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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
領地編

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第44話「怒り」

アスベルが急いで外に出る。

そこには見覚えのない甲冑姿

どこかの領地の衛兵だった。

衛兵「黙れ!我が家でパーティーが開かれるため、羊と牛が必要なのだ!」

アイン「やめて!連れて行かないで!家族なのよ!」

衛兵「うるさい小娘だ!」

衛兵の2人がアインを取り囲む。




次の瞬間

アインの身体から血が噴き出した。

地面とアインが血で赤く染まる


アスベル(え?)

アインは地面に横たわり動かなくなった。

牛と羊達は次々と殺されていく。

緑豊かな牧場が赤い血で染まり始めていた。

アインがこちらを見た。

虚ろな表情で何かを伝えようとしていた。

アイン

(に…)

(げ……)

(て………)

アスベル「……!!!!!」

アスベルは人生で始めて怒りを露わにした。

アスベル「よくも!!!」

アスベルから尋常じゃない魔力が迸る。


アスベルは涙を流していた。

アスベル「全員生かして返さない。」

衛兵「なんだ!?」

衛兵「取り囲め!」

武装した衛兵10名がアスベルを取り囲んだ。

衛兵「殺せ!!」

衛兵がアスベルに向かって攻撃する。

アスベルは涙を流しながら、構える。

アスベル「……黙れぇ!!!」

アスベル「デスウィンド!!」

アスベルの腕から風の刃が放たれる。

1刃、2刃、3刃……無数の風の刃が放たれた。

衛兵達は首と胴体が地面にゆっくりと落ちた。




アスベルはアインへと駆け寄る。

アスベルは必死に治癒魔法をかける。

アスベル「アイン!死ぬな!」

アインは必死にアスベルを見た。

アイン「アスベル…泣かないで」

アスベルの顔は返り血と涙でぐしゃぐしゃになっていた。

アスベル「しゃべるな!喋ったらダメだ」

アスベルは懸命に血を止めようとする。

アイン「もういいの」


アインはゆっくりと手をアスベルの顔に近づける。

アイン「アスベル…牛や羊達は無事?」

アスベルは周りを見る。しかし…

アスベル「ああ…大丈夫だ」


アイン「…あなたは優しいのね」

アインはぎこちなく笑う。

アインはゆっくりと口を開ける。

アイン「……あなたの唯一の荷物が私のベッドの下にあるわ」

アスベル「…!」

アイン「…渡すと出ていってしまうと思って」

アスベル「……アイン!しっかりしろ!」

アイン「……アスベル、ごめ……」

アインの手がゆっくりと落ちていった。

アスベルはアインを抱きしめたまま泣いていた。




3日後

アスベルはアイン、牛、羊の墓を作った。

ゆっくりとアインの亡骸に土をかけていく。

アスベル「アイン……」

アスベルは膝をついた。

アスベル「守れなくて…ごめん」




アスベルはアインのベッドの下を調べた。

そこには古ぼけた小さな小袋をあった。

アスベル(これはアスタが最後にくれたものだ)

アスベルは小袋を開く。

中には金貨3枚と手紙が入っていた。

アスベル「アイン…なぜ、金貨を使わなかったんだよ」

アスベルは金貨を握りしめ、涙がこぼれていた。


アスベルはベッドに座り、手紙を読む。

アスタからの手紙だった。

『アスベルへ。これを読んでいるということは生きているということだね。

ガストンはクソ野郎だ。僕は立場的に反抗できない。ただ、君の家臣達は僕が必死に守る。僕がアスベルの仇を討つ。アスベルはゆっくりと休んでほしい。アスタより』


アスベル(馬鹿野郎…遅すぎるんだよ。なにもかも)





2日後

アスベルは家を焼き払う。

約1ヶ月間、ここでアインと出会いアインと過ごした。

ベッド。食卓。最初に渡された樽。

全てが燃えていく。

アスベル「甘さはここに捨てていく。」



数時間後、アスベルは鎮火した家を背に歩き出した。

アスベルは振り返る。

アスベル「また来るよ。アイン」

アインは穏やかに微笑む

そして、アスベルは二度と振り返らなかった。


アスベル(俺が壊れたと思っていた) 

アスベル(しかし、それは違った。)

アスベルは顔を上げる。

アスベル(壊れているのは、この世界だ)

読んで下さり、ありがとうございます。

誰もが立ち上がる。他人に助けられるより、自分で立ち上がることの方が難しい。

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