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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
支配編

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第63話「真実と嘘」

王都は、目に見えない線で分断されていた。

噂を信じる者。

噂を疑う者。

噂を楽しむ者。

そして、噂に“怒り”を覚え始めた者。


王城のその一室

アスベルは窓辺に立ち、王都を見下ろしていた。

昼間の喧騒は、夜になると別の顔を見せる。

灯りの下で、人は本音を漏らす。

アスベル(……醜い)

仕方ない。それこそが世間だ。

戴冠式まで、あと二週間となっていた。

アスベル「……そろそろ、熱が回り始めたな」

その背後で扉が開く。

ルーク「旦那!来たぞ」

続いてコルドが入室し、静かに扉を閉めた。

コルド「王都の空気が変わってきているぞ」

アスベル「感じるか?」

コルド「否応なくな」

ルークが肩をすくめる。

ルーク「酒場じゃ、女王と王配の話題ばっかだ。祝福半分、罵倒半分ってところだな」

アスベルは振り返らない。

アスベル「狙い通りだ」

コルド「……暴動を警戒すべき段階だ。」

その言葉に、ルークが目を細める。

ルーク「戴冠式に向けて、過激派は動いているな」

アスベルは表情を変えない。

アスベル「フリーマン達は?」

アスベルはゆっくりと椅子に腰を下ろす。

ルーク「北のノースティナ辺境伯領から出て、王都に潜伏しているのはわかっている。」

アスベル「ならいい」

コルドは考え込む。

コルド「何が狙いだ?」

アスベル「もう考えてある。」

アスベルは淡々と続ける。

アスベル「『民が認めていない王配』

『暴動の中で即位した女王』

そういう印象をあえて植え付けた。」

ルーク「……結果は見ての通りか」



一方

王都北区、地下酒場。

外観は荒れ果てた倉庫。

だが地下では、密談が交わされていた。

フリーマンは粗末な椅子に座り、酒杯を傾けている。

フリーマン「いい感じだ。」

向かいに座る数人の男たちは、顔を伏せたまま耳を傾けていた。

フリーマン「王配は平民。女王は操られている。国が壊れる。」

フリーマンは笑って指示を出す。

フリーマン「もっと煽れ。」

男の一人が問う。

「御意」

男達は去って行った。

部屋にはフリーマン、サイリーが残っていた。

フリーマン「サイリー」

杯を机に置く。

サイリーは本を読み続けている。

サイリー「あまり、騒がないようにね。敵はアスベルだ。」

フリーマン「そうだ」

フリーマンの目が光る。

フリーマン「あいつの吠え面が楽しみだぜ」

サイリーが口を開く。

サイリー「……そうやっていつも足元をすくわれる。」

フリーマンが睨む。

サイリー「目的は民の反乱。そして」

フリーマン「わかってるさ」

だが、その声には苛立ちが滲んでいた。

フリーマン「その反乱を抑え、俺が旗頭となり、レイア女王とアスベルを亡き者にする。」



再び王城。

アスベルは、中庭にいた。

アスベルは日課となった祈りを続けていた。

祈りを終えて立ち上がる。

アスベル(こんなものじゃないだろう?)

真実と嘘が入り混じったその先で、ひたすらに動かない。

戴冠式まで、あと二週間。

王都は、静かにそして確実に、暴動へ向かっていた。

読んでくださりありがとうございます。

世論は簡単に傾く

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