第5話「入学試験-剣技-」
レンブラント学園の受付を抜けると、広い石畳の広場が現れた。
すでに多くの新入生が集められており、ざわめきが絶えない。
豪奢な服を身にまとった貴族。
緊張した面持ちの平民。
視線の高さも、声の大きさも、立ち位置も違う。
アスベル(分かりやすい)
アスベルは人混みを眺めながら、聞き耳を立てる。
貴族「聞いたか? 今年は試験が厳しいらしいぞ」
貴族「平民はどうせ足切りだろ」
貴族の少年たちが、わざと聞こえるように笑う。
その一方で、端の方に立つ平民の少女は、拳を強く握り締めていた。
アスベル(逃げないだけ、マシだな)
アスベルは違う方を見る。赤毛の長い髪をした少女が剣を手入れしていた。
アスベル(流されず、時を待つやつもいるか)
アスベルは誰にも声をかけなかった。
アスベル(まずは力関係を見定める。)
ほどなく、教員が前に立つ。
金髪で鼻が高く、いかにも陰険な性格と教員だった。
教員「静粛に!」
一声で、広場が静まり返った。
サイト「今回、試験を執り行います。サイト・マークスマンです。これより、レンブラント学園入学試験を開始致します。
試験は三つ。筆記、魔法、剣技。いずれも基礎を見させて頂きましょう。」
ざわめきが広がる。
サイト「なお」
サイトは淡々と続けた。
「貴族、平民の区別は一切ない。結果のみが評価基準です。まあ、頑張ればできるもんじゃないですけどね」
その言葉に、安堵と不満が入り混じった空気が生まれる。
アスベル(明らかに平民を見下してるな)
アスベルは列に並びながら、思った。
アスベル(だが、俺が利用するものは利用価値があるかどうかだ。身分など関係ない。)
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サイト「まずは剣技試験です!」
受験者に木刀と簡単な革鎧が配られる。
サイト「皆さんには1人ずつ、この試験官と模擬戦を行ってもらいます。ルールは簡単、試験官の頭、両肩、両脇腹、両足の7つの風船のどれかを割れば合格です。魔法の使用もありですが、風船は必ず木刀で割ってください。」
会場内がザワザワする。
サイト「それでは!受験者の名前を呼んでいきます。」
アスベル(なんて、簡単な試験なんだ。)
アスベルは先程の平民の少女を見る。
少女の木刀が明らかに古く折れそうな状態だった。
アスベル(才能を潰すには、随分と安い手だ)
そもそも、平民出身でこの学園に受験に来てるだけで優秀じゃないはずがないのだ。
アスベルは助ける義理もないが、声をかける。
アスベル「あのーすみません。僕の木刀が気に入らないので、変えてもらっていいですか?」
少女「え?ええ…いいですよ」
アスベル「ありがとう」
アスベルは笑顔で応えた。
サイト「次!アイミス!」
アイミス「あ!はい!」
先程、木刀を入れ替えた少女が広場の中央に走っていく。
サイト「遅い!早くしたまえ!」
アイミス「……はい」
アスベル(緊張してしまってるな…)
アスベルは内心、俺は一体何をやってるんだと思いながらも声をだす。
アスベル「大丈夫!目線をあげて」
アイミスは目線をゆっくりと上げる。
アイミスが試験官に向かっていく。
サイトはアイミスの木刀を見てニヤリと笑った。
アスベル(めんどくさい奴も居たもんだな)
アイミス「ミラージュフォグ!」
アイミスは水の魔法を霧状にして、姿を消した。
アスベル(ほう…)
アイミスはかろうじて風船を割ることに成功した。
サイト「ご…合格だ!」
アイミスはアスベルの方に駆け寄ってくる。
アイミス「ありがとうございました。あのお名前は…?」
サイト「次!アスタ・ランドバーグ!」
アスベル「行ってくるよ。」
アイミス「アスタ様…」
アスベルは今にも折れそうな木刀を構える。
その構えには一切のスキがなかった。
試験官が攻めあぐねる。
サイト「何をやってるんです!?早くやりなさい!」
試験官「うおお!」
アスベル(遅すぎて、欠伸がでそうだ。)
アスベルは一糸乱れぬ動作で相手の脳天に風船もろとも木刀を叩き込んだ。
試験官は気を失い、木刀が折れる。
アスベル(ついでにっと)
アスベルは折れた木刀に魔法をかける。
アスベル(ウィンドリード…)
折れた木刀は意志をもったかのように、サイトの顔面に直撃した。
サイト「ぐう…ご…うかく」
アスベル(剣技はこれでいい。次はどう遊ぼうか)
次は魔法試験
読んでいただきありがとうございます。
次は魔法試験です。




