織……シャドウ、だったか?」

その一言で、ルークの空気が変わった。

ルーク「……」

アスベル「まだ続けるか?」

数秒の沈黙。

やがて、ルークは小さく息を吐いた。

ルーク「……やっぱり筒抜けですか」

彼は姿勢を崩し、ソファに腰を下ろす。

ルークレスト「いやぁ、旦那。怖い怖い」

もはや、隠す気はない。

アスベル「それで?」

アスベル「お前たちは、どうするんだ?」

ルークレストはタバコを取り出し、火をつけた。

ルークレスト「逆らう気はねえですよ」

ルークレスト「むしろ、いいパートナーになれそうだ」

煙が、天井へと昇る。

アスベル「なら、仕事をやれ」

アスベル「バーンズとフリーマンに与していた貴族」 アスベル「病死、事故死、行方不明……手段は問わん」

ルークレスト「……見返りは?」

アスベルは、コーヒーを口に運ぶ。

アスベル「酒、女、金、肉」

アスベル「それで十分だろう」

一瞬の沈黙。

そして、ルークレストは笑った。

ルークレスト「……いい顔してるぜ、旦那」

次の瞬間、彼の姿は消えていた。

アスベルは立ち上がり、窓を開ける。

冷たい風が、部屋に流れ込む。

遠く、王都の上空を鳥が飛んでいた。

アスベル(あと少しだ…あと)

アスベルは覚悟を決めていた。

読んでくださり、ありがとうございます。

物語もいよいよ最終章に突入します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ