第56話「解放」
ガストン・ランドバーグの処刑が明日の正午に決まった。
夜
ガストンが収監されている牢屋に近づく影が居た。
そこに立っていたのはアスタ、アイミス、ミスティ、シンシアだった。
ガストンは鉄格子を掴む。
ガストン「おお…息子よ。助けに来てくれたか」
アスタは目の前でボロボロになっている父を軽蔑した目で見ていた。
アスタ「父上…それはできませぬ」
ガストン「なぜだ!」
アスタ「あなたは罪を重ね、奪い過ぎた。」
ガストン「アイミス!ミスティ!シンシア!雇ってやった恩を返せ!」
アイミス「私達から、アスベル様を奪っておいて」
ミスティ「……万死に値する。」
シンシア「ナハト様もお怒りです。」
ガストン「お前たちは洗脳されていたはずでは…」
アスタが睨みつける。
アスタ「最初から洗脳されてなんかない。みんな、自分の意思で裏切ってもらった。」
アスタ「さようなら、父上。もう会うことはないでしょう。」
ガストン「アスター!待ってくれ!アスターー」
アスタは牢屋のガストンの姿が見えなくなる所で膝をついた。
アスタ「本当は、僕の手で殺したかった…」
アスタは涙を流す。
アスタ「すまない…アスベル。すまない……」
アイミス達も泣いていた。
アスベルは王城の中庭で祈りを捧げていた。
レイアが寝巻き姿で姿を現す。
レイア「これで、あなたの復讐はすみそうね」
アスベルは無視して、祈りを続ける。
レイア「処刑後に私は第1王位継承者として発表されることになったわ」
アスベルは祈りを終えて、立ち上がる。
アスベル「まだ終わってはいない」
レイア「そうね。まだ王になってないものね」
アスベルは何も言わなかった。
レイア「何を祈っているの?」
アスベルはゆっくりと歩き出す。
アスベル「………謝罪だ」
レイアに聞こえない音量で呟いた。
夜が明けた。
王都中央広場。
簡素な処刑台が組まれ、すでに多くの民衆が集まっていた。
怒号も歓声もない。
ただ、噂を確かめに来た者たちの、湿った視線だけがあった。
引き出されてきたのは、
かつて北を支配していた哀れな男
ガストン・ランドバーグ。
豪奢な衣装は剥ぎ取られ、
誇り高かった背筋は、今はわずかに曲がっている。
彼は、最後まで叫ばなかった。
命乞いもしなかった。
ただ一度だけ、
群衆の中を探すように視線を彷徨わせる。
そして、見つけた。
黒衣の男。
隻眼の側近。
アスベル。
ガストンは、口元を歪めた。
それが笑みだったのか、悔恨だったのかは、誰にも分からない。
ギロチンの刃が無情に落ちる。
鈍い音が広場に響いた。
王城・謁見の間。
ガーネット三世が玉座に座り、
主要貴族と王族が列席する。
老王は、ゆっくりと立ち上がった。
ガーネット三世「……ランドバーグ公爵家の件、王国として裁定は下った」
ガーネット三世
「これにより、王国の混乱は一つ収束した」
そして、次の言葉は、
誰もが予期していたが、
誰もが口にしてほしくなかった言葉だった。
ガーネット三世
「第三王女、レイア・ガーネット」
レイアが一歩前に出る。
ガーネット三世「汝を、第一王位継承者とする」
広間に、どよめきは起きなかった。
すでに、西と東が賛同。
南は沈黙。
北が失墜。
これは宣言ではない。
確認だった。
レイアは深く頭を下げる。
レイア
「……謹んで、お受けします」
その横。
一歩後ろ。
アスベルは、何も言わず、何も表情を変えなかった。
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さて、次から新章です。




