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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
王国編

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53/80

第53話「契約」

東・サファイア公爵家。

白を基調とした豪奢な邸宅。

壁一面に施された装飾は、富と歴史を誇示するかのようだった。

黒いマントを纏った男が、静かに立っている。

アスベル(……さて。どう出る?)

扉を叩くと、すぐに声が返ってきた。

レクシア「入り給え」

扉の向こうには、微笑みを崩さぬ男。

東の雄、レクシア・サファイア公爵。

その奥、ソファにはすでに一人の男が腰掛けていた。

海運の元締め、スメラギ。

レクシア「君が、レイア姫の側近のアスベル君だね」

にこやかな声。

だが、その瞳は値踏みする商人のそれだった。

アスベル(……金の狸め)

アスベルは勧められるまま椅子に座る。

レクシアは悠然と紅茶を淹れ始めた。

レクシア「スメラギから話は聞いたよ。ずいぶんと大きな絵を描いているそうじゃないか」

アスベル「ありがたい評価です」

レクシアは紅茶を差し出しながら、本題に入る。

レクシア「では、聞こう。この話で僕の“メリット”は何だい?」

直球だった。

アスベル(……やはり来たか)

アスベルは表情を変えない。

アスベル「西と東の販路が繋がれば、この東は王都に次ぐ“第二の中心都市”になります」

レクシアは微笑んだまま、首を傾げる。

レクシア「“上手くいけば”ね」

彼は指先で地図をなぞり、ある一点を示す。

川。 その一部は、ヴァレンシュタイン公爵家の領内に食い込んでいる。

レクシア「ここが塞がっては意味がない。ヴァレンシュタイン家はサイリー王子派だ。君の計画など、却下されて終わりだよ」


部屋に沈黙が落ちた。

アスベルは、わずかに目を細める。

アスベル「……それを、覆せると言ったら?」


レクシアの笑顔が、初めて消えた。

レクシア「不可能だ」

即答だった。

アスベル「可能です」

空気が張り詰める。


アスベルは淡々と喋る。

アスベル「ヴァレンシュタイン家の“弱み”を、我々は握っている」

スメラギが、低く息を吐く。

レクシア「……ほう」

アスベルは立ち上がった。

アスベル「三日後。王都南、トパーズ村で会談を行います」

アスベル「信じてくださるなら、来てください」

それだけ言い残し、アスベルは踵を返した。


扉が閉まる。

レクシア「……不気味な男だ」

スメラギ「だが、嘘は言ってねぇ顔だ」

レクシアは、静かに紅茶を飲み干した。



三日後。

王都南・トパーズ村。

人目を避けた会議場に、面々が集っていた。

レイア・ガーネット

アスベル

コルド

西の雄、メラ・ルクシード公爵

東の雄、レクシア・サファイア公爵

レイアが立ち上がる。

レイア「本日は、王国全体を見据えた公共事業について」

レクシア「その前に」

言葉を遮る。

レクシア「ヴァレンシュタイン公爵家の件は?」

レイアは一瞬、言葉に詰まる。

視線が、アスベルへと向く。

アスベルは動かない。

レクシア「……ならば、この話は――」

その時。

扉が、開いた。

??「待っていただこう」

入ってきたのは、一人の老貴族。

ユルド・ヴァレンシュタイン公爵。

場がざわつく。

ユルドは真っ先に、コルドを見た。

ユルド「……おお」

その声は、震えていた。

ユルド「息子よ……」

彼は歩み寄り、コルドを抱きしめた。

コルドは、一瞬だけ目を閉じる。

アスベルが、静かに口を開いた。

アスベル「レクシア様」

アスベル「これが、答えです」

レクシアは、しばらく言葉を失っていた。

やがて、ゆっくりと、笑った。

レクシア「……なるほど。完敗だよ。」

メラ・ルクシードが、愉快そうに笑う。

メラ「若いのに、見事な手並みですわ」

レイアは、深く息を吸った。

レイア「では、契約を」

その場で、剣も魔法も振るわれなかった。

だがこの日、 西と東は手を組み、 王国の“流れ”は決定的に変わった。

王位継承戦争は、 もはや王子たちの手を離れ、 経済という名の鎖で、国を縛り始めていた。



会談後

レイア「これで、西と東に恩を売ることができましたわ」

レイアは笑顔になっていた。

コルド「おい。アスベル。」

アスベルはコルドを向く。

コルド「親父のこと、最初から計画してたのか?」

アスベル「切るべき切り札を適切に使っただけだ」

コルド「……ふん」

コルドは納得していない顔だった。

アスベル「そろそろ、出てくる頃合いでしょう」

レイア「何が出てくるの?」

アスベル「西と東が手を組み、南は同意した。」

コルド「北のランドバーグ公爵家か」

アスベル(ようやく、やってきた)

読んで下さり、ありがとうございます。

契約は、金の匂いがする。

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