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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
聖王国編

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第31話「揺らぎ」

パルティア大聖堂の前。

 白い石畳の広場に、アスベルは一人立っていた。

 鐘の音が遠くで鳴り終わり、信者たちが散っていく。

シンシア「アスベルさん!」

 息を切らし、シンシアが駆けてきた。  

躊躇もなく、彼女はそのまま抱きつく。

シンシア「やりました……!」

シンシア「教皇様が、正式に改革案を……!」

 小さな体が震えている。

喜びと安堵が、抑えきれないのだろう。

 アスベルは一瞬だけ周囲を見渡した。

そして、そっと彼女を抱き返した。

アスベル「それは、シンシアさんの功績です」

アスベル「あなたが、勇気を出して前に出たからだ」

 シンシアは顔を上げ、困ったように笑う。

シンシア「……私」

シンシア「あなたに助けられてばかりですね」

アスベル「いいえ」

静かな声。 アスベル「助けられているのは、いつも私の方です」

 言葉は柔らかい。 2人は向き合う。

シンシアは期待するように目を瞑る。

アスベルは内心では別のことを考えていた。

アスベル(……視線があるな)

 石柱の影。

人の流れに紛れた、悪意の気配。

アスベル「ここは、少し寒いですね」

アスベル「近くの喫茶店にでも行きましょう」

 シンシアは一瞬戸惑い、それから頬を赤く染めて、小さく頷いた。

シンシア「……はい」

 二人は並んで歩き出す。  

その背中を物陰から、男が睨みつけていた。

ハイツ「……あいつか」

 歪んだ声。

握った拳が、わずかに震える。

ハイツ「俺のシンシアに、よくも……」

 背後に控えていた部下に、低く命じる。

ハイツ「これを届けろ」

 差し出されたのは、封のされた手紙が二通。

部下「……了解いたしました」

 部下が去るのを見届け、ハイツは口元を歪める。

ハイツ(裏組織に渡せばいい)

ハイツ(あいつは、聖王国から消える)

 押し殺した笑いが、喉の奥で鳴った。



「……今のを、見たか」

 大聖堂の2階のバルコニー

ローズ司祭が、静かに指示を出していた。

ローズ「今出て行った男を尾行しろ」

聖騎士「御意」

 気づかぬところで、包囲網は、静かに狭まっていく。


 夜。

 宿の一室。  ランプの灯りが、壁に揺れている。

 テーブルで、アスベルはコーヒーを飲んでいた。  苦味を確かめるように、一口。

 ベッドでは、シンシアがシーツに包まれ、静かな寝息を立てている。

今日一日の緊張が、ようやく解けたのだろう。

アスベル「……全て、順調だ」

 カップを置き、窓の外を見る。

 信仰、改革そして反発。

アスベル(動くとすれば、そろそろだな。)

 彼の瞳に、感情はない。

そう言って黒いフードを被り、外に出かけていった。

廊下にはアイミスとミスティが居た。

ミスティ「…不穏な空気がする。」

アイミス「私達も共に行きます。」

アスベルは言葉を発さず、手を前にだす。

アスベル(ここから先は、俺の仕事だ)

すぐに振り返り、宿から出て行った。

アイミス「アスベル様…」



人気のない路地裏

アスベル(きたな…)

狭い路地裏で黒い服装をした男性が出てくる。

アスベル(挟まれたな。前後に2人か)

男「お前には恨みはねえが…捕まってもらう」

アスベルは黒いフードを被ったまま、動かない。

男「やっちまえ!」

前後に居た男4人が一斉にアスベルへと向かう。

アスベルは跳躍する。

アスベル(まとまってくれたな)

アスベル「ライトニング」

バリッ!

アスベルの手から黒い雷が発される。

足元に居た男4人が感電する。

アスベルは速やかに着地すると、足払いして浮かせる。

アスベル「エアプレッシャー…」

アスベルを中心に衝撃波が放たれる。

男4人は吹き飛ばされた。

アスベルは飛ばされた男の1人に近づく。

アスベル「なあ…取り引きしないか?」

男「……どういうつもりだ」

アスベル「お前らのボスにあわせろ。」

男は下を向く。

男「………わかった」

男はよろめきながらも立ち上がり、案内するように路地裏を進み始めた。


読んで下さり、ありがとうございます。

焦りは禁物

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